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6章:壊れていく音と、あなたの優しさ
40話
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「さすがにもう、私の中身を知って、幻滅した人もいるかもしれませんよ?」
「そんなに自分を卑下しなくてもいいだろ。まだいるかもしれねーぞ?先に言っておくが、俺と中山だけはお前のことは好きじゃないから安心しろ」
中山くんとは同じシフトになることが多かったが、最近は同じシフトになることがなかったため、話す機会が減った。
愁は変わらずに仲良くしているため、たまにプライベートで遊んでいるみたいだが。
私と顔を合わせるのが気まずいため、もしかしたら、中山くんがあまりシフトを被らないようにしてくれているのかもしれない。
「分かってますよ。言われなくてもそうだろうなぁ…って思ってましたから」
中山くんはさておき、副店長はそんな気がしていた。
この話しぶりからして、可愛い妹ぐらいにしか思っていないであろうと。
「俺からすれば、大平はガキだな。可愛いの意味合いが違う」
私からしても、副店長はカッコいいの意味合いが違う。
大人の男性として、カッコいいなと思うくらいだ。
「奇遇ですね。私も副店長のことはカッコいいと思いますけど、意味合いが違いますね」
「そうかい。そう思ってくれてるのは有難いけどな」
とても嬉しそうな顔ではない。まるで、カッコいいという言葉を言われること自体が嫌そうな顔である。
「いえ。どういたしまして…」
なんとなく気まずい。会話が上手く続かない。続ける必要もないか。勤務中だし。
「俺さ、可愛い彼女がいるんだ。すげー可愛いんだぜ」
まだ話が続くとは思ってもみなかった。というか、副店長の彼女の話は聞いてないんですが…。
「そうなんですか。羨ましいですね」
適当に話を流した。もしかしたら、この人はただ惚気たかっただけなのかもしれない。
「だろ?あー…早く結婚してーよ…」
なら早く結婚してください。ささっと幸せになって。
「結婚できるといいですね」
この人と話していた、今までの時間を返してほしい。
人の惚気話ほど、つまらないものはなかった。
「もちろん、結婚はする。だから、来月辞めることにしたんだ。
もっと給料のいいところへ就職が決まって、落ち着いたらプロポーズするつもりでいる」
副店長が辞めることに、ちょっぴり寂しい気持ちになった。
と同時に、プロポーズをするという報告だけは要らなかった。
「頑張ってください」
「大平、お前もあの女から奪えるように頑張れよ」
どうやら、副店長には気持ちがバレていたみたいだ。
私ってそんなに分かりやすいのだろうか。
「余計なお世話ですよ。まぁ、頑張りますが…」
否定はしなかった。もう自分の気持ちに蓋をして、嘘をつくのは嫌だから。
「その意気だな。俺がお前を応援するのは、あの女が嫌いだから。ただそれだけだ。
あんなブス、岩城には似合わない。お前の方がよっぽどマシだ。ガキっぽいが、可愛さはお前の方がある」
褒めてるのか、貶してるのか、どっちなのかよく分からない。
でも、副店長なりに褒めてくれているということだけは伝わった。
「そう言ってもらえて、嬉しいです」
「そうか。とにかく頑張れよ」
副店長はそう言い残して、仕事に戻ってしまった。
私の気持ちがバレていた。もしかしたら、ずっと顔に出ていたのかもしれない。
バレないように上手く取り繕っても、意味がないということを知った。
私は嘘がつけない性格。どこまでも正直者なのであろう。
私のことなんて興味がないものだとばかり思っていたので、見ている人は見ているんだということを改めて知り、まだ頑張れそうな気がした。
この時の私は、少しだけ前向きになれた。その前向きさは、仕事にも活かされ、集中力が更に高まった。
◇
「すみませんでした…」
残り時間があと一時間といったところで、ようやく愁が戻ってきた。
やっと彼女が納得して帰ってくれたみたいだ。かなり粘ったみたいなので、相当体力と気力を失ったに違いない。
「大丈夫だ。岩城の分は大平が頑張ってくれた。大平に感謝しておけ」
私の場合、頑張ったとはいえども、周りの手助けがあってやっと…といった感じだ。
「ありがとう、幸奈。助かった…」
働いている時よりも疲れ切った顔をしていた。相当、説得に時間がかかったのであろう。
「大丈夫だよ。気にしないで」
迷惑をかけた分、少しでも頑張りたいと思っていた。
これで、少しは休んだ分を取り返せたと思う。それよりも今は、愁のことが心配だ。
「そう言ってくれて助かる。この件については後日、ちゃんとお礼をする」
お礼など求めていない。私はただ、自分のしたいようにしただけだ。
「気にしないで。大丈夫だよ。それよりも、愁こそ大丈夫?」
ずっと気になっていた。あの後、どんな話をしたのか。
彼女と別れることはなさそうだけど、お店には来ないように、上手く説得できたのだろうか。
