転生しました。

さきくさゆり

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第三章

反省しました。

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「お、帰ってきた」

 帰還陣は起動すると入り口付近に転移するようになってる。
 隠しステージの帰還陣もちゃんと入り口付近に転移した。
 そういえば、転移魔法術できるようにしねーと。

「アオ達は……いないですね」
「…………」
「どうします?」
「…………」
「あのー……先生?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………忘れます」
「…………頼む」

 その後、俺と先生は無言のまま五分ほど立ち尽くした後、ダンジョン局に隠しステージのことを報告しに行った。

「あ、師匠」

 ダンジョン局のロビーにアオとリーシャがいた。
 先生は軽く手を振ってから受け付けに行ったので、俺は二人に近づく。

「疲れたぁ……。ってあれ?刈り上げバカは?」
「ソレでしたらそこに……」

 アオが指を差した方向は俺の足元。
 視線を下げるとチェニックが土下座していた。
 俺は丁度いいので後頭部を踏みつけた。
 ウリウリッ。

「よーチェニック君。元気だったかなぁ」
「イダダダダダごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
「俺大変だったなあー。先生いなけりゃ死んでたかもしれないなあ。腕飛んでったなあ痛かったなあああああ!!!」
「ごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざい!!!!」
「なにをしとるか馬鹿者が!!」
「アガッ!」

 先生に殴られた。

「だって先生、俺コイツのせいで腕が飛んでったと言っても過言ではないんですよ!しかも成果があのクソめ「黙れ」……はい」

 怖い……。

「とりあえず足をどけろ」

 あ、忘れてた。
 つかリーシャはなぜ踏みつけてるのに何も言わねんだ?
 と思ってリーシャを見ると……あ、目を逸らされた。
 流石に今回は庇いきれんか。

「ま、今回は珍しく反省してるみてえだから大目に見てやるが、次やったら右足消し飛ばすから」
「うん、ごめんよパスト!」

 ったく……ん?

「なあ、今俺のこと呼び捨てにした?」
「え?したけど駄目だった?」
「いや駄目じゃねえけど気持ち悪いなと」
「酷いッ!」
「ところでそっちは結局どこまで行けたんだ?」

 チェニックを無視してアオに聞く。

「ソレが騒いではいましたけど目標は達成しましたよ」

 ソレて……。

「んじゃ、俺だけか。明日一気に行くかな」
「師匠の方はどうだったんですか?」
「ああ、先生がメッチャ強かった。お前先生に弟子入りすれば?」
「そんなですか?!」
「そんなです。俺絶対勝てねえ」
「うわぁ……。まあでも師匠の方が色々美味しい物が食べられるんで」

 俺が今アオのことを見る目はきっと冷めきった目をしてるだろう。
 ま、それは置いといて。

「帰るか」
「はい!」
「んじゃおつかれーっす!」

 出口に向かおうとしたが、先生が目の前に立ち塞がった。
 俺に向かって右手のひらを上に向けて突き出してくる。

「な、なんでございやしょう」
「パスト。出せ」
「先生、生徒をカツアゲなんてヤバイですよ」
「ドロップアイテムを出せ」
「…………チッ」

 大人しくアイテムバッグから眼鏡を出して先生に渡した。

「油断もスキもない奴だ」
「はーいごめんなさーい」

 先生の額に青筋が浮かんだところで、俺とアオはさっさと退散した。


 *****


 次の日、俺はまたヨンの迷宮の前にいる。
 そして横に先生と……何故かチェニックとリーシャがいた。
 アオは出店巡りである。

「んじゃ行きますかーね」

 俺が屈伸やらなんやらしながらそう言うと、先生が話しかけてきた。

「おい、パスト。アイテムバッグはどうした?」
「ああ、ちょっと身体強化の練習しようかなと。なので今日はアイテムポーチです」

 アイテムポーチは小さいので腰につけておけるから、結構楽に動けるのだ。
 アイテムバッグじゃ背負ってる分、後ろへの動きが地味に阻害されるのだ。
 普段じゃ異空間魔法術使ってりゃいいから気にしてなかったけど、昨日のことで少々反省した。

 魔法術が効かない場合があるとはね。
 なんで思いつかなかったんだろ……。
 ゼロの塔でもしそんなやつが出てたら確実に死んでたなぁ。

 とまあそんな理由で俺は今日は身体強化のみで今回は挑もうと思ったのである。


「ところで先生はわかるんですけど……なんでお前らいるの?」
「昨日のお詫びも兼ねて手助けをと思ったんだ!」
「いらん。帰れ。リーシャも保護者ならこいつの管理なんとかしとけ」
「ち、ちち違うわよ!私は保護者なんかじゃないわよ!!」

 リーシャは真っ赤な顔で全否定してきた。

「あーはいはい保護者じゃないないだから連れて帰れ」
「いーや帰らない!絶対帰らないからね!」

 うっざ。
 もいーや。

「はぁ、もう少し仲良くしたらどうなんだ」
「あんなのと仲良くしてたらいずれ死ぬかもしれないんで嫌です」
「仲良くしてなくても死にかけたんだろ?」
「死にかけると死ぬとじゃ全然意味が違いますが。もういいでしょ。行きますからね」
「わかったわかっ……おい待てパスト」
「待ちません。さっさと終わらせたいんで」

 俺が全力で身体強化魔法術をかけたことに気づいたらしい。
 先生が止めようとしてきたが、もう遅い。

「パスト、いっきまーす」
「待てパ……」

 俺は先生の声を無視してヨンの迷宮に飛び込んだ。
 飛び込む時に何人かぶつかったような気がしたが……ま、気がしただけだ。

 ボコりまくるぜOH YEAH!!!
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