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豊穣の姫と憎しみの王子《運命の子供達の誕生編》
星の神に愛された王妃の希望の雫《王妃と2人の聖獣の騎士》
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チリンと鈴の音と共に何も無い場所からファーがテーブルの上に舞い降りた。
そこには、ゆったりめのシフォンの白いドレスに金糸の刺繍が施された帯飾りの神殿参拝用の正装をしたムーンが座っていた。
その後ろには黒のワンピースの胸元に金色のリボンを結んだ神殿参拝用の正装をし、金細工のベルを持ったキャスが静かに控えている。
ムーンが『ファーご苦労様』と声をかけると、ファーは優雅に頭を下げる。
同時に、扉がノックされ…
ムーンが『リン、アス入りなさい』と声をかけると、黄色に琥珀色の縞模様の大柄の寅を連れた黒い軍服を着た女性と白銀に漆黒の縞模様の大柄の寅を連れた白い軍服を着た男性がムーンの部屋へ入って来た。
黒い軍服の女性が「五黄土星侯爵家当主タンジェリン・トリプライト馳せ参じました」と跪く。
女の右隣で大柄な黄寅は行儀良く座り『タンジェリンが聖獣リチオフィライト馳せ参じた』と頭を垂れた。
白い軍服の男性が「八白土星侯爵家当主アラバスター・ジンカイト馳せ参じました』と跪く。
男の左隣で大柄な白寅も行儀良く座り『アラバスターが聖獣グラニットも馳せ参じましたわ』と頭を垂れた。
ムーンは挨拶を受けると『急ぎ頼みたい事があるの…』と切り出した。
リン/アス/リチオ/グラ「「何なりと…」」と2人と2匹は頭を垂れる。
ムーン『急ぎ、地下聖堂の聖室の間にこの部屋を移転する魔法の手配をしてちょうだい』と重く静かな声で指示をする。
アスは慌てた様子で顔を上げて「ムーン様！！！私どもが地下聖堂の聖室に立ち入る事など！！！！！」
ムーンは愛おしそうに大きく膨らんだ腹部を撫でながら『今日の夕方にはこの子が産まれるでしょう。この子の存在があの男に知れたら…』と不安そうに視線を落とす。
リンはムーンの足元に詰め寄り「私どもがこの城ごと全力でお衛りします！」とムーンの手を取る。
ムーンはリンの手を包み首を横に振る。
ムーンは『今は私の魔力でこの女王の城に結界を張っているからこの子の存在を隠せているけど…出産で魔力が揺らいで綻びが出来たら護りきれない…それにこの城をあの男に汚されたくないの…』俯いたその表情は憂いに満ちている。
《豊穣の城》と呼ばれるこの城は…
中央に聳える《蓮華の宮》と呼ばれる外交や謁見をする広間に来賓の宿泊施設が伴った中央城
中央城の右側に《焔武宮》と呼ばれる軍部施設
中央城の左隣に《清文宮》と呼ばれる政治施設
中央城の後ろに《星神の神殿》と呼ばれる聖堂（聖堂最上階に王座の間、中央に公の儀式を行う聖堂、聖堂最下層には地下聖堂にある）
聖堂右側にある城は《始まりの女王の城》《月華妃の城》と呼ばれ、ムーン専用の居城
聖堂左側にある城は《瞬きの休息の城》《王の藍絹の城》と呼ばれ、ベリル専用の居城
《王の藍絹の城》の後ろには、側妃のアイアン・ローズを迎える為に作られた《鉄の茨宮》と呼ばれる離宮で構成されている。
アスはムーンの姿を見て苦悶の表情を浮かべ、ムーンから視線を逸らし歯を食い縛り俯く。
ムーンは苦しそうな笑顔をアスに向け『ここが女王の城で、私が結界を張って隠していると言っても、魔力感知が強いベリル陛下が、こんなにも強いこの子の魔力を感知出来ない程に城の敷地全体に瘴気が充満しているのよ…私もこの女性の城を瘴気から護るので精一杯…大切な貴方達を守れない弱い国王と王妃でごめんなさい』と言うと涙を落とした。
ムーンの涙を見たリンは自分の無力さを悔やみ、聖獣リチオフィライトの背に顔を埋めて嗚咽をあげる。
ムーンは目を潤ませながらも笑顔を浮かべ、『地下神殿なら、ビスマス様の加護があるわ…あの男もベリル陛下もローズ様も手出しは出来ない』と優しい声をかけながら、リンの頭を撫でた。
そして、ムーンは大きく膨らんだ腹部を愛おしそうに抱えながら立ち上がり、リチオとグラの頭を撫で…
『時間が無いの…神殿の準備をお願い』と言うと、リン、アス、リチオ、グラの額に祝福の印を授け、ムーンの守護石で作った［ムーンライト］の腕飾りを手渡した。
ムーン『この守護石に私の法印が封じてあります。お願い…』と頭を下げる。
リン、アス、リチオ、グラは「「御意！」」と苦悶の表情を浮かべて跪き、忠誠の誓いをすると、立ち上がり、ムーンに背を向け…
去り際、アスはムーンの後ろに静かに控える従兄妹のキャスに視線を向けて「キャス…ムーン様とこの部屋を頼む…」と呟く。
キャスもアスを見据えて「これでもジンカイト家の端くれですわよお兄様」と不敵な笑みを浮かべた。
リンはリチオの背に乗り、アスはグラの背に乗りあっと言う間に虚空に消えた…
ムーンはその背中を見送ると、身を翻して力強い声で『キャス、ファー魔法陣と結界を！』と命じ、ムーンが指を鳴らすとカーテンが閉まり窓が眩く光る。
