公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう

カミツドリ

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28話 レミーラとマグロ様 1

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 お父様の挨拶が終了すると同時に、私の誕生パーティーは幕を開けた。

 幕を開けたとは言っても、見た目としては質素な舞踏会と特に変りはないけれど。テーブルに料理が並べられており、それを貴族達が手に付けるところも同じだ。違うと言えば、私に挨拶に来る方がほとんど、ということかな。

「18歳の誕生日、おめでとうございます」

「おめでとうございます、レミーラ様。あの小さかったレミーラ様が……もう、18歳になられたのですね。時が経つのは早いものですわ」

「ありがとうございます。本当に時の経過は早いものですね」


 形式的な挨拶を何度も重ねていた時、ルック兄さまが私に近付いて来た。


「ルック兄さま、どうかなさいましたか?」

「ああ、レミーラ。いや、相変わらずモテモテのようで安心したよ。お前はシグレ王子殿下以外にも好かれているという証だな」

「止してください、兄さま。今日は私の誕生パーティーなんですから……当たり前じゃないですか」


 ルック兄さまの発言の意図が読めなかった。私の誕生パーティーなんだから、皆、私に挨拶をしてくれるのは当然のことで……ありがたいことだけれど。そもそも、快く挨拶をしない貴族をお父様が呼んでいるとは思えないし。

 誕生パーティーというのは、通常の舞踏会とは違い、懇意にしている家系を呼ぶケースが圧倒的に多い。その為、その中で問題が起きる可能性は極めて低かった。むしろ、問題が起こると危険なレベルだし。ただ今回は……。

「レミーラも気付いているかもしれないが、マグロ様とシエナ令嬢がこちらを見ているね」

「はい、そうですね」


 会場の入り口付近で二人は静かに立っていた。少し前までは言い争いをしていたようだけれど。あの二人にとって、この大食堂は完全にアウェーになっているだろう。マグロ様は少し前までは、この食堂内で一緒に食事を楽しんだ仲なんだけどね。

 そう思うと不思議な気分だわ……。

「ルック兄さま、どうしましょうか? あの二人について……」

「うん、そうだね……レミーラ次第だが、どうしたいんだ?」

「難しいですね。私の方から挨拶に行くのは少し違う気がしますし……」


 私の誕生パーティーで私の方から挨拶に行くのはおかしい気がするし……特にあの二人には。どうするか悩んでいたけれど、ルック兄さまが急に私の背中を押し出した。

「今回はこちらから挨拶に向かう、というのも面白いかもしれない。行ってみようか」

「え、ええ……! ルック兄さま、そんなに押さないで……!」


 凄い力で前へと進まされる。近づいて来る私たちに気が付いたのか、マグロ様達は明らかに動揺した様子を見せていた。このまま話しかけても大丈夫なのかしら……周囲の人達は今の段階で注目しているようだし。
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