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Protecting Moon 12
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結城が背筋を正して言った。
「即答できるまでに至った努力を見て下さい。実力は、努力と根性でなんとでもなります。実際、そうやってうちは大きくなりました」
「あなたは?」
「結城睦月。営業課長をしています。そしてこの度、月曜日の株主総会の決議をもって、月代を会長に、俺が社長職を継ぎたいと考えています」
名取川文乃は、結城を走査するように目を細めた。
「月代さんの後をあなたが……。たかが営業課長であるあなたが?」
「はい。俺の力は十分ではない。不足している分、仲間達に力を借りようと思います」
「月代さんは逆だったわ。不足している者に力を与えた。マイナスだと自覚していながら、あなたは他人の力をあてにしているわけ?」
侮蔑じみた眼差しが、結城に送られる。
結城、頑張れ。怯むな!
「……残念ながら、俺は月代のようにカリスマ性があるわけでもなく、頭脳派でもなく、万能ではありません。ですが、俺自身より誇れる仲間がいる。仲間達の力があれば、俺はどこまでも強くなれます」
結城はたじろがなかった。強い意志をもった目で見返している。
「……あなたは自分の無力さを自覚しているのね?」
「はい」
「鹿沼さん、あなたは?」
彼女の目があたしに向いた。
「あなたは無力だと思っている人間が社長をする会社に居て、恥ずかしくないの?」
「恥ずかしくないです。私もまた無力で、仲間に支えられてきましたから。結城はあたし達が誇る男です。月代が背負った重責を引き継げる人間だと信じて、彼を社長に据えたい。突拍子もないことをしているわけではありません。結城が適任と思っています」
彼女は含んだ笑いを見せた。
あたしを笑っているのだろうか。……甘い? それでも結城だから、あたし達は従えるんだ。
朱羽の方に視線が移る。
「……。あなたは? 一番の頭脳派みたいだけれど。あなたは鹿沼さんのような感情論の意見?」
「私はWEB部の課長をさせて頂いています、香月朱羽と申します」
「香月、朱羽……? 忍月の?」
さすがは情報持ち。
忍月の副社長からでも、忍月事情を聞いてでもいたのか。
朱羽は嘲るように笑った。
「私は……忍月ではなく、シークレットムーンの香月朱羽で居たい」
「………」
「そう決心するくらいの不思議な力が、結城さんにはあります。結城さん独特のカリスマ、支配力……、私は、結城さんが率いるこの仲間のためなら、喜んでこの身を捧げたい。恐らくは同僚達は皆、そう思っているかと」
朱羽の言葉に、皆が一斉に頷いた。
「私は、私自身の欲のために今まで生きてきました。他人を信じるということができない男です。この会社に入って私は、少しずつ自分が変わっていっているように思えます。ようやく喜怒哀楽が出ました」
「………」
「仲間にも顧客にも、全員がひとりのために全力を尽くす……そんな会社です。それはここに集まる皆の信条そのもので、私は……忍月と戦いシークレットムーンに戻る覚悟を決めました。シークレットムーンは私の家族です」
朱羽の心情に泣けてきた。
目を潤ませた結城のおかげで、朱羽はシークレットムーンを、結城達を捨てない選択肢を選んだんだ。否、創り出したと言うべきか。
「後継者に、ならないと?」
「なりません」
きっぱりと朱羽は言い切った。
「忍月財閥の当主になったら、あなたはすべての権力を手に入れるのよ?」
「権力より、彼らの元で人間でいたい」
朱羽は静かに言った。
「人間として当たり前の感情を、私は知って生きていたい」
名取川文乃はなにかを考え込む素振りを見せた。
そして数分じっくりとかけてから言う。
「……鹿沼さん。あなたの寿司はそのままあなたがお食べなさい。そして、あなたも含めて全員に、残りの魚で寿司を振る舞うわ。……元から、感謝の印の夕食なのに、食べられないひとがいるのはおかしいし」
「は、はあ……」
名取川文乃の本音と建て前がよくわからない。
ただわかることは――、
「だけど、まだ完全にあなた達の言葉を信用したわけではない」
彼女を動かしているのは、彼女にとって異質なあたし達の興味だけであって、信用を勝ち取ったのとはまた違うということ。
「言葉ではどうとでも言えますからね。ですから、食べ終えたら……茶室に来なさい」
心を揺るがすには至っていないということ。
「茶室?」
「そう。そこで私が茶を淹れます」
食後だからと、湯飲み茶碗に急須でお茶が振る舞われるわけではないのだろう。
