公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう

カミツドリ

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26話 レミーラの誕生日 3

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 私の誕生日パーティーは、屋敷の大食堂で行われることになった。貴族によっては専用の会場を借りたりするけれど、今回は盛大と言っていた割には質素な方かもしれない。まあ、私は祝ってくれるだけで十分嬉しいけれど。

 私の目の前にはお父様とお母様の二人が立っていた。

 アレグロ・ヒュンケルとミリーヌ・ヒュンケルだ。

「ねえ、あなた。もう少し盛大にしても良かったのではなくて? 去年は出来なかったでしょう?」

「そうだな、本来であればもっと盛大にしたいところなのだが……ふふふ、本日は大切な客人が来るだろう? なあ、ドレーク」

「はい、父上。とても大切なお客様になりますね……我らが妹レミーラに過剰に迫った公爵様とそれを裏から操る怠け者公爵令嬢ですね」


 お父様の質問に怪しげに笑みを見せて答えているのは、ドレーク兄さまだ。ドレーク兄さまは単騎で戦えば、騎士団最強との噂もある人なので、彼が怪しげに笑うととても怖い。見慣れている私でも引いてしまうことがあるほどだ。

「ヒュンケル家の屋敷でレミーラの誕生会を行うことに意味がある、ということですね父上。ふふふふ」

「うむ、そういうことだルック。やれやれ……元々はお前の発案だったが、やはりお前は賢いな」

「いえいえ、とんでもないことですよ。ただ、妹を愛する気持ちが強いだけです」


 ルック兄さまはドレーク兄さまとは、別の方向性で怖い……う~ん、確かにこの大食堂の周囲には、ヒュンケル家に仕えている使用人しか居ないわけだし……マグロ様とシエナ令嬢からすれば、全てが敵状態、ということね。

「あの……マグロ様達以外の貴族の方々はお呼びしないのですか?」


 その点は私も疑問に感じていたので質問することにした。既に大食堂は誕生会の準備がかなり進んでいる。それにも関わらず、他の貴族の情報がなかったからだ。

「それは大丈夫だ、レミーラ。私の懇意にしている方々には声を掛けてある。ああ、それからシグレ王子殿下も来ていただけるとのことだ。なんとも嬉しいことではないか、レミーラの人徳だな」

「いえ……シグレ様と知り合えたのはドレーク兄さまのおかげですし」

「きっかけはそうかもしれないが、仲良くなれたのはお前の魅力というものだ」

「そ、そうでしょうか……」


 それなら嬉しいけれど、実際のところはどうなんだろう。面と向かって聞くのも恥ずかしいけれど。

 何はともあれ、副団長権限も使って、騎士の何人かも呼ぶとのことだった。どちらにしても回りは全て敵だらけ……マグロ様とシエナ令嬢の反応が今から楽しみになってくるわね。

 こういう考えは性格悪いかしら……? まあ、ちょっとくらい大丈夫よね。思ってるだけだし! 私は誕生会当日が来る日をいつの間にか楽しみにしていた。
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