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後日談 アンドリュー第三王子の苦悩
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晴天続きのとある昼下がり、ラザナキア王国の王子たちが住まう王宮に新しく作られたドラゴン留まり――
"それで、またアクアオッジ家に行くのか?学園とやらですぐに番には会えるのだろう?ヒトとは何とせっかちなのだ"
鱗が蒼く美しいドラゴンが、金髪緑目の見目良い青年となったばかりのヒトに対して語り掛ける。
今年に入ってから、アンドリュー第三王子の身長は伸び盛りで、王宮内では既にメイドや侍女たちの黄色い歓声が密かに飛び交っている。彼は絶世の美女と謳われた現王妃の末息子であり、美形揃いと言われる三兄弟の中でも、一番容姿が母親譲りだった。
"まあ、あそこの食い物は美味故、訪れることにやぶさかではないがな"
「…ああ。この間……そう、ちょっとしたミスをしてしまったんだ。だから挽回しないと」
数日間は学園入学直前で、とてもじゃないが時間が全く取れなかったアンドリュー第三王子がようやく許された自由時間。しばらくアクアオッジ家のタウン・ハウスに入り浸っていたつけを払っていたせいでもあるのだが。
装着された鞍に跨ると、ドラゴンは上昇する。
タウン・ハウス全焼事件もあらかた片付いて、アクアオッジ一家は自領に帰ってしまっていた。王都であれば理由をつけていくらでも会っていられるのだが……彼らは辺境伯領をこよなく愛していて、王都は所詮仮住まいでしかないのだ。
そうそう。さっき蒼竜ヴィアスソライルが言った言葉を反芻して、思わず口角が上がった。
番!何ていい響きなんだ!メリルが僕の番……!
自然と頬が緩んでしまうのを止められない。
「あらあら。いつもありがとう。アンドリュー第三王子殿下」
王子がアクアオッジ家に到着すると、真っ先に行うのは現辺境伯奥方アドリアナへお土産を渡すことである。(賄賂ともいう)
王都での流行りにかけてすっかり情報通になった王子は、今日も今話題の菓子を手土産にしていた。
「それで、メリル嬢はどちらに……」
「それがねえ……」
いつもなら(賄賂をもらって)ニコニコと笑みを絶やさないはずのアドリアナが気まずそうに言い淀んだ。
「もしかして、メリル嬢はお身体の具合でも!?」
そんなこと(ありえ)ないわ。身体は大丈夫。元気が有り余ってしまってるのね。と前置きがあった。
「男の子とちょっと遊びに行っちゃってるみたいなの」
ショックを受けて頭がガンガンし始めた王子に、ウィルとソルも、ついでに言うと副団長も一緒よ、というアドリアナの言葉は入ってこなかった。
……どういうことだろうか。
婚約者を持つ令嬢が『男と遊びに行ってる』だって!?
僕はメリル一筋なのに……
さすがに自分が一筋だからといって相手にも強制するつもりは無かったが、婚約者としてもう少し甘い時間を持ててもいいんじゃないだろうか……
未だに噛み噛みで名前まで間違えられる始末なのだから――
いつもメリルが魔法の鍛錬をしているという騎士団の鍛錬場までやってくると、きゃっきゃと賑やかな声が聞こえてきた。
こんな時にでも自分は彼女を真っ先に探してしまうらしく、まず目に入ってきたのは極上の笑顔のメリルだった。
すかさずメリルと一緒の面子を確認すると、隣にいるのはおもちゃの木刀を手にしたどうみても一桁台の年齢の男の子だった。
(男って子供か……)がっくりと肩を落とす王子。
あとはいつものメンバー、ウィルフレッドと執事のソル。今日のソルは鍛錬に適した服を着ている。
そして、派手な赤毛をしたムキムキマッチョのオネエ・・・
ではなく、騎士団副団長のアレン・フィッシャーがニコニコしながら男の子に剣術を指南しているようだ。彼は二年に一度行われる国王陛下への御前剣術試合で準優勝を獲得し続けている。優勝はアクアオッジ騎士団の団長が同じだけ獲得しているので、万年準優勝なのは致し方ないところであろう。
"あら?腹黒王子じゃない"
"あとちょっとで学園でも会えるのにね"
"いつ食い気が色気に変わるか分からないから心配なんでしょ"
いつもながら精霊たちは正直だ。
彼らの声はウィルフレッドとメリルにしか聞こえていない。
「あ、王子殿下」