茶道の大家であるのなら、茶とは……お抹茶を茶筅で点てたもの。彼女が得意とする分野の領域で、あたし達に茶を振る舞うことに、どんな意味があるのだろうか。
「日本人であるのなら、作法くらいおわかりですね?」
……あたしは、浴衣の着付けくらいは出来ても、華道や茶道など体験したことがない。ドラマや時代劇であるように、畳に正座して、本格的な濃茶を口にしたことがないのだ。
茶道の作法を始めとして、詫び寂びに心を馳せ茶を嗜(たしな)む心をわからないとは言わせない、というような眼光の強さに、思わずあたし達は萎縮してしまった。
その中で、衣里と朱羽だけが平然としていたのに、あたしは気づかなかった。
・
・
・
・
大広間には、あたし達だけしかいない。
なんとかゲット出来た、全員分の寿司。
結城を含めて答えられなかった社員が皆、話を切り出したあたしに礼を言ったけれど、次に茶室でなにをされるのかとびくびくする……あたしを含めた社員達には、正直味がわからなかった。
空気がどんよりして、結城の空笑いと木島くんの声が響く中、涼しい顔の朱羽と衣里が話し合っている、その内容に気づかないほどに……あたしは不完全燃焼にもやもやしていた。
"働かざる者食うべからず"
そう表現した名取川文乃は、愛猫まで簡単に捨てようとした。
そんな傲慢さを見せながらあたし達に頭を下げて、彼女が見放したはずの猫を救ってくれてありがとうと、謙(へりくだ)って礼も言う。
さらに、夕食は終わりだと宣言しながらも、彼女は全員分の寿司を始めから出すつもりだったような……そんな気すらしているのは、ガラスケースとご飯を空にさせた板前さん達のひとりが、彼女に頭を下げて言っていたのを耳にしたからだ。
――終了しました。ご注文ありがとうございました。
板前さん達はここ常駐ではなく、外部から職人を雇ったんだろう。
ならば料金が発生するだろうからそう言ったと考えられなくもないが、最初から五人も板前さん達が呼ばれていたこと、人数分の魚介類とご飯が用意されていたこと、そして全員に新たに配られた……寿司が乗った笹の葉型のガラスの皿も、きっちり二十人分。
……あたしは名取川文乃が最初から、二十人前の寿司を用意していたのではないかと思えてしまったのだ。
ヴァイスも彼女に捨てられるという危機感を感じていなかった。少なくとも彼女が車に乗ってヴァイスを置いてしまった時点で、なにかネコの本能からのアクションがあってもよかったのではないか。
つまり――。
ネコすら知り得るほど、ネコを愛する彼女は、ネコを最初から捨てる人間ではなかった。
そして、あたし達を淘汰するような試験を与えながらも、寿司も最初から全員分用意していた。
……では、あたし達に傲慢に振る舞った意味は?
彼女にはなにか意図があって、あたし達を試すようなことをしているのではないだろうか。
猫探しから寿司、そして茶室に舞台を移行しようとする、彼女の意志と思惑は、一体なに?
母屋に入った時、彼女が会社と朱羽を救うキーマンになるとは思ったけれど、寿司から端を発したあたしの発言は、彼女を取り込みたいから社員を宣伝したわけではない。
ただ単に、わかって貰いたかっただけだ。
それがあまりわかって貰えてなさそうで、ため息をつきながら、気分転換に寿司でも食べようと箸を掴んだ。
そしてあたしは、違和感を感じた。
「……ん?」
箸の下は、真っ白いブツばかり。
シャリだ。ご飯だけが、あっちこっちに散乱していた。
「え? 魚は? 蟹は? トロは?」
騒ぐあたしに、隣の朱羽が言った。
「……陽菜、聞いてなかったんだ?」
心底哀れむような顔で。
「ごめん、俺の……皆にわけちゃってて」
「え?」
朱羽があたしの後ろを指さした。
すると――。
「みゃ~」
ネコが!!
朱羽の移り香を纏う忌まわしき、純白のふさふさネコが!!
「あたしの魚~!!」
ネコの傍に置かれていたのは、ご飯粒まみれの、寿司ではなく刺身となった……なにかから剥ぎ取られた魚達。それは多分、いやきっと――。
「あたし1個しか食べてないんだよ!? この泥棒猫~っ!!」
「みゃ~っ、みゃ~っ」
泥棒猫は、じたばたじたばたもがいていた。
断じてあたしがなにかをしたとか、超能力や呪いの力でネコをどうこうしたわけではない。
「え、なに?」
「……わさびを、思い切り食べちゃったみたいでさ」
気の毒そうな顔をした朱羽が、開きになったネコを座らせてみせると、ネコは毛という毛を逆立てて、あたしから奪った魚にフーッフーッと怒り、あろうことか爪をたてた手であたしの魚を"たたき"にし、そして畳ごとがりがりと爪を研ぐようにして、引き千切り始めたのだ。
「NO~っ!!」
気分はムンクの叫び。
あたしのお魚たちが!!
