贖罪ーヒートレイプを仕掛けてしまった男Ωの悔恨の物語。

認認家族

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蛇足1

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力を失った脚
茫洋とどこを見つめているのか分からない瞳
可哀想に…とも思う。
上位αに執着されて、生まれながらのΩであれば幸せと感じたであろうに…。
私の執着、猪瀬の執着。
陸様、か…。
αは幾らでも番を持てる。
猪瀬も陸を忘れられなくても番を持つ事は出来た。
けれど、持たなかった。
陸の中に居続ける為に。
いつまでも陸を忘れられないのだと、陸につきつける為に。
『陸様…』
主の番への敬意を表した呼びかけの中に潜む僅かな僅かな毒。『貴方を人として主の側にいる事を認めました』、表向きはそうだろう。けれど、猪瀬自身も自覚ないままに『特別な関係だったのだ、他のαとは違う』ソレを乗せた。
番も作らないままに女遊びを続ける猪瀬の『貴方を忘れられないのです』という陸様どくは、抜けない棘のように陸を苛む。

番に邪な想いを抱く猪瀬を何故処罰しないのか、疑問に思っているものもいる。制裁も出来ないαだと軽んじられると忠告してくる側近もいる
だが…あの女、陸の元婚約者のように理解している者もいる。私が……陸を殺す要員として猪瀬を飼っているのだと理解し、対策を講じてるあの女のように

私は陸を一人にしたりしない。
死が二人を分かつまで?
いいや、死であっても私から陸を逃す事は許さない。
陸が死ぬ時、私もともに死ぬ。
だが、私が先に死んだら?
ソレを防ぐ為に健康にもセキュリティにも注意をしているが、想定外の事だって起こるものだ。
死の瞬間、私は陸を引っ張っていくつもりだ。目の前にいれば私が生を諦めた時点で陸を殺す事も可能だが、距離があったら不可能だ。遠隔操作可能な小型の爆発物を陸の体内に埋め込む事も考えた。だが、警戒心の強いあの女が陸の人間ドックに立ち合っている。リアルタイムで画像をみられれば発覚する。何より、誤作動の可能性をゼロには出来ない。私は、陸と1秒でも長く生きていたいのだ。こんなふうに陸を感じて生きていたいのだ。

ぐぽ
奥に嵌め込めば、陸が再び啼く。全身が痙攣している。
私を包み込むソコも貪欲に私を求めて蠢いている。

陸の体はこんなにも素直に番を求めてくるのに……心は違う。
結びつきの強い番は一方が死ねば遠くにいようともつられるものだ。だが、陸はついてきてはくれない。だからこその猪瀬だ。猪瀬だった。

『陸様…』
その呼びかけは陸の心にいつも擦過傷を残す。
『貴方が貴嗣様以外の人と歩く姿をみたくはないのです』
猪瀬がそう言えば、陸は従うだろう。私を失った陸は番契約も消滅するし、その頃にはヒートも落ち着いて女と過ごす事も可能にはなる。だが、過去の番契約の呪縛に苦しんでいる猪瀬を前に、開放された益を甘受する陸ではない。
そうして、架向が伴侶を見つけた頃、猪瀬は言うだろう
『限界なのです』と。
陸を求めて荒れ狂うαの本能と京極への服従の板挟みに苦しむ猪瀬に、(共に)死んでくれと言われれば、お人好しの陸はそうせざるえない。ソレを選択してしまうくらい、猪瀬は陸に毒をもり続けたのだ。
最も大事な架向に番が出来て、そして二番目に守らなければならないモノ、陸の犠牲者が壊れかけているのだ。
あのΩ女が陸を守ろうとしても、無駄だ。守ると決めた陸を変えるのは不可能だから。
陸は自分の体を軽んじる。命も。それで守れるのならいくらで差し出してくる。
……今みたいに。


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