「なんとかな…。なかなか折れてくれなくて、焦った」
愁の彼女とは、直接話したことはないが、頑固で人の話を聞かなそうなイメージがある。
「愁もお疲れ様。気にせずゆっくり休んでね?」
同僚も同情してか、誰も愁のことを責めなかった。あの状況を見たら、何も言えないのは当然だ。寧ろあんな彼女と付き合っていて、可哀想と哀れむ視線ばかりであった。
「お言葉に甘えて、そうさせてもらうな」
私の頭をポンポンしてくれた。愁の手は優しい。この手に触れられてしまえば、もう何も考えられない。
「待っててな。…それじゃ、また後で」
私の元を去ると、皆へお礼と謝罪参りをしていた。暫く私はその光景を眺めていた。皆、「いいよ、大丈夫だから」と、愁を慰めてくれた。
その度に愁は、申し訳なさそうにしていた。彼女の尻拭いをし、代わりに平謝りをする。そんな姿を見ていたら、愁を慰めたい気持ちになった。私を傍においてくれたらいいのに…と、より強くそう願った。
「お待たせ。ようやく落ち着いた…」
やっと皆に謝り終えた安心からか、戻ってきた時よりも、安心した表情をしている。
同時に、ひたすら謝り続けていたこともあり、疲弊した顔もしている。
「お疲れ様」
「本当に疲れた…。働くよりも労力を使った」
必要以上に労力を使ったのだから、疲れていて当然だ。
「そうだね。早く帰ろっか」
疲れた愁を癒してあげたい。なるべく早くこの場から立ち去ることで、心が軽くなるのではないかと思った。
「あぁ。そうさせてもらうよ。幸い副店長からも、今日のところは早めに切り上げて、また違う日に代わりに入ることで話がついた」
副店長も見兼ねて、愁に責任を取らせる方法を最小限に抑えてくれたのであろう。
いくら愁が悪くないにせいよ、責任を取らせないとなると、他の人の目もある手前、そうせざる得なかったのであろう。
「そっか。よかったね。代わりに入ることで落ち着いたみたいで」
誰かの代わりに入るということは、人よりも多く出勤するということになる。
愁の勤務態度は至って真面目だ。周りからの信頼も高い。
だからこそ、今回はどう考えても彼女の方が分が悪い。非常識で。横暴で。お店にだけではなく、他のお客様にも迷惑をかけた。
愁の怒りを買うだけじゃない。店全体の怒りを買った。あの副店長のことだ。本当なら出禁にしたいくらいであろう。
敢えてそうしなかったのは、愁の面子を保つためだ。愁は仕事ができるので、愁を失うのは惜しい。
「あぁ。副店長はああ見えていい人だからな」
働き始めてもう長いが、まだまだ知らないことがたくさんある。
それは副店長に限らず、他の同僚達も同じで。
私は愁以外の同僚と接点を持っていないため、親しい間柄の人がいない。
「そんなに自分を卑下しなくてもいいだろ。まだいるかもしれねーぞ?先に言っておくが、俺と中山だけはお前のことは好きじゃないから安心しろ」
中山くんとは同じシフトになることが多かったが、最近は同じシフトになることがなかったため、話す機会が減った。
愁は変わらずに仲良くしているため、たまにプライベートで遊んでいるみたいだが。
私と顔を合わせるのが気まずいため、もしかしたら、中山くんがあまりシフトを被らないようにしてくれているのかもしれない。
「分かってますよ。言われなくてもそうだろうなぁ…って思ってましたから」
中山くんはさておき、副店長はそんな気がしていた。
この話しぶりからして、可愛い妹ぐらいにしか思っていないであろうと。
「俺からすれば、大平はガキだな。可愛いの意味合いが違う」
私からしても、副店長はカッコいいの意味合いが違う。
大人の男性として、カッコいいなと思うくらいだ。
「奇遇ですね。私も副店長のことはカッコいいと思いますけど、意味合いが違いますね」
「そうかい。そう思ってくれてるのは有難いけどな」
とても嬉しそうな顔ではない。まるで、カッコいいという言葉を言われること自体が嫌そうな顔である。
「いえ。どういたしまして…」
なんとなく気まずい。会話が上手く続かない。続ける必要もないか。勤務中だし。
「俺さ、可愛い彼女がいるんだ。すげー可愛いんだぜ」
まだ話が続くとは思ってもみなかった。というか、副店長の彼女の話は聞いてないんですが…。
「そうなんですか。羨ましいですね」
適当に話を流した。もしかしたら、この人はただ惚気たかっただけなのかもしれない。
「だろ?あー…早く結婚してーよ…」
なら早く結婚してください。ささっと幸せになって。
「結婚できるといいですね」
この人と話していた、今までの時間を返してほしい。
人の惚気話ほど、つまらないものはなかった。
「もちろん、結婚はする。だから、来月辞めることにしたんだ。
もっと給料のいいところへ就職が決まって、落ち着いたらプロポーズするつもりでいる」
副店長が辞めることに、ちょっぴり寂しい気持ちになった。
と同時に、プロポーズをするという報告だけは要らなかった。
「頑張ってください」
「大平、お前もあの女から奪えるように頑張れよ」
どうやら、副店長には気持ちがバレていたみたいだ。