見れば他の皆は既に食べ終えたらしく、お皿は空っぽで。皆のために寿司をゲットしたあたしだけが、1個だけしか食べられていないこの状況。
「あたしのお寿司~っ!!」
「「だから言ってたのに……」」
とてもとても同情めいた眼差しを、あたしは浴びる羽目に。
みゃーみゃーうるさいネコは、なにかくるくると回っておかしな行動をしながら、あたしの尻に噛みついた。
こんなお行儀が悪いのは、飼い主が猫かわいがりしているせいだ。
名取川文乃がいないことをいいことに、完全八つ当たり。
「いったっ!! あったま来た~!! しつけてやるっ!!」
「みゃ~」
あたしはネコを追いかける。ネコはよろよろと逃げる。
「捕まえた!! この猫ババネコ!!」
「フーッフーッ!!」
捕まえればひっかかれ、頭を叩いて怒ると、長い尻尾で顔をぴしぴしと叩いてくる。
「おとなしくしなさいっ!! ――お手っ」
「フーッ!!」
「陽菜、それ……犬だから。あのお転婆ネコは、しつけられないよ、猫の首に鈴をつけるようなもんだ」
「猫の歯に蚤ともいいますね」
「わからないっす、わからないっす! ネコネコ言うならあっちのネコを助けましょうよ、主任大変そうです」
「ああ、陽菜は大丈夫。木島、ほっとけほっとけ。皿嘗(な)めた猫が科を負うよ?」
「杏奈ひとつわかった!! 上手の猫が爪を隠す、知識豊富さを自慢しない、香月ちゃんと真下ちゃんのことだよね!」
「俺、さっぱりわからん。なんだよ、真下と香月だけではなく三上まで、ネコ語喋りやがって」
バタバタと畳を駆けながら、あたしは叫んだ。
「皆もまったり話し合ってないで、手伝ってよ!! 浴衣じゃ追いかけづらいのよ、猫の手も借りたいわ!!」
「みゃ~」
「お前じゃないの!! なにその余裕!!」
……あたしとネコの戦いは、しばし続いた。
*****
・猫の首に鈴をつける…いざ実行となると、引き受け手のない至難なこと
・猫の歯に蚤…不確実なこと、めったに成功しないこと
・皿嘗(な)めた猫が科を負う…悪事をはたらいた主犯が罪を逃れ、悪事に少しだけ関係した小者が罰せられること
・上手の猫が爪を隠す…本当に能力のある優れた者は、その力を自慢したり、見せびらかしたりはしないということ
***
忌まわしきみゃーんは、突然入って来た藤色の老婆が連れて行った。
あの猫かぶり、あのおばあさんの前ではいい子にしているのか。
だからおばあさんはわからない。
あたしが、あのネコのおかげで空腹が解消されていないことに。
……いいもん、猫舌が飲めない淹れ立てのお茶と、美味しい茶菓子でお腹を満たすから!!
