エロゲ世界に転生したが、俺は平凡な青春を過ごしたい。

蜜りんご

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1部:1年生

第17話

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文化祭準備が始まって、俺らは放課後だったりそれ用の授業でどんどん準備を進めていた。特に俺は美術部、ということで準備では主に絵を担当することになった。もちろん同じクラスで美術部所属の上谷さんも一緒だ。今のところ2人きりになってないため、エロゲ展開は起こっていない。奇跡的状況だと思ってる。

だがしかし今、危機的状況が起こっている。放課後に準備をしているが、思った以上に時間がかかってしまいクラスの女の子1人と上谷さんと俺だけになってしまった。外も暗くなってるし。もしあの子が帰ると俺は上谷さんと2人っきりになってしまう。だからさっさと、終わらせて帰りたい。

「ごめん今日バイトあるから、私帰っちゃうけど2人で大丈夫?」

神はいなかった。全然良くないが、バイト休んでまでここにいる必要はない。それに俺の都合で残ってもらうわけにはいかない。

「全然いいよ。バイト頑張ってね」

「りょうかーい。私達で片付けしとくから安心して!」

ばいばーいと言って、3人で作業していたうちの1人が帰っていった。しばらくは、上谷さんもしっかり絵を描いていた。が、気づいたら目の前というか横?にしゃがんでいた。どんだけ集中して絵描いてたんだ、俺。そしてがっつりパンツ見えた。

「田中君、わたし田中君に選ばれるようになるために頑張ってるの。毎日パックしたり、バイト頑張って脱毛通ったり、メイクで可愛くなれるようにしてみたりしてみたんだけど…それでもやっぱりダメ?私の足りないところはどこ?」

床に模造紙広げて、絵の具を使っててすぐに動けなかった俺は上谷さんにロックオンされた。俺の腰の上にまたがってきて、半分押し倒される様な形になってしまった。

「田中君ってすごいいい匂いする」

首あたりに擦り寄ってきて、すん、と匂いを嗅がれて思わず体が硬直する。体も押し付けられているせいで、俺のひざが上谷さんのお尻に当たっているし、おっぱいだって体に当たっている。

「上谷さん…ち、近い。あと、離れて欲しい。絵の具ついちゃうし」

「そんなことどうでもいいよ。洗えば多分落ちるし。それに、私はこんなに田中君のことが好きなのに、触れ合っちゃダメなの?ねぇ、田中君はなんでこんな魅力的なの?」

駄目だとか魅力的だとかいろんな思いが浮かぶ。そして駄目だとすっぱり言えない俺はヘタレだ。さらに上谷さんは首筋にちゅ、と軽くキスしてきた。キスマークとかはつかないくらいの、軽いものだけど。

「田中君の匂い、ずっと嗅いでたい。ううん、むしろ私に移すくらい一緒にいて」

(上谷さん!俺なんかやめて違う人好きになって!!)

やっと我に帰れた俺は、なんとかして手に持っていた絵の具の筆を床に置き、上谷さんを押し返えそうとした。けど俺がバランスを崩したせいで、完全に押し倒されてしまった。俺を押し倒してる上谷さんは、顔を赤くして恍惚の表情ではぁはぁ言っている。女性恐怖症になりそうな勢いで今俺は襲われている。

「わざわざ、推し倒されるってことは私との関係認めてくれるってこと?それともそういうことしたい、ってこと?かずくん」

「違います!!絵筆置こうとしてバランス崩してこうなっただけで、他意はないです!!あと、そろそろいい加減俺の上からどいてください」

(てか急にかずくん、とか言われたけど何故このタイミング!?)

慌てていたら上谷さんにがっつり顔をホールドされた。そして、唇にキスされてしまった。上谷さんはなんかいい匂いのする口紅を塗っていたのか、キスされた瞬間花っぽいにおいと、口紅のぷるっとした感触を感じた。

「かずくん、大好きだよ。今日のところはかずくんとちゅうできたし諦める…けど、私の想いを認めてくれるまで諦めないからね!!」

そう言って勢いよく帰った上谷さんは、スカートが捲れていて水色のパンツが見えてしまっていた。こんなにエロゲ展開いらない、過剰摂取すぎると思った。それより、片付け全部しなきゃいけない、ということに肩を落とした。

(まぁ、あのまま上谷さんと一緒に片付けるよりマシか)

こないだみたいに、描いた絵が無駄になったり、服に絵の具ついたりしなくてよかった、とほっとした。とりあえず、上谷さんにもキスされてしまい、俺の今世ではもう2人ともキスしてしまったことに驚きながら帰路に着くのだった。
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