公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう

カミツドリ

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34話 ハッキリとした返答

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「どうかな、レミーラ。わ、悪い話じゃないと思うんだ。シエナも真面目になってくれれば、ネルファ王女殿下と僕が合わされば、4人仲良く暮らせてめでたしめでたし……なんて」

「なんて、じゃないでしょう……先ほど、ネルファ王女殿下がおっしゃったことを忘れているんですか? マグロ様」

「な、なんのことだい……?」


 はあ、マグロ様は本当に忘れているようだ。人間の脳みそが入っているのか疑わしく思えて来る。


「ネルファ王女殿下は浮気に厳しいらしいですよ?」

「あ……しまった」

 呆れて物も言えないわ……。

「そういえばそうだったわね」

「ネルファ……」


 ネルファもどうやら、適当に作った設定らしかった。でも、マグロ様はそれに気付いていない。

「ち、違うんです……ネルファ王女殿下! レミーラは特別というか……元々は、彼女とヨリを戻したいと思っていたので……!」


 何が違うんだろうか、勝手に特別扱いにもしないで欲しいし。


「私はどうしたらいいのかしら、マグロ殿? レミーラ嬢とあなたの仲を応援すれば良いの?」

「あの……ネルファ、やめてください」

「冗談よ」


 ネルファも既に分かっている。既に消化試合になっていることを……後ろの男性陣が凄い剣幕になっていたから。

「流石にこれは我慢なりませんね……シグレ王子殿下、彼を斬り捨ててもよろしいでしょうか?」

「なかなか、過激なことを言うんだなルック殿……意外だ。いや、意外でもないのか」

「お許しをいただけるのでしたら、副団長こと、我が兄を連れて参ります」

「本当に斬り捨ててしまいそうだから、やめておこうか……」


 シグレ様も凄い剣幕になってはいたけれど、流石に斬り捨てる許可をルック兄さまには出さなかった。まあ、別にマグロ様は犯罪者というわけじゃないので、それは出来ないだろうけど……。

 ただ、ルック兄さまとドレーク兄さまだったら、本当にやりかねないわね。そのくらいの剣幕を見せていたから……あんな形相は久しぶりに見る。というか、初めてかもしれない。

「ルック兄さま……お気持ちは大変嬉しいのですが、それはお止め頂けますでしょうか? 兄さまが犯罪者になってしまいます」

「そうか……残念だよ」

「ルック兄さま、怖いですよ……」

「べ、別に僕はレミーラ嬢に告白をしただけで……第三夫人として迎え入れるなら、特に問題はないでしょう!?」


 とても勝手なことを言っているマグロ様。凄い剣幕になっていたシグレ様やルック兄さまの存在に気付いたようだ。私の返答を聞かずして、そっちに集中している。

「ふう……マグロ殿。その提案が成功する確率がどの程度あると思っているんだ? いや、そもそもの話として、成功すると考えているだけでも、信じられないが……まずは、レミーラ嬢の返答を聞いたらどうなんだ?」

「あ、そ、そうですね……レミーラ!」

 シグレ様に促されて、マグロ様は私に視線を合わせた。なぜか目をキラキラと輝かせている。信じられないけれど、ここはハッキリ言っておいた方が良いだろう。


「マグロ様……私はあなたへの愛情など、もう完全にありません。何をどう説得されようと、私があなたに振り返ることはもうないです。いい加減に諦めてください」

「れ、レミーラ……!? う、嘘だろう……そんなっ!?」


 私の誕生日パーティーだと言うのに、マグロ様はとても大きく叫んでいた……何が「嘘」なんだろうか。そんな思考になるには、どのような経路を辿れば行けるのだろうか。多分、マグロ様専用の経路で、誰も辿り着けないんでしょうね。

 今度こそ、ハッキリと言えたわね。これで間違いなく、マグロ様に伝わったはずだわ。
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