転生しました。

さきくさゆり

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第五章

記憶は無くても

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 目を開けると、玉虫色の非常に長い髪をしたスレンダーな女と、綺麗な銀髪を床まで伸ばしている胸の大きな女性が立っていた。

「なんだこの気持ち悪い髪の女」

「また言ったなああああ!!せっかくお主のために隙を突いて引っ張ってきたと言うのに!というかどんだけ遊び回っとるんじゃ!!はよ帰ってこぬかああああ!!!」

 うるさい。

「つか誰あんた」
「……またか……またなのか……」

 またってなんだよ。

「あーお主はここ四年間、何をしておったか覚えておるか?」
「は?なんでお前に言わなきゃならんので?」
「……なんかお主の態度、前より酷くなっておらぬか?」

 何をわけのわからんことを。

「ねえこの子メッチャクチャな存在になってるんだけど」
「やっぱりかぁ……。これバレたらやばいかの」
「まあ下手すれば神格没収の上暫くの間下界で強制労働の可能性ありね。何が困るってアンタのせいで私までとばっちりをくらうことよね。アンタのせいで」
「ぐぬぬ……」

 何こいつら。
 強制労働とか何言ってんの?

「なあどこなのここ」

 ステンドグラスの窓に、等間隔に並んでいる椅子。
 壁は石のようだ。
 俺が立っているのは椅子が置いてある床から少しだけ高くなってるステージみたいなところだ。
 うーんなんとなくこの間見た教会の中みたいだな。

 そして、そのステージの後ろの真ん中にデッカイ像がある。

 口の周りは髭だらけで首元まで伸びている。
 そして、全裸。
 無駄にガチムチ。
 その状態でグ○コのポーズ。
 背中には俺の身長ほどもあるくらいデカイ翼が左右から見えていた。

 端的に言えばクソジジイの変態像だ。

 何を崇めてんだ……。

「そうじゃった……。えーとじゃな。とりあえずお主を直さないとならんの。頼むぞエトラ」
「はぁ……わかってるわよ。ほらこっち来なさい」

 来なさいと言いつつなんか俺の目の前に立ってる銀髪の人。
 うわ、まつ毛長っ。

「それじゃ、目を瞑りなさい」
「へ?」
「アンタ私の世界での記憶が眠っちゃってるのよ。だから引っ張り出すの」

 どゆことー。
 とか思っていたは両手で顔を掴まれる。

「目を瞑りなさい。その方が楽よ」
「あ……い、や……それ、は……」
「ふーんまいいけど。んじゃやるから……」

 何を?!
 だんだん近づく銀髪の人の顔。
 これは……アレか?アレなのか?
 気が着けば俺はゴクリと唾を飲み込む。
 銀髪の人の唇が目の前で開く。

 ……目の前で開く?

「アグっ」

 俺は銀髪の人にデコを噛まれた。
 何かがタラーッと垂れてくる。
 この匂いはアレですね。
 俺の……血……。

「はあああああああああああ???!!!」
「うゆはいかあだあって……んぐ……あ、こえら」

 なんかズルズル鳴ってんだけど?!
 どゆこと?!
 痛みがないのが逆に気持ち悪いよ?!

「おい!たしかヘトリーだったか?!こいつ何なんだ?!」

 視線を向ければ、ヘトリーはいつの間にか炬燵に入って丸くなっていた。

「ふざけんな!つか力強っ!」

 引き剥がそうとしてんのに全然離れねぇ!

「アグアグアグ……ぐっ……ふぅ……どぉ?色々思い出したでしょ?」

 始まりと同じで突然離れた銀髪は何事も無かったように炬燵へと入りに行った。
 銀髪の口に血がついていないのを見て、俺は自分の頭を擦ってみる。

「……なんもねぇ」
「当たり前でしょー。魂からあんたの記憶をひっぱり出しただけなんだから」

 なるほどね。
 全く理解できないや。

「それで?何度も聞いてるんだから答えてくれない?思い出した?」

 ああそのこと。

「思い出したっちゃあ思い出した」
「何それ」
「なんだろう。俺の記憶ってのは分かるんだけど、俺じゃない記憶っていうか……。自分の日記を見ているのに似ているかね」
「あーそゆことね」

 銀髪の人は納得したように一つ頷き、グデーっと炬燵に身体を預けた。

「あのー1人で納得しないで欲しいんだけど。つか俺も炬燵に入れて」
「勝手に入んなよ」
「んじゃ失礼」

 足を入れると丁度ヘトリーの足があったので軽く押しのける。
 不満そうな顔を向けるな。

「あんたは今どっち?和樹?パスト?」」
「あ、そゆこと。今は……和樹だな。パストではないと思う」

 俺もわかった。
 要は二重人格みたいなものだ。
 違うのはどちらかが起きてるときは寝てるとかではなく、同じ個体で二つの記憶を客観で見るか主観で見るかで人格を分けていることだろうか。
 上手く説明できない。

「要はあんたはちょっと気持ち悪いヒトってわけよ」
「酷い言い草だなおい」



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