すいませんが、この人は自分のものです

アカシア

文字の大きさ
8 / 33

第8話 黒の女神の御加護

しおりを挟む
無事朝練に間に合い、いつも通りスリーを撃っていたんだが
澪のお陰か知らないが——

「今日、スリーの調子、めっちゃ良いんだけど」

今日はあまり時間が無かったため50本しか撃ててないが、殆ど綺麗にリングに吸い込まれた
その事をおれは、康太郎と久則に自慢げに語った
努力が叶ったっというところに注目すれば自慢ぐらいしても良いだろう

「それな、ずっと隣からスパスパ音が鳴ってたもんな」
「それを試合中にできたら神だけど」

痛い所を疲れた
結局の話、試合本番にめちゃクソ調子が良い、なんて滅多に無い
だから、シューティングをして、どんな調子でも入れる事ができる平均本数を上げるためにシューティングをするんだと思う
……まぁこれは持論なんだけど

「集合!」
「「「「はい!」」」」
「今日は元々休みだけど、明日、急遽休みになったから」

ここまで澪の御加護は効くのか
ゲームだったら環境キャラ確定だろ

急遽金曜が休みになり、キャプテン以外全員は舞い上がった、それもそのはず、うちのバスケ部は休みの日は火曜日と木曜日だけ、たまに祝日のおかげで土日のどちらかが休みになるがそれ以外では、この2日だけ

さぁどうしようか、見れなかったアニメ見るか、それとも、ゲームに当てるか

おれは、おもちゃを買ってあげると言われた子供みたいに考えた
楽しい事ばかり考えた
しかし、現実は甘く無かった、ここまでは流石に澪の御加護はは効かなかったみたいだ
「そのかわり、金曜は各自2km走り、監督に言う事」
「逆に言えば、それだけで良いんだよな」

副キャプテンの宗汰さんは期待の眼差しを向けながら聞いた

「あぁ……って事で、体が鈍らないように筋トレでもして各々過ごしてください」
「「「「はい!」」」」

そして、おれらは体育館から離れた

◆◆◆

「なぁ、蒼」
「……何」
「え、何でキレてるの?」
「今、この小説で殺人のトリックがわかる所なんだ」
「…そんな事はどうでも良い」
「おれの楽しみを奪うな」
「まぁまぁ、落ち着きなはれ」
「キモイ」
「そうかいそうかい、で、今日の放課後暇?」

今日は……多分暇

「暇だよ」
「じゃあさ、ジム行かね」
「おれん家の近くの?」
「もちろん、器具もいいし、ジムの後の温泉は無料、行かない以外選択肢は無いだろ」

それもそうだな
せっかくの2日連続オフだけど……アニメはいつでも見れるし、優先順位は筋トレの方が高いか

「何時から」
「午後7時はどうだ」
「いいよ」
「オッケー、……あ、後、数学教えて」
「それが1番聞きたかったやつじゃないのかな?」
「ありゃりゃ、バレてたか」
「まぁ良いけど」
「あさーす」

そして学校が終わり、午後6:50

もう少しで予定していた時刻になるのだが、なぜか、澪は運動着に着替えていた

「何してんの?」
「何って……私も筋トレって奴をしに行くんですよ」

おいおい、マジか……澪が筋トレだと
あの、運動嫌いな澪が……

「マジで言ってんの」
「……もしかして、私が行っては行けない理由でもあるのですか?」
「ないけどさぁ」

あんなに細い腕でベンチプレスをする姿を想像出来る人の方が少ないでしょ

「もちろん時間はずらしますし、30分ぐらいしか居ませんよ」
「まぁ、時間をずらすんだったら良いけど」
「……でも、蒼君がジムに行って筋トレ、なんて珍しいですね」
「まぁ、明日も休みになったからな」
「あー、だから川上さんがウキウキしてたんですね」

へー、久則でも嬉しいんだ
部活がオフになるのは誰でも嬉しいわな、そりゃあ

「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」

おれの家から、温泉付きのジムまでたったの5分
小学校まではお父さんと一緒に行ていた
普通に筋トレの器具も揃ってるし、温泉も広いから、有名になっても良いと思うけどな

「蒼さん早いね」
「案外普通だろ」
「はは、確かに…じゃあ行こか」


そして、今、おれはジムで下半身をメインに鍛えているのだが

絶対、おれのするメニューをパクってやってるよな

時間をずらして来ると言った澪も合流し、筋トレをしているのだが
さっきから、おれがした筋トレを同じ器具で同じメニューをしていた

そして毎回最初の一回はおれと同じ重量でし、上がらず、不貞腐れ、重量を下げる
その姿が何とも愛おしい

考えてみろ、自分の好きな人が、筋トレを頑張ってあげようとしたが、結局上がらず、不貞腐れる姿を——

おれは写真に収めたいと思ったが、康太郎に見られる心配があったので、その気持ちを心に止まらせ、筋トレを再開した

もう少しで20分経つんじゃないかな
そんな事を思いながら、澪を見ていると

ベンチプレスのバーが彼女の胸元に落ちて、澪が目をぎゅっと閉じて苦しげな顔をしているのが見えた。

澪があんな顔をするのを見たのは初めてで、驚きで思わず動きかける。

おれが動くのは簡単だったけど、康太郎が見ているかもしれないし、あからさまに助けに行くと俺と澪の関係性が不自然に見える。
澪の方をちらりと見やると、まるで助けを求めるかのような目でこっちを見ている気がして、申し訳ないが少し笑いそうになった。

とりあえず、助けに行くか

バレないにおれは掛け、澪を助けに行った

おれがバーを持ち上げると、澪は小さく安堵のため息をついているのが分かった。

「大丈夫? 初めてなら無理しないほうがいいよ」
「あ、ありがとうございます、あおく、柊さん」

この程度の会話だったら、単純に、澪をおれが助けに行った、ってだけに見られるだろう

そして、おれと康太郎が筋トレを終え、温泉に向かった
ジム内には、未だに、澪がいたので遠目に見守りながら

「…ほんとに、無茶するよな」

と苦笑を漏らしてしまった




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

隣人はクールな同期でした。

氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。 30歳を前にして 未婚で恋人もいないけれど。 マンションの隣に住む同期の男と 酒を酌み交わす日々。 心許すアイツとは ”同期以上、恋人未満―――” 1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され 恋敵の幼馴染には刃を向けられる。 広報部所属 ●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳) 編集部所属 副編集長 ●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳) 本当に好きな人は…誰? 己の気持ちに向き合う最後の恋。 “ただの恋愛物語”ってだけじゃない 命と、人との 向き合うという事。 現実に、なさそうな だけどちょっとあり得るかもしれない 複雑に絡み合う人間模様を描いた 等身大のラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

処理中です...