私ってそんなに分かりやすいのだろうか。
「余計なお世話ですよ。まぁ、頑張りますが…」
否定はしなかった。もう自分の気持ちに蓋をして、嘘をつくのは嫌だから。
「その意気だな。俺がお前を応援するのは、あの女が嫌いだから。ただそれだけだ。
あんなブス、岩城には似合わない。お前の方がよっぽどマシだ。ガキっぽいが、可愛さはお前の方がある」
褒めてるのか、貶してるのか、どっちなのかよく分からない。
でも、副店長なりに褒めてくれているということだけは伝わった。
「そう言ってもらえて、嬉しいです」
「そうか。とにかく頑張れよ」
副店長はそう言い残して、仕事に戻ってしまった。
私の気持ちがバレていた。もしかしたら、ずっと顔に出ていたのかもしれない。
バレないように上手く取り繕っても、意味がないということを知った。
私は嘘がつけない性格。どこまでも正直者なのであろう。
私のことなんて興味がないものだとばかり思っていたので、見ている人は見ているんだということを改めて知り、まだ頑張れそうな気がした。
この時の私は、少しだけ前向きになれた。その前向きさは、仕事にも活かされ、集中力が更に高まった。
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「すみませんでした…」
残り時間があと一時間といったところで、ようやく愁が戻ってきた。
やっと彼女が納得して帰ってくれたみたいだ。かなり粘ったみたいなので、相当体力と気力を失ったに違いない。
「大丈夫だ。岩城の分は大平が頑張ってくれた。大平に感謝しておけ」
私の場合、頑張ったとはいえども、周りの手助けがあってやっと…といった感じだ。
「ありがとう、幸奈。助かった…」
働いている時よりも疲れ切った顔をしていた。相当、説得に時間がかかったのであろう。
「大丈夫だよ。気にしないで」
迷惑をかけた分、少しでも頑張りたいと思っていた。
これで、少しは休んだ分を取り返せたと思う。それよりも今は、愁のことが心配だ。
「そう言ってくれて助かる。この件については後日、ちゃんとお礼をする」
お礼など求めていない。私はただ、自分のしたいようにしただけだ。
「気にしないで。大丈夫だよ。それよりも、愁こそ大丈夫?」
ずっと気になっていた。あの後、どんな話をしたのか。
彼女と別れることはなさそうだけど、お店には来ないように、上手く説得できたのだろうか。
「なんとかな…。なかなか折れてくれなくて、焦った」
愁の彼女とは、直接話したことはないが、頑固で人の話を聞かなそうなイメージがある。
「愁もお疲れ様。気にせずゆっくり休んでね?」
同僚も同情してか、誰も愁のことを責めなかった。あの状況を見たら、何も言えないのは当然だ。寧ろあんな彼女と付き合っていて、可哀想と哀れむ視線ばかりであった。
「お言葉に甘えて、そうさせてもらうな」
私の頭をポンポンしてくれた。愁の手は優しい。この手に触れられてしまえば、もう何も考えられない。
「待っててな。…それじゃ、また後で」
私の元を去ると、皆へお礼と謝罪参りをしていた。暫く私はその光景を眺めていた。皆、「いいよ、大丈夫だから」と、愁を慰めてくれた。
その度に愁は、申し訳なさそうにしていた。彼女の尻拭いをし、代わりに平謝りをする。そんな姿を見ていたら、愁を慰めたい気持ちになった。私を傍においてくれたらいいのに…と、より強くそう願った。
「お待たせ。ようやく落ち着いた…」
やっと皆に謝り終えた安心からか、戻ってきた時よりも、安心した表情をしている。
同時に、ひたすら謝り続けていたこともあり、疲弊した顔もしている。
「お疲れ様」
「本当に疲れた…。働くよりも労力を使った」
必要以上に労力を使ったのだから、疲れていて当然だ。
「そうだね。早く帰ろっか」
疲れた愁を癒してあげたい。なるべく早くこの場から立ち去ることで、心が軽くなるのではないかと思った。
「あぁ。そうさせてもらうよ。幸い副店長からも、今日のところは早めに切り上げて、また違う日に代わりに入ることで話がついた」
副店長も見兼ねて、愁に責任を取らせる方法を最小限に抑えてくれたのであろう。
いくら愁が悪くないにせいよ、責任を取らせないとなると、他の人の目もある手前、そうせざる得なかったのであろう。
「そっか。よかったね。代わりに入ることで落ち着いたみたいで」
誰かの代わりに入るということは、人よりも多く出勤するということになる。
愁の勤務態度は至って真面目だ。周りからの信頼も高い。
だからこそ、今回はどう考えても彼女の方が分が悪い。非常識で。横暴で。お店にだけではなく、他のお客様にも迷惑をかけた。
愁の怒りを買うだけじゃない。店全体の怒りを買った。あの副店長のことだ。本当なら出禁にしたいくらいであろう。
敢えてそうしなかったのは、愁の面子を保つためだ。愁は仕事ができるので、愁を失うのは惜しい。
「あぁ。副店長はああ見えていい人だからな」
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