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27話 レミーラの誕生日 4
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【マグロ公爵視点】
「だ、大丈夫なの……? マグロ……?」
「ぼ、僕に聞かれても困るよ……」
「何を言ってるのよ、あなた公爵でしょう!?」
「そ、それはそうだけど……!」
僕とシエナの二人は何人かの護衛を連れて、ヒュンケル伯爵家の屋敷へとやって来た。理由はもちろん、レミーラの誕生日を祝う為だ。本日は彼女の誕生日になる。今日で正式にレミーラは18歳ということだ。それを祝う為だけに来ている……それなのに。
「周囲の視線が気になるわ、マグロ。なんとかしなさいよ……!」
「仕方ないだろ……? ここに居る貴族はヒュンケル家と懇意な間柄だ。当然、僕たちが以前のパーティーでやってしまったことは伝わっているだろ」
「そ、それはそうかもしれないけれど……!」
シエナの奴……こういう時だけは、僕の方に縋りよって来るんだ。何度も可愛いと思ったしぐさだけれど、それに騙されていたのはもう分かっているので、今回は何も感じない。うん、何も感じてないぞ……何も。
「屋敷内の大食堂で誕生会を執り行うというのも見事だ。こうすることによって、僕たちの周囲には敵しか居ないことを表しているんだろうね……まったく、レミーラは残酷だよ」
パーティーはまだ始まってはいないけれど、既に参加予定の貴族達は大食堂の中に入っている。僕自身も何度か食事をさせてもらった場所だ。今は様子がかなり違っているけれど。
「わざわざ、大食堂で誕生パーティーを行うなんて……そんなに僕のことが嫌いなのか、レミーラは。悪意しか感じないが」
「そんなこと、前のパーティーでの態度で分かり切っているでしょ? 何を今さら言っているのかしら」
「君に僕とレミーラの絆の判定が、正確に出来ているとは思えないよ。彼女はきっと、シスコンの兄達に洗脳されているんだ……本心ではきっと今でも……」
「うわ……その考えは流石の私でも引くわよ……」
シエナはあからさまに嫌悪感剥き出しの表情を見せていた。この女、僕と結婚した場合、役立たずになることを公言していた癖に……! 第一夫人は子供を作らない、子育てをする気がないとかどういう神経をしているんだ? まったく、これだからわがままに育った女は嫌いなんだ。
その点で言えば、レミーラは完璧と言えるだろう。彼女なら僕と結婚して子供を産んでも、最大限の愛情を注げるに違いない。一時は避けようと考えていたけど、こうして考えるとやはり僕にはレミーラしか考えられない。
レミーラ、やっぱり君の心と身体は僕の物だ、うん、そうに違いない。
「……」
「何を見ているんだ、馬鹿女」
「あなたに馬鹿女とか言われると、死にたくなるわ……」
「なら、早く死んでくれ。子供すら生まない第一夫人なんて必要ないんだから」
「あんた……!!」
僕は事実を述べただけだ。シエナは目を見開いて怒っているようだけれど、そんなことはどうでも良かった。どうせ、ほとぼりが冷めたら婚約解消する相手なんだから。
「皆さま、ようこそお集まりいただきました」
それから程なくして、レミーラの父親であるアレグロ・ヒュンケル殿の挨拶が始まった──。レミーラの18歳の誕生日、それを祝うパーティーが始まったのだ。
「だ、大丈夫なの……? マグロ……?」
「ぼ、僕に聞かれても困るよ……」
「何を言ってるのよ、あなた公爵でしょう!?」
「そ、それはそうだけど……!」
僕とシエナの二人は何人かの護衛を連れて、ヒュンケル伯爵家の屋敷へとやって来た。理由はもちろん、レミーラの誕生日を祝う為だ。本日は彼女の誕生日になる。今日で正式にレミーラは18歳ということだ。それを祝う為だけに来ている……それなのに。
「周囲の視線が気になるわ、マグロ。なんとかしなさいよ……!」
「仕方ないだろ……? ここに居る貴族はヒュンケル家と懇意な間柄だ。当然、僕たちが以前のパーティーでやってしまったことは伝わっているだろ」
「そ、それはそうかもしれないけれど……!」
シエナの奴……こういう時だけは、僕の方に縋りよって来るんだ。何度も可愛いと思ったしぐさだけれど、それに騙されていたのはもう分かっているので、今回は何も感じない。うん、何も感じてないぞ……何も。
「屋敷内の大食堂で誕生会を執り行うというのも見事だ。こうすることによって、僕たちの周囲には敵しか居ないことを表しているんだろうね……まったく、レミーラは残酷だよ」
パーティーはまだ始まってはいないけれど、既に参加予定の貴族達は大食堂の中に入っている。僕自身も何度か食事をさせてもらった場所だ。今は様子がかなり違っているけれど。
「わざわざ、大食堂で誕生パーティーを行うなんて……そんなに僕のことが嫌いなのか、レミーラは。悪意しか感じないが」
「そんなこと、前のパーティーでの態度で分かり切っているでしょ? 何を今さら言っているのかしら」
「君に僕とレミーラの絆の判定が、正確に出来ているとは思えないよ。彼女はきっと、シスコンの兄達に洗脳されているんだ……本心ではきっと今でも……」
「うわ……その考えは流石の私でも引くわよ……」
シエナはあからさまに嫌悪感剥き出しの表情を見せていた。この女、僕と結婚した場合、役立たずになることを公言していた癖に……! 第一夫人は子供を作らない、子育てをする気がないとかどういう神経をしているんだ? まったく、これだからわがままに育った女は嫌いなんだ。
その点で言えば、レミーラは完璧と言えるだろう。彼女なら僕と結婚して子供を産んでも、最大限の愛情を注げるに違いない。一時は避けようと考えていたけど、こうして考えるとやはり僕にはレミーラしか考えられない。
レミーラ、やっぱり君の心と身体は僕の物だ、うん、そうに違いない。
「……」
「何を見ているんだ、馬鹿女」
「あなたに馬鹿女とか言われると、死にたくなるわ……」
「なら、早く死んでくれ。子供すら生まない第一夫人なんて必要ないんだから」
「あんた……!!」
僕は事実を述べただけだ。シエナは目を見開いて怒っているようだけれど、そんなことはどうでも良かった。どうせ、ほとぼりが冷めたら婚約解消する相手なんだから。
「皆さま、ようこそお集まりいただきました」
それから程なくして、レミーラの父親であるアレグロ・ヒュンケル殿の挨拶が始まった──。レミーラの18歳の誕生日、それを祝うパーティーが始まったのだ。
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