精霊の声が聞こえるウィルフレッドとメリルを皮切りに、王子に皆の視線が向いた。
跪こうとする皆に「どうかそのままで」と言うと、元気いっぱいのメリルが王子に近づいてくる。
「メリル。そろそろお茶の時間だろう?これをもらってくれないか……」
「えっ?いいんですか!?わーい何だろ」
お行儀もへったくれもないメリルが大きいバスケットをむんずと開くと、サンドイッチが大量に入っている。
「タウン・ハウスの茶会で、最後の一つのツナマヨサンドイッチを僕が食べてしまっただろう?これは罪滅ぼしと思って手に入れたから持ってきた……」
そんなことはとっくに忘れていたメリルとウィルフレッド。
ウィルフレッドは思い出す。そういや王子殿下、あの時じっと自分の指を見つめていたっけ。ずっと考えてたのかあ。いいとこあるけど、でもなあ。
ツナマヨはアクアオッジ領の特産物で、この領に住んでいれば珍しい食べ物では決して無い。王子は特産物ど真ん中の産地にわざわざ王都で手に入れた品を持ってきたことになる。
らしくないチョイスだなあと思う。そういや罪滅ぼしとか言ってたか。メリルの食欲に合わせてたら何にも食べられなくなっちゃうから気にしなくていいのに。
だが、メリルは満面の笑みになった。
「いっぱいある!ありがとうございます、アンドリュー王子殿下。今からお茶なので出してもらいますね」
食べ物が沢山あればそれでいいんだよなメリルは。ウィルフレッドのメリルを見る目がジト目になる。
"まだまだ色気より食い気ね!"
"メリルが色気に目覚めるとかそんな日が来るのか?"
しっかり精霊たちの声が聞こえているメリルはぷうっと頬を膨らませた。
ベンチで待機していて用があるのを察して近づいてきた侍女にバスケットを手渡すと、侍女は鍛錬場から離れた。もうじきお茶の時間だからティースタンドに並べ替えてくれるのだろう。
副団長のアレンが「ステラ、こっちよ。一緒にお茶の準備始めちゃいましょ」と、侍女と一緒に休憩所に向かう。
ステラと呼ばれた侍女は年の割に何事にも動じず感情も常に一定なので、メリル専属の侍女兼護衛として抜擢された。実は魔族なのだけれど、アクアオッジ一家とソル以外にはその素性は隠されている。
彼女を推薦したアクアオッジ家の長女カーラが言うには、【鑑定スキル】を持つ第三王子用に、カモフラージュされた経歴が表示されるように細工されているそうだ。
"彼女は刺激を求めてるからメリルの側に置いてやって"だそうである。
さすが、長女という肩書きも伊達では無かった。誰が一番トラブルメーカーなのか、末っ子のことをよく分かってる。
◇ ◇ ◇
ソルとステラとオネエマッチョのアレンによってテキパキとお茶の用意が整うと、みんなで休憩室に移動する。
広い休憩室にでん、と置かれた丸テーブルにお茶がセッティングされていて、それぞれが席に着席する。
三段のティースタンドはメリル専用のと、その他の人用が別々に置かれ争いが起こることはない。
メリルの隣には王子と男の子が左と右に座ることになった。
「メリルの婚約者のアンドリュー王子殿下でいらっしゃいますか?初めまして。僕は隣からやってきたジェレイアス・ヴォレイニクと申します」
お茶が給仕され皆が一息つくと、初対面の男の子が初めてしゃべった。
王子はそのような家名には覚えが無かったけれど、アクアオッジ家は平民である農家とも数々の交流があるし、姓があるということは裕福ではあるのだろうと、その自己紹介に引っ掛かりを覚えはしたものの、『隣というのはアクアオッジ家の隣家のことだろうか』と、誰も何も言わないのでそのままになった。それよりもメリルのことを呼び捨てなのが気になる……
ジェレイアスは魔王国出身なので、アクアオッジ領の『隣』というのはウソでは無かった。
「メリルと婚約していられるなんて、本当にアンドリュー王子殿下は尊敬に値します……ですが、僕も負けてはいられません。王子殿下はライバルですね。手強くて何よりです」
「ちょっ!ジェレイアスなにを」
メリルが慌てて遮ろうとしたが遅かった。
王子から冷気が噴き出した。
「ジェレイアス……。それは冗談でも笑えないな。君は幾つだい?メリルや僕よりかなり年下に見えるんだが」
「あ、僕ですか?四歳です。大人の身体に成長するまでは早いのでじきに身長も追いつ……もごっ!」
……今何と…?
