僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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「私はいつ、いかなる時もイツキに『可愛い』と言い続ける事をここに誓います」
「何の宣言ですか!」

満面の笑みのアヤさんに思わずボソッと突っ込んで、僕は呆れて溜め息を吐いた。

「嫌だな、冗談じゃなくて本気なんだよ?私は本当にイツキが信じてくれるまで言い続けるつもりなんだから」

やめて下さい。
そこまでやるとソレはもう洗脳です、多分。

「そんな物騒な事は考えてないよ」

だから、僕の心を読むのはやめて下さい。

「読んでないよ。顔に出てたから分かっただけだって」

怪しい…
そんなに分かるもんなのかな?

思わずミケーリュウスさん達を見ると、キョトンと小首を傾げられてしまった。

ほら!
やっぱり分からないみたいじゃないか!

「いやいやいや、前にもその件については話したでしょ?」

焦りながらもアヤさんが、僕に対して懸命に言い訳を始め、ミケーリュウスさん達はますます首を傾げた。

そうだよね。
普通に見てたら、途中からほとんどアヤさんが一人で喋ってるだけに感じる筈だもの。
これで僕とアヤさんの会話が成り立ってる事の方がオカシイんだから。

「そこは愛の力だって言わせて欲しいな」

もう!アヤさんは少し黙ってて!

僕はアヤさんの口をつい手の平で塞ぐと、モガモガ何かを言おうとしてるのが楽しくて、呆れたようにちょっとだけ笑ってしまった。

何が言いたいのか、サッパリ分かんないよーだ。
手の平は擽ったいし、まったくアヤさんったら……

僕がクスクス笑いながら手の平を外すと、アヤさんは素早く僕の手を掴み、外した手の平にキスをして流し目でニヤリと笑った。

「仕返しだよ」

背中がゾクッとするようなイケボで、フェロモンだだ漏れの妖艶な笑みを浮かべられ、僕だけじゃなくミケーリュウスさん達までもが赤面して固まる。
アヤさんってば、タチの悪い事に自分が周りの人間からどう見えるのか、本当に良く分かっているんだよね、きっと。
普段も分かってて…もしくは忘れてて放置してる癖に、こういう時の自分の魅せ方は熟知してるんだからホント嫌になっちゃうよ。

現に耐性の無いナージャさんとルーニンなんて、頭から湯気が出そうなくらい真っ赤になって、ヨロヨロと床に座り込んでしまった程だ。
我に返ったミケーリュウスさんが慌てて二人を覗き込むようにして屈むと、僕は脚をプルプルさせながらもキッとアヤさんを睨み付けた。

これ以上の悪ノリはダメだよ。良くないよ。

「うん、そうだね。ゴメン」

アヤさんがいつものアヤさんに戻って頭を下げると、僕達はホッとして各々が深い溜め息を吐いてしまったのだった。

「あやさん……」
「ぅあ、は、はい!」
「やり過ぎです」

焦って顔を上げどもるアヤさんを見て、目を丸くして驚いているミケーリュウスさん達には気付かず、僕は静かな口調で釘を刺す。
と、アヤさんはこうべを垂れてしょんぼり肩を落とした。
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