備蓄勇者は旅をする

カラスギル

文字の大きさ
5 / 14

第5話 備蓄勇者とアルム村

しおりを挟む
 アーチャーたちについていくとアルム村というところに案内された。人口は50人くらいの村らしい。場所でいうとこの大陸の中央に位置する広大な平原の中央あたりらしいということだ。地図を見せてもらい納得した。

 案内してくれたアーチャーは、この村の長老の孫娘だった。その孫娘が連れてきた客人ということで家族の食事に招かれていた。

 何を煮込んだかわからないシチューが食卓に並んでいる。

 「訪問者とは実に珍しい」

 口を開いたのは、この村の長老シューマン。筋骨隆々の白いあごひげを蓄えたアーチャーの祖父。ちなみにアーチャーの名は、シーナ。

 「食事にお招きいただきありがとうございます。家族団らんのところにお邪魔をしてすみません」

 社交辞令の返事を返しつつ様子を見る。周りに座っている家族と思われる者たちは、オレに視線を集中させていた。何者であるのか見極めるために観察されていることは容易にわかる。

 「そなたの話ではどこから来たのかわからないということだが、何かの儀式にでも巻き込まれたのかな。それとも異界から召喚された悪魔の類かな?」

 するどい目つきで筋肉だるまの老人はこちらを射抜く。

 「あなた方と同じ人の身であることは間違えないと思います。異なる世界からこちらに飛ばされてきました。誰の思惑でそうなってしまったかは、はかりかねますが」

 海外で経験した原住民との会話のような既知感があった。どこへ行っても新参者はなかなか受け入れてもらえないものだった。じっくり話を重ねながら馴染んでいくしかない。

 「暖かい食事が冷めてしまいます。詳しいお話は食事のあとでお願いします」

 アーチャーことシーナが会話を遮り皆の注目を食事へと引き戻す。同席している子供たちは、我々の会話などどこ吹く風で食事に視線を集中させている。顔には早くご飯を食べたいと書いてあるようだった。

 「すまんなかった。食事をはじめよう」

 長老シューマンの掛け声で場の雰囲気は暖かさを取り戻す。

 「今日の糧に感謝をしていただこうではないか」

 腹が減っていたオレは、食事にありつけたことを感謝し、食べ始めたのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...