「ジェレイアス!ソルが話があるそうよ!ほら、行って!」
メリルはジェレイアスの口を塞いでいた手を離して、無理矢理彼を席から立たせると彼のお尻をバン!と叩いて送り出した。それを見て固まる王子。
……僕は今何を聞いた…?そして何を見たんだ…?
向かいの席ではウィルフレッドが、あちゃ~という顔をして額を手で抑えた。
"あの魔族、メリルに気があったの!?"
"あ、ああ…我も驚いた……"
本気で驚く精霊たち。
「オンドリャ王子で、ででんかっ!彼が言った言葉は全部冗談ですからっ!」
噛み噛みのメリルに名前まで間違えられ、王子は更に傷口に塩を塗り込まれたみたいな顔になってしまった。
精霊は見えないし、声も聞こえていないので、ジェレイアスが長女カーラの起こした騒動からこっち、魔王国からやってきている魔族だなんて、すぐに【鑑定スキル】でジェレイアスの鑑定をすれば良かったのだが、ショックの余り思いつかなかった王子には分からないままだった。
もっとも、生まれも経歴も第三王子にいつ鑑定されてもいいようにカモフラージュされていて、本当に四歳だなんてヒトには分からないのだけれど――
おしまい
―――――
ほんのちょっとだけ番外編の最終回で王子が不遇だったので救済しました。(余計に不遇になったような……)
辺境伯一家の領地繁栄記~辺境伯長女は【強化スキル?】で魔王をぶっ飛ばす …おや?魔王の様子が…~
新連載を開始します。また楽しんで頂けましたら幸いです。
"それで、またアクアオッジ家に行くのか?学園とやらですぐに番には会えるのだろう?ヒトとは何とせっかちなのだ"
鱗が蒼く美しいドラゴンが、金髪緑目の見目良い青年となったばかりのヒトに対して語り掛ける。
今年に入ってから、アンドリュー第三王子の身長は伸び盛りで、王宮内では既にメイドや侍女たちの黄色い歓声が密かに飛び交っている。彼は絶世の美女と謳われた現王妃の末息子であり、美形揃いと言われる三兄弟の中でも、一番容姿が母親譲りだった。
"まあ、あそこの食い物は美味故、訪れることにやぶさかではないがな"
「…ああ。この間……そう、ちょっとしたミスをしてしまったんだ。だから挽回しないと」
数日間は学園入学直前で、とてもじゃないが時間が全く取れなかったアンドリュー第三王子がようやく許された自由時間。しばらくアクアオッジ家のタウン・ハウスに入り浸っていたつけを払っていたせいでもあるのだが。
装着された鞍に跨ると、ドラゴンは上昇する。
タウン・ハウス全焼事件もあらかた片付いて、アクアオッジ一家は自領に帰ってしまっていた。王都であれば理由をつけていくらでも会っていられるのだが……彼らは辺境伯領をこよなく愛していて、王都は所詮仮住まいでしかないのだ。
そうそう。さっき蒼竜ヴィアスソライルが言った言葉を反芻して、思わず口角が上がった。
番!何ていい響きなんだ!メリルが僕の番……!
自然と頬が緩んでしまうのを止められない。
「あらあら。いつもありがとう。アンドリュー第三王子殿下」
王子がアクアオッジ家に到着すると、真っ先に行うのは現辺境伯奥方アドリアナへお土産を渡すことである。(賄賂ともいう)
王都での流行りにかけてすっかり情報通になった王子は、今日も今話題の菓子を手土産にしていた。
「それで、メリル嬢はどちらに……」
「それがねえ……」
いつもなら(賄賂をもらって)ニコニコと笑みを絶やさないはずのアドリアナが気まずそうに言い淀んだ。
「もしかして、メリル嬢はお身体の具合でも!?」
そんなこと(ありえ)ないわ。身体は大丈夫。元気が有り余ってしまってるのね。と前置きがあった。
「男の子とちょっと遊びに行っちゃってるみたいなの」
ショックを受けて頭がガンガンし始めた王子に、ウィルとソルも、ついでに言うと副団長も一緒よ、というアドリアナの言葉は入ってこなかった。
……どういうことだろうか。
婚約者を持つ令嬢が『男と遊びに行ってる』だって!?