キャス/ファー「「お任せくださいまし！」」と応えると…
キャスのベルと、ファーの首の鈴が部屋中に鳴り響く…
ムーンが部屋の中央のベットの上から、祈りの呪文を唱えると、部屋全体に巨大な魔法陣が浮かび上がる
ムーンは天を仰ぎ『この不穏な気の流れ…杞憂で済めば良いのだけれど…』と呟いた…
そこには、ゆったりめのシフォンの白いドレスに金糸の刺繍が施された帯飾りの神殿参拝用の正装をしたムーンが座っていた。
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ムーンが『ファーご苦労様』と声をかけると、ファーは優雅に頭を下げる。
同時に、扉がノックされ…
ムーンが『リン、アス入りなさい』と声をかけると、黄色に琥珀色の縞模様の大柄の寅を連れた黒い軍服を着た女性と白銀に漆黒の縞模様の大柄の寅を連れた白い軍服を着た男性がムーンの部屋へ入って来た。
黒い軍服の女性が「五黄土星侯爵家当主タンジェリン・トリプライト馳せ参じました」と跪く。
女の右隣で大柄な黄寅は行儀良く座り『タンジェリンが聖獣リチオフィライト馳せ参じた』と頭を垂れた。
白い軍服の男性が「八白土星侯爵家当主アラバスター・ジンカイト馳せ参じました』と跪く。
男の左隣で大柄な白寅も行儀良く座り『アラバスターが聖獣グラニットも馳せ参じましたわ』と頭を垂れた。
ムーンは挨拶を受けると『急ぎ頼みたい事があるの…』と切り出した。
リン/アス/リチオ/グラ「「何なりと…」」と2人と2匹は頭を垂れる。
ムーン『急ぎ、地下聖堂の聖室の間にこの部屋を移転する魔法の手配をしてちょうだい』と重く静かな声で指示をする。
アスは慌てた様子で顔を上げて「ムーン様！！！私どもが地下聖堂の聖室に立ち入る事など！！！！！」
ムーンは愛おしそうに大きく膨らんだ腹部を撫でながら『今日の夕方にはこの子が産まれるでしょう。この子の存在があの男に知れたら…』と不安そうに視線を落とす。
リンはムーンの足元に詰め寄り「私どもがこの城ごと全力でお衛りします！」とムーンの手を取る。
ムーンはリンの手を包み首を横に振る。
ムーンは『今は私の魔力でこの女王の城に結界を張っているからこの子の存在を隠せているけど…出産で魔力が揺らいで綻びが出来たら護りきれない…それにこの城をあの男に汚されたくないの…』俯いたその表情は憂いに満ちている。
《豊穣の城》と呼ばれるこの城は…
中央に聳える《蓮華の宮》と呼ばれる外交や謁見をする広間に来賓の宿泊施設が伴った中央城
中央城の右側に《焔武宮》と呼ばれる軍部施設
中央城の左隣に《清文宮》と呼ばれる政治施設
中央城の後ろに《星神の神殿》と呼ばれる聖堂（聖堂最上階に王座の間、中央に公の儀式を行う聖堂、聖堂最下層には地下聖堂にある）
聖堂右側にある城は《始まりの女王の城》《月華妃の城》と呼ばれ、ムーン専用の居城
聖堂左側にある城は《瞬きの休息の城》《王の藍絹の城》と呼ばれ、ベリル専用の居城
《王の藍絹の城》の後ろには、側妃のアイアン・ローズを迎える為に作られた《鉄の茨宮》と呼ばれる離宮で構成されている。
アスはムーンの姿を見て苦悶の表情を浮かべ、ムーンから視線を逸らし歯を食い縛り俯く。
ムーンは苦しそうな笑顔をアスに向け『ここが女王の城で、私が結界を張って隠していると言っても、魔力感知が強いベリル陛下が、こんなにも強いこの子の魔力を感知出来ない程に城の敷地全体に瘴気が充満しているのよ…私もこの女性の城を瘴気から護るので精一杯…大切な貴方達を守れない弱い国王と王妃でごめんなさい』と言うと涙を落とした。
ムーンの涙を見たリンは自分の無力さを悔やみ、聖獣リチオフィライトの背に顔を埋めて嗚咽をあげる。
ムーンは目を潤ませながらも笑顔を浮かべ、『地下神殿なら、ビスマス様の加護があるわ…あの男もベリル陛下もローズ様も手出しは出来ない』と優しい声をかけながら、リンの頭を撫でた。
そして、ムーンは大きく膨らんだ腹部を愛おしそうに抱えながら立ち上がり、リチオとグラの頭を撫で…
『時間が無いの…神殿の準備をお願い』と言うと、リン、アス、リチオ、グラの額に祝福の印を授け、ムーンの守護石で作った［ムーンライト］の腕飾りを手渡した。
ムーン『この守護石に私の法印が封じてあります。お願い…』と頭を下げる。
リン、アス、リチオ、グラは「「御意！」」と苦悶の表情を浮かべて跪き、忠誠の誓いをすると、立ち上がり、ムーンに背を向け…
去り際、アスはムーンの後ろに静かに控える従兄妹のキャスに視線を向けて「キャス…ムーン様とこの部屋を頼む…」と呟く。
キャスもアスを見据えて「これでもジンカイト家の端くれですわよお兄様」と不敵な笑みを浮かべた。
リンはリチオの背に乗り、アスはグラの背に乗りあっと言う間に虚空に消えた…
ムーンはその背中を見送ると、身を翻して力強い声で『キャス、ファー魔法陣と結界を！』と命じ、ムーンが指を鳴らすとカーテンが閉まり窓が眩く光る。
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