マッチングアプリ〜今日から俺は女子達と真っ直ぐに向き合う(多分)〜

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錦戸舞花は猫に夢中

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名前=錦戸舞花《にしきどまいか》
性別=女性
年齢=17歳
身分=高校生。バレー部副将
身長=168センチ
体型=スリム
好きなもの=ネコ

 スマホに表示されたプロフィール。俺と同じクラスだが、今まで話したことない女子、……てかクラスの女子たちとしゃべったことないけど……。そ、それは置いといて、

『マッチングゥしました!』
 
 ま、まじかよ。

 ギロリ。

 こわっ!?

 錦戸の切れ長の瞳がこっちをじっと見ている。クラスで見かける強気な姿だ。特に今日は増し増しに感じる。この状況でマッチングしちゃダメな相手だろ!?

「……、ねぇ」
「ひっ……!?」

 突然の低い声音にびびった。裏声でちゃって恥ずかしい!!

 ご、ごくり。

 俺は硬直して、動けない。人って恐怖でほんと動けなくなるもんだね! 

 錦戸は、肩までかかった淡い栗色のキレイな髪を、片手で右耳の少し後ろにかきあげ、何か決意した顔つきで、小さな口元を開いた。

「み、見てたの……?」

 じっと睨みつける錦戸。うっ!? お、俺が一体何したってんだ。てかみ、見てたって何を………………、ん?

 そう言えば錦戸は、俺に気づいていないとき、とても優しい声で、

「ね、猫………」

 と戯れていたよな。

 そうつぶやいた瞬間だった。

 「うっ!? や、やっぱり見てたのねッ!!」

 錦戸が怒気を含んだ声音とともに、顔を赤くさせた。力強い足取りで俺の方に向かってくる。

 こ、怖すぎる!! 逃げないと!? 

 でも今俺がいるのは細い一本道だ。逃げ場なんて、後ろしかない。来た道を戻ることになる。それだと学校に遅刻するかも………、って、そんなこと気にしてる場合じゃないだろ!

 俺は錦戸から目を離し、後ろへ方向転換しようと、

 ピコン!!

「おふっ!?」

 手に持っていたスマホからの着信音に驚いた。

 なんだよこんなときに! いいっ!?

『マッチングゥ! した錦戸舞花さんとトークしましょう』

 あほか!? 無理ゲーすぎるわ!!

『共通点や質問などで話題を作ってみましょう』

 さらに追いメッセージ!? って、やばいやばい!! 錦戸が迫ってきている!?!?

 逃げ損ねた俺に出来ることは一つだけだった。そう……、マッチングゥ! に従う!!
 怒ってる顔つきの錦戸に俺は、震える口元でせいいっぱい声を出した。

「ね、猫が好きなのか……!?」

 ピタリ。

 錦戸が足を止めた。距離にして、手を伸ばしてもちょい俺を捕まえられないほどのところ。

 錦戸は赤らんだ顔で、目を少し丸く見開いた。一瞬だけ、あどけなくなった顔つきに俺はドキッとした。なにこの不意打ち。
 でもそれも束の間。また目を鋭くさせ、

「だったらなにッ?」

 とても不機嫌でいらっしゃる。こ、怖い。俺よりも背が高いから、少し見下ろされてる感も加わってなおさらだ。ど、どうしよ、もう会話ギブアップしたい……、が、そういうわけにもいかない。

「こ、この細道、ね、猫が多いのか?」

 それを聞いて錦戸は、怪訝な顔つきながらも、

「そうよ……。ここって、朝は光がよく当たるから、猫達がよく日向ぼっこしにくるの。なんていうか、猫好きの隠れスポットな感じで」

 そう言うと、錦戸の口元が少しゆるんだ。おおっ?? な、なんか、嬉しそう?? よ、良し、一旦はこの調子でーーー、
 
「なのにあんたが来て台無しッッ………!!」

 と、口元を歪めた。怒った!! 考えが甘かった、ごめんなさい!! って、俺なんも悪いことしてないだろ!!
 
 だが錦戸の怒りは収まらない。顔を赤くして、

「わ、私が、ね、猫と遊んでるところを……、あ、あんたは、み、見て、ううっ!! ぜ、絶対に許さない!!」

 錦戸の顔が真っ赤に染まり、目は少し潤んでいた。お、おいおい、もはや、会話するのは不可能に近い状況だ。ど、とうしたら、

 ピコン!

 俺のスマホが鳴った。

 だあーーー!! この忙しいときに!!

『ハチワレ』

 は、はあ!?

 マッチングゥ! からの謎のメッセージに俺は戸惑う。一体どうしろと!?

「なにスマホ見てんのよッ!!」
「いいっ!? あ、いや、あの!?」

 錦戸が小刻みに体を震わせ俺を睨みつけながら、距離を詰めてくる。やばいやばいやばい!! も、もう、言うしかない!!

 俺は怯えている心を奮い立たせて、精一杯、叫んだ。

「は、ハチワレ………!!」

 ピタリ。

 と、錦戸の動きが止まった。潤んだ鋭い瞳が、みるみるうちに、丸くなっていく。そして、

「……、ねぇ」
「ひっ!? は、はい!」
「今、なんて言ったの??」

 俺はそう促され、もう一度、ゆっくりと、繰り返し答えた。

「は、ハチワレ?」

 にゃあ~。

 俺が言い終わるちょうど、どこからか、猫の鳴き声がした。声の先は、俺の正面先、錦戸からは、後ろの方向だ。

 錦戸がすぐに後ろを振り返る。俺に背を向け、

「ええっ! うそうそ!? ほ、ほんもの!は、は、は!!」

 と、急に声を荒げながら、ハッキリと嬉しそうに叫んだ。

「ハチワレちゃんだぁーーー!!\(//∇//)\」
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