プライドにかけて、ネコに盗られたことは言いたくない。
茶道――。
正座しながら、点(た)てて貰ったお茶が入ったお茶碗が回ってきたら、正座をしたまま手をついてお辞儀をして、飲んだらくるっとお茶碗を回して、隣に渡す……くらいなら知っている。
六年前に新人研修みたいな形で、新社会人のためのマナー講座のようなところに、社長の強い勧めで結城と衣里と同期で行かせられたことがある。
社長、全然役に立たなかったよ。
「こんな感じだったよな?」
結城が宙で右手を手前から奥へ揺らす。
「え、奥から手前じゃ無かったっけ?」
あたしが反対側の動きをする。
「ま、まあどっちでもいいよな。回せば……」
「駄目です」
色っぽい格好をしているくせに、眼鏡がキラン!と光る朱羽。
「真下さん、流派は覚えてますか?」
「裏千家」
「だったら陽菜が正解」
なんだかよくわからないけど、あたしはやったと両手を挙げた。
「茶道には流派が沢山あります。中でも有名なのが、千利休の流れを汲む表千家、裏千家、武者小路家の三千家。流派によって、作法が変わる。襖の開け方も、畳の歩き方も、茶碗を回すのも……」
朱羽がそう言った時、給仕が来た。
「これを身につけて茶室においでくださるようにと」
それだけ言うと、さっさと帰ってしまう。
目の前には、赤系と青系……性別に分かれているのだろう、小道具があった。
「おっ、扇子があるっす! それとあぶらとり紙とそれをいれる袋っすか?」
すると衣里が盛大なため息をついた。
「あぶらとり紙ではなく懐紙。茶菓子を貰ったら皿代わりにするの」
確かそんなことをした記憶があるが、六年前の記憶は朧だ。
「……帛紗(ふくさ)がない」
朱羽が腕組をして言った。
「帛紗の色や大きさで流派がわかると思ってたけど、それを隠したいのか?」
訝しげな顔だ。
「なあ鹿沼、帛紗ってなんだ?」
結城がこっそりと聞いてきた。衣里に聞かないところ、あたしの方が自分に近いと思っているのか。
「小さい風呂敷みたいな奴だよ。ハンカチ代わりの」
「そんなのあったっけか?」
結城の記憶も曖昧らしい。
全員が懐に入れ終わった後、先ほどの給仕が来た。
「ご案内致します」
表情があまりない給仕は、朱羽や衣里が尋ねても、お茶のことはわからないらしい。もしかしてわかっているかもしれないが、口を開きそうにない。
「陽菜、作法とまず言われたからには」
あたしの横で朱羽は堅い声を出した。
「まずは流派を特定するのが先だ」
「あたし、マナー教室でやったのしか知らないよ。朱羽は全部知ってるの?」
「忍月に、俺も昔マナー講座みたいな帝王学をやらされたんた。三千家はわかるけど、副社長がわざわざ名取川文乃に稽古をして貰っても、懐柔できなかったということが、副社長がわかっていない……名取川文乃の茶の道に反していたからのように思えるんだ」
「だったら、その茶道がどんな道なのかわからなければ、副社長の二の舞ってこと?」
「ああ」
朱羽は堅い顔をして言った。
「ひとつ気になるのは、あのお辞儀の仕方……」
朱羽は目を細めた。
「もしかするとヒントを出しているのかもしれないけど、帛紗を出さないあたり、攪乱させる気かもしれない。……真下さん」
前に歩いていた衣里が振り返る。
「あなたは茶道に強いですか?」
「強いわけでもないけど、一応は有名どころは全部やらされてる」
さすがは元お嬢。あ、今もお嬢なのか。
「ここの茶道はご存知で?」
「いやまったく。香月は?」
「俺もわかりません。帛紗もないから、夫人の歩き方やお茶の点て方などで判断するしか」
「総合的に、違いがわかっているかのテストなのかしら」
「恐らくは」
……そんなのこのふたりしか知らないよ。
杏奈を始め、他社員も茶道はまったく知識がないと言う。
「……香月の表情、予想はたてているんだ?」
「一応は。だけどそれは俺もあまりよく知りません。婦女もそうなのかとか、明確なところは」
「ああ、あのお辞儀の仕方?」
「ということは真下さんも?」
「私はあれだけはやっていなくて、知識だけなの。細かい違いとはわからない。もし名取川文乃がわざとやってきたり、隠したりしたのだったら、お手上げ」
「……あれも裏表あるでしょう。まずは裏か表かを確定します。真下さん、俺の隣で座ってくれますか?」
「OK。目で合図し合おう」
ただ茶を飲むだけのものだと思っていたあたしは、呆然だ。
シークレットムーンが誇る知識人が断定出来ないのなら、あたしはなにも出来ない。それが悔しいあたしとしては、昔を思い出しながらなにかヒントを見つけて上げたいと思う。
お腹がきゅるきゅる鳴ってしまった。
「あはは、陽菜。茶菓子で誤魔化しな」
「うん。美味しいお茶と美味しいお菓子で……」
「陽菜、茶菓子は先に食べきるのが基本だよ。そう習ったでしょ。覚えてない? お腹すかせた結城ががっついて一気に食べて喉詰まらせたの」
「……お前、忘れろよ、恥ずかしい」
思い出した。
あれは……水分を吸収するような、干菓子だった。当然お茶がくるものだと食べた結城と、お茶と一緒に食べようととっておいたあたしは、講師と衣里に駄目出しされたのだった。
ふぅ、いけないいけない。
茶道のさの字も覚えていないけれど、とにかく朱羽からの"伝言ゲーム"、頑張らなきゃ。
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