僕はメリル一筋なのに……
さすがに自分が一筋だからといって相手にも強制するつもりは無かったが、婚約者としてもう少し甘い時間を持ててもいいんじゃないだろうか……
未だに噛み噛みで名前まで間違えられる始末なのだから――
いつもメリルが魔法の鍛錬をしているという騎士団の鍛錬場までやってくると、きゃっきゃと賑やかな声が聞こえてきた。
こんな時にでも自分は彼女を真っ先に探してしまうらしく、まず目に入ってきたのは極上の笑顔のメリルだった。
すかさずメリルと一緒の面子を確認すると、隣にいるのはおもちゃの木刀を手にしたどうみても一桁台の年齢の男の子だった。
(男って子供か……)がっくりと肩を落とす王子。
あとはいつものメンバー、ウィルフレッドと執事のソル。今日のソルは鍛錬に適した服を着ている。
そして、派手な赤毛をしたムキムキマッチョのオネエ・・・
ではなく、騎士団副団長のアレン・フィッシャーがニコニコしながら男の子に剣術を指南しているようだ。彼は二年に一度行われる国王陛下への御前剣術試合で準優勝を獲得し続けている。優勝はアクアオッジ騎士団の団長が同じだけ獲得しているので、万年準優勝なのは致し方ないところであろう。
"あら?腹黒王子じゃない"
"あとちょっとで学園でも会えるのにね"
"いつ食い気が色気に変わるか分からないから心配なんでしょ"
いつもながら精霊たちは正直だ。
彼らの声はウィルフレッドとメリルにしか聞こえていない。
「あ、王子殿下」
精霊の声が聞こえるウィルフレッドとメリルを皮切りに、王子に皆の視線が向いた。
跪こうとする皆に「どうかそのままで」と言うと、元気いっぱいのメリルが王子に近づいてくる。
「メリル。そろそろお茶の時間だろう?これをもらってくれないか……」
「えっ?いいんですか!?わーい何だろ」
お行儀もへったくれもないメリルが大きいバスケットをむんずと開くと、サンドイッチが大量に入っている。
「タウン・ハウスの茶会で、最後の一つのツナマヨサンドイッチを僕が食べてしまっただろう?これは罪滅ぼしと思って手に入れたから持ってきた……」
そんなことはとっくに忘れていたメリルとウィルフレッド。
ウィルフレッドは思い出す。そういや王子殿下、あの時じっと自分の指を見つめていたっけ。ずっと考えてたのかあ。いいとこあるけど、でもなあ。
ツナマヨはアクアオッジ領の特産物で、この領に住んでいれば珍しい食べ物では決して無い。王子は特産物ど真ん中の産地にわざわざ王都で手に入れた品を持ってきたことになる。
らしくないチョイスだなあと思う。そういや罪滅ぼしとか言ってたか。メリルの食欲に合わせてたら何にも食べられなくなっちゃうから気にしなくていいのに。
だが、メリルは満面の笑みになった。
「いっぱいある!ありがとうございます、アンドリュー王子殿下。今からお茶なので出してもらいますね」
食べ物が沢山あればそれでいいんだよなメリルは。ウィルフレッドのメリルを見る目がジト目になる。
"まだまだ色気より食い気ね!"
"メリルが色気に目覚めるとかそんな日が来るのか?"
