転生しました。

さきくさゆり

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第六章

成長……

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 窓から入る日の光でまた目が覚めた。

 窓から外を見ると、曇り空の下に広がる赤瓦の海が見下ろせる。
 ……どんだけ高いんだここ。
 展望台にいる気分なんだけど。

 すると後ろでズドンッというとんでもない音がして、その後身体に衝撃が走った。

「おっぶっほっっ!!」

 俺は壁に当たる……ことはなく、誰かに優しく抱きしめられていた。

「おおおおめめめめめめ!!!」

 頭上で何やらどもってる声がする。涙声だな。
 誰だ?

「おーい離れろー」

 よくわからんがとりあず無理矢理離れようと腕を突っ張ろうとしているのだが……。

「力で強すぎるだろ?!誰だよ?!」
「じんばいじだんでずよおおおお!!」

 声の感じは女だけど……わかんねぇ!

「とにかく離れろ!顔を見せろ!」
「ぞうでず!がおをみぜでぐだざい!!」

 パッと力を緩められたため、俺は後ろにひっくり返った。
 クルッと後転して立ち上がって、誰が抱きしめてきていたのか見上げた。
 そう、見上げたのだ。

 その女は俺が見上げるほど背が高く、スラーッとした起伏の少ない女性だった。
 肩まで伸ばしている黒髪が俺と同じ着流しのような服装に合っている。

 その女性は涙をボロボロ零しながら笑顔で言った。

「おはようございまず!」
「いや誰だよ」

 瞬間、女性の顔が強張った。

「わ、からない……?あれ?そんなに変わって……あ!もしや記憶が!寝ている間に記憶が!」
「いや全部覚えてるから。お前なんか知らん」

 あれー?とか言いながら頭を抱えて蹲ってしまった。
 困った。
 そんなショックか。

「あらあら扉を壊したのは誰かしら?」

 いつの間にかゴス服の可愛ら……綺麗な女性が扉の無くなった入り口に立っていた。

「あ、アオの母さん。おはようございます」
「はいおはよう。ところで扉を壊したのはパスト君?」
「いえっ!この人です!」

 俺はびしっと気を付けの姿勢を取り、右手で女性を指差した。

「えっ?あっその……ち、がうんです母上!つい勢いが!直しますから許してください!」

 女性もびしっと気を付けの姿勢を取った後、ガバッと腰から曲げて頭を下げた。
 つか母上て。

「アオのお姉さんでしたか。アオに比べて随分大人っぽいですね」
「へ?」
「はい?」

 なんか二人から信じられないって顔を向けられたんだが。

「な、なんすか」

 両手を腰に当ててため息をつくアオの母さん。

「私の娘は一人だけよ」
「え?じゃあこの人は?」
「わからないの?」

 わかんないんですけど。
 ジーッと顔を見てみるが、やはりわからん。アオに似ているというか、成長すればこんな顔かなって感じはする。

「あの……あんまりジロジロ見ないでください。ちょっと恥ずかしいです……師匠」

 ……………………いまなんつった?

「いまなんつった?」
「ですから見つめられると恥ずかしいんですよっ」
「そのあと」
「そのあと?えーと……師匠?」

 師匠。
 俺をそう呼ぶのはアオだけだ。

 アオに似ている女性。一人娘。俺のことを師匠と呼ぶ。

 …………そうか……そうなのか……。

「お前、アオなのか」
「はい!」

 うわめっちゃ嬉しそうな笑顔。
 そのままアオ抱き締められた。
 ちょっと痛かった。


 *****


「四年……マジか」
「そ。四年間あなたは寝ていたの」

 俺達はやったら広い部屋で朝食をとっている。
 周りには侍女や執事らしき人が数人並んでいるが、女性は頭にプリムを付けて、メイド服の上から胸当てと腕当て、脛当てを装着している。男性は執事服の上から同じように防具を装着している。料理を運んでくる人も例外なく同じだ。

 さすが王族と言うべきか、朝っぱらから色々豪華な朝食だ。
 アオの母さんなんかシャンパン?みたいなの飲んでるし。

 ってんなこたどうでもいい。

 まず、俺がいるこの場所。

 ここはピレマフ国。その王城の一室だ。

 まず驚いたのは、俺が向こうで四年間過ごした分、こっちでも四年間きっちり経っていたことだ。

 向こうの時間とこっちの時間が一緒なのはなぜなのだろうか。
 なんかこう、そこは神様パワーで時間がこう、泊まっているというか向こうに行った時間に合わせてもらうというかそういう融通きかせてもらえませんかねぇ。

 しかもだ。

 四年経っているにも関わらず、見た目が一切変わってねぇのはどういうこっちゃ。

 そう思ってアオに聞くと、

「師匠が使ってた時間遡行魔法、使えるようになりました。なので眠ったあの日に戻していました」

 とのこと。

 そっかー使えるようになっちゃったかー。

「あの魔法便利ね。掃除が楽になったわ」

 お母さんもですかそうですか。

 よくよく聞けば、四年間でアオは異空間魔法まで使えるようになっているってよ。

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