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32話 マグロ様は逃げられない
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「ね、ネルファ王女殿下……! あ、あの……!」
「お受けいたしますわ、フォルクス公爵。ああ、なんて情熱的なプロポーズなんでしょう! シグレお兄様もそう思いますわよね?」
「そうだな……確かに非常に情熱的なプロポーズだったと言えるだろう。流石はマグロ殿と言ったところか」
「あ……あ……!」
マグロ様は開いた口が塞がっておらず、言葉も出て来ていない。完全に主導権をネルファ王女殿下に持っていかれてしまっている状態だ。
「レミーラ嬢も聞いていただろう?」
「シグレ様」
急にシグレ様に話しかけられた。私は彼の方向に目をやる。
「かなり情熱的なプロポーズで女性としては、嬉しいものではないか?」
「どうでしょうか……難しいところではありますが。確かに情熱的なプロポーズではあったと思います」
「うん、やはり君もそう思うか」
「そうですね」
マグロ様の大告白は完全に私に対するものだったのだけれど、その部分は綺麗さっぱり抜け落ちて話が進められている。もちろん、シグレ様もネルファ王女殿下も分かっているだろう。ルック兄さまも笑いを堪えるのに必死みたいだし。
「う~む、なんという情熱的なお方なのだ……流石はマグロ・フォルクス公爵ですな!」
「しかし、あのお方はシエナ令嬢と婚約関係にあるはず……ネルファ王女殿下とも婚約をするということですかね?」
「そうなると……第一夫人はネルファ王女殿下になるのか……?」
周りからはそれぞれ、マグロ様の大告白に関する反応が返って来ていた。概ね、反応は良好なようだけれど、最早、冗談では済まされない状況でもある。
「あの、ネルファ王女殿下……」
「なんですの、マグロ殿?」
「ええと……先ほどの告白の件なのですが、あれは……」
「大丈夫ですよ、マグロ殿。私は嫉妬深い女ですけれど、シエナ嬢と別れてくださいなどと申し上げるつもりはありませんから。ただし、私は第二夫人になるのですから、第一夫人であるシエナ嬢にはしっかりと働いてもらう必要がありそうですけどね? もちろん、第一夫人になられるのですから、その覚悟はおありよね、シエナ嬢?」
「そ、それは……! は、はい……もちろんです、ネルファ王女殿下」
ネルファ王女殿下はシエナ令嬢の退路も封じたようだ。こうなっては、シエナ令嬢は頷くしかない上に、安易にマグロ様と別れるわけにはいかない。ネルファ王女殿下の狙いは、フォルクス公爵家の内部の是正といったところかしら。もしかして、私の誕生日パーティーに出席されたのも、そういう方面で話を進める為だったのかもしれない。
シグレ様もそうだけど、王族の人々ってみんなこうなのかしら? なんだか、したたかというか……有無を言わさないわね。
「そ、そんな……僕はただ、彼女に告白しようとしただけなのに……なんでこんなことに……」
マグロ様が小声でそんなことを言っていたけれど、そもそも私が彼の告白を受けるはずがなかった。今頃になっても、そんなことにすら気付いていないなんて……公爵失格ね完全に。
「お受けいたしますわ、フォルクス公爵。ああ、なんて情熱的なプロポーズなんでしょう! シグレお兄様もそう思いますわよね?」
「そうだな……確かに非常に情熱的なプロポーズだったと言えるだろう。流石はマグロ殿と言ったところか」
「あ……あ……!」
マグロ様は開いた口が塞がっておらず、言葉も出て来ていない。完全に主導権をネルファ王女殿下に持っていかれてしまっている状態だ。
「レミーラ嬢も聞いていただろう?」
「シグレ様」
急にシグレ様に話しかけられた。私は彼の方向に目をやる。
「かなり情熱的なプロポーズで女性としては、嬉しいものではないか?」
「どうでしょうか……難しいところではありますが。確かに情熱的なプロポーズではあったと思います」
「うん、やはり君もそう思うか」
「そうですね」
マグロ様の大告白は完全に私に対するものだったのだけれど、その部分は綺麗さっぱり抜け落ちて話が進められている。もちろん、シグレ様もネルファ王女殿下も分かっているだろう。ルック兄さまも笑いを堪えるのに必死みたいだし。
「う~む、なんという情熱的なお方なのだ……流石はマグロ・フォルクス公爵ですな!」
「しかし、あのお方はシエナ令嬢と婚約関係にあるはず……ネルファ王女殿下とも婚約をするということですかね?」
「そうなると……第一夫人はネルファ王女殿下になるのか……?」
周りからはそれぞれ、マグロ様の大告白に関する反応が返って来ていた。概ね、反応は良好なようだけれど、最早、冗談では済まされない状況でもある。
「あの、ネルファ王女殿下……」
「なんですの、マグロ殿?」
「ええと……先ほどの告白の件なのですが、あれは……」
「大丈夫ですよ、マグロ殿。私は嫉妬深い女ですけれど、シエナ嬢と別れてくださいなどと申し上げるつもりはありませんから。ただし、私は第二夫人になるのですから、第一夫人であるシエナ嬢にはしっかりと働いてもらう必要がありそうですけどね? もちろん、第一夫人になられるのですから、その覚悟はおありよね、シエナ嬢?」
「そ、それは……! は、はい……もちろんです、ネルファ王女殿下」
ネルファ王女殿下はシエナ令嬢の退路も封じたようだ。こうなっては、シエナ令嬢は頷くしかない上に、安易にマグロ様と別れるわけにはいかない。ネルファ王女殿下の狙いは、フォルクス公爵家の内部の是正といったところかしら。もしかして、私の誕生日パーティーに出席されたのも、そういう方面で話を進める為だったのかもしれない。
シグレ様もそうだけど、王族の人々ってみんなこうなのかしら? なんだか、したたかというか……有無を言わさないわね。
「そ、そんな……僕はただ、彼女に告白しようとしただけなのに……なんでこんなことに……」
マグロ様が小声でそんなことを言っていたけれど、そもそも私が彼の告白を受けるはずがなかった。今頃になっても、そんなことにすら気付いていないなんて……公爵失格ね完全に。
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