しっかり精霊たちの声が聞こえているメリルはぷうっと頬を膨らませた。
ベンチで待機していて用があるのを察して近づいてきた侍女にバスケットを手渡すと、侍女は鍛錬場から離れた。もうじきお茶の時間だからティースタンドに並べ替えてくれるのだろう。
副団長のアレンが「ステラ、こっちよ。一緒にお茶の準備始めちゃいましょ」と、侍女と一緒に休憩所に向かう。
ステラと呼ばれた侍女は年の割に何事にも動じず感情も常に一定なので、メリル専属の侍女兼護衛として抜擢された。実は魔族なのだけれど、アクアオッジ一家とソル以外にはその素性は隠されている。
彼女を推薦したアクアオッジ家の長女カーラが言うには、【鑑定スキル】を持つ第三王子用に、カモフラージュされた経歴が表示されるように細工されているそうだ。
"彼女は刺激を求めてるからメリルの側に置いてやって"だそうである。
さすが、長女という肩書きも伊達では無かった。誰が一番トラブルメーカーなのか、末っ子のことをよく分かってる。
◇ ◇ ◇
ソルとステラとオネエマッチョのアレンによってテキパキとお茶の用意が整うと、みんなで休憩室に移動する。
広い休憩室にでん、と置かれた丸テーブルにお茶がセッティングされていて、それぞれが席に着席する。
三段のティースタンドはメリル専用のと、その他の人用が別々に置かれ争いが起こることはない。
メリルの隣には王子と男の子が左と右に座ることになった。
「メリルの婚約者のアンドリュー王子殿下でいらっしゃいますか?初めまして。僕は隣からやってきたジェレイアス・ヴォレイニクと申します」
お茶が給仕され皆が一息つくと、初対面の男の子が初めてしゃべった。
王子はそのような家名には覚えが無かったけれど、アクアオッジ家は平民である農家とも数々の交流があるし、姓があるということは裕福ではあるのだろうと、その自己紹介に引っ掛かりを覚えはしたものの、『隣というのはアクアオッジ家の隣家のことだろうか』と、誰も何も言わないのでそのままになった。それよりもメリルのことを呼び捨てなのが気になる……
ジェレイアスは魔王国出身なので、アクアオッジ領の『隣』というのはウソでは無かった。
「メリルと婚約していられるなんて、本当にアンドリュー王子殿下は尊敬に値します……ですが、僕も負けてはいられません。王子殿下はライバルですね。手強くて何よりです」
「ちょっ!ジェレイアスなにを」
メリルが慌てて遮ろうとしたが遅かった。
王子から冷気が噴き出した。
「ジェレイアス……。それは冗談でも笑えないな。君は幾つだい?メリルや僕よりかなり年下に見えるんだが」
「あ、僕ですか?四歳です。大人の身体に成長するまでは早いのでじきに身長も追いつ……もごっ!」
……今何と…?
「ジェレイアス!ソルが話があるそうよ!ほら、行って!」
メリルはジェレイアスの口を塞いでいた手を離して、無理矢理彼を席から立たせると彼のお尻をバン!と叩いて送り出した。それを見て固まる王子。
……僕は今何を聞いた…?そして何を見たんだ…?
向かいの席ではウィルフレッドが、あちゃ~という顔をして額を手で抑えた。
"あの魔族、メリルに気があったの!?"
"あ、ああ…我も驚いた……"
本気で驚く精霊たち。
「オンドリャ王子で、ででんかっ!彼が言った言葉は全部冗談ですからっ!」
噛み噛みのメリルに名前まで間違えられ、王子は更に傷口に塩を塗り込まれたみたいな顔になってしまった。
精霊は見えないし、声も聞こえていないので、ジェレイアスが長女カーラの起こした騒動からこっち、魔王国からやってきている魔族だなんて、すぐに【鑑定スキル】でジェレイアスの鑑定をすれば良かったのだが、ショックの余り思いつかなかった王子には分からないままだった。
もっとも、生まれも経歴も第三王子にいつ鑑定されてもいいようにカモフラージュされていて、本当に四歳だなんてヒトには分からないのだけれど――
おしまい
―――――
ほんのちょっとだけ番外編の最終回で王子が不遇だったので救済しました。(余計に不遇になったような……)
辺境伯一家の領地繁栄記~辺境伯長女は【強化スキル?】で魔王をぶっ飛ばす …おや?魔王の様子が…~
新連載を開始します。また楽しんで頂けましたら幸いです。
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みんなの感想(11件)
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最後まで楽しかったです!双子と王子と執事の組み合わせが最高でしたので、彼らの話をもっと読みたい気もします。
次の長女の話を期待して待ってます。
コメントありがとうございます_(._.)_
番外編は書いていてとても楽しかったので、時間がある時にまた書きたいです。
長女の話はもう少しお待ち頂ければと思います(*- -)(*_ _)ペコリ
コメントありがとうございます_(._.)_
ちょっとは怖いように書いたんですが、だめでしたか(;´д`)トホホ
これからも笑ってもらえるように頑張り(?)ます。
コメントありがとうございます_(._.)_
プッとして頂いたことに嬉しく思いました。自分も書いててあそこは大好きでしたので( ̄▽ ̄)報われない王子が特に……
次回作は長女カーラと魔王と勇者の話で中編なのですが、一人一人の話はそれで一旦終了の予定です。
今は双子の番外編を投稿中ですが、1万文字程度を予定していたら、2万文字になってしまいまして(;゚Д゚)
第三王子とメリルが最後まで出てきますので、そちらをお読み頂けたらと思います。