マッチングアプリ〜今日から俺は女子達と真っ直ぐに向き合う(多分)〜

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絶対にほしい

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『超可愛い女子に嘘の告白をされて、リア充どもの笑いものにされた』
『リア充のイケてる女子から悪口を言われまくった』など。
 
 そんなむごい出来事が、実際の俺に……、あったわけじゃない。

 ただ、漠然としたものはあった。もしかして俺は……、いや、確かにある。今もずっと、物心ついた時から。

『キモい』

 女子から直接言われたわけじゃない。でも、だ。なんとなく、雰囲気で分かるんだよ。俺は女子から見て、『キモい』男子だってこと。
 俺は女子に何か嫌な事や変な事をしたわけでもない。でも俺は、女子から距離を置かれる、『キモい』男子なんだ。
 どこか不快そうに、または、怖がっているみたいに目をそらされたり。または、なんとなく、自分が笑いものにされてるような笑い声とか。
 俺の被害妄想だってのは頭で理解しているつもりなんだけど、変に意識することばっかで。
 俺がもしイケメンだったら、こんなくだらないこと悩まなくてすんだのかもしれない。でも俺はイケメンじゃない。
 顔がカッコ良くないから。ちょっと太っているから。身長が低いから。オシャレじゃないから。面白いトークができないから。明るい性格じゃないから。社交的じゃないから。それから……、探し出したら、きりがない。
 クラスのイケメン男子は、今上にあげた要素の逆のものを少なからず持っている。だから、

『モテる』

 イケメンのリア充男子が羨ましいと思ったことがない、と言えば嘘になる。ほんとはすごく……。
 このままだと俺は女子と仲良くなんて無理だ。彼女なんて無縁な人生を送るんだなって。別に女子と話さなくたって、どうにかなるわけじゃない。普通に生きていける。

 でも、だ。

 それで良いのか。女子を意識しだした感覚が、次第に確かな不安になって、俺の高校生活を揺さぶってきて。
 高2になって、今だに変わることが無い、『キモい』というレッテルに、ボッチの俺は1人勝手に悩んで。

 そんなモヤモヤした気持ちを抱えながら、昨日の夜、自分の部屋でソシャゲをして気を紛らしていたら、ふとスマホ画面にあらわれたんだ。

『欲しいですか? だったらすぐにタッチ♡』

 なんだこれ? 

 俺は少し考え、今遊んでる『キュートガールレース』のことかと思った。新キャラの実装でガチャが引けるボーナスかも。

 と、思ってポチったのが、

「間違いだったんだよなぁ……」

『マッチングゥ!』

 気づいたら朝を迎えていた。部屋の窓から明るい日が差し込み、今日の始まりを告げている。

「最悪だ……」

 俺のスマホ画面にしっかりと謎のアプリのアイコンが表示されている。昨日、何度も試しても消せなかった謎アプリ。

「ほんと、罠すぎるだろ……」

 もう、半ばあきらめの気持ちだからか、俺はその『マッチングゥ!』アプリをタッチした。


 『可愛いあの子たちとマッチングゥゥゥゥゥッッッ!! 』

 チャリラリ~ン!!

「うおっ!? 派手な起動音!? や、やめろ! 恥ずかしいだろ!!」

『おはようございます、青木様。今日もステキな日々の幕開けです。心ゆくまでマッチングゥをお楽しみを…………』


 ……、ふざけた真似を。

 俺の苛立ちを無視するかのように、画面は切り替わり、

名前=青木春助《あおきしゅんすけ》
性別=男性
身分=高校2年生
年収=0円
身長=159.9センチ
体型=ややぽっちゃり
恋愛経験=0(生まれたこのかた)
彼女の有無=無(生まれてこのかた、まじで)
彼女ほしいか=絶対にほしい』

 またプロフィールが表示された。おい、恋愛経験と彼女の有無、生まれてこのかたを消せ! なんで変に煽ってくんだよ!

「うっ!」

 俺はプロフィールの項目で、顔がひきつった。なぜかって。それは昨日答えた回答が、反映されていたからだ。

 彼女ほしいか=絶対にほしい

「……、だあ~!! は、恥ずい!! なんで選択肢を思い切ってしまったかなぁ!?」

 昨日はヤケになっていたら、つい。こんなプロフィール画面、絶対人には見せれん! 

「ま、まあ、そこはボッチの俺だ。心配はしなくて良い。でもだ!! 恥ずすぎる!! なんで俺は」

「しゅん~!!」
「おわわっっ!?」

 急にお母さんの大きな声がして焦る。部屋に来てはいない。いつもの、目覚ましがわりの掛け声だ。
 
「な、なにぃ~!!」
「もう起きてるの? 珍しいわね。起きてるなら支度して早く降りてきなさ~い」
「わ、分かってるよッ!」

 あ、焦った!! 

 普段ならこんな焦ることは無いのだが、それは無理ってもんだろ? とりあえず、さっさと支度して、リビングに行こう。

 チラッと、またスマホ画面に目をやる。

 プロフィールの、 

 彼女ほしいか=絶対にほしい

 に、俺は深く、悩ましげなため息をこぼした。
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