Ωにレイプされたαの未来は……

第一章

9

来年、智則はウチの学校に入学する。

やっとだやっと。

今までは深澤優に奪われていた時間を俺が取り返す。
智則と一緒に登下校して、勉強を教えてあげて。運動会で一緒にご飯をたべて。毎朝マーキングして俺のモノだって知らしめて。事故が起きない様に気をつける。智則はモテるからちゃっちゃと番って安心したいなぁ

島野も諦めモードになった。当然だ。俺の方が上位だ。深澤も俺より下位なんだからそろそろ諦めろって思うのに、まぁヤツの方が島野より上位だから執着は強いし、番う迄は無理かもしれない。ヤツが智則をはめて強引に番ったりしないようにカラーもプレゼントしないとな。

あれこれとこの先の事を考えていると、当主にいわれた。
「松井の無理心中事件をどう思う」

俺は芸能人に興味はない。

だから、今までワイドショーなんて見てこなかった。
一応、人付き合いの為に有料のネットニュースの要約チャンネルは見てはいるが……

どう思うも何も俺には関係ない世界のことだし、確かハリウッドでも活躍している俳優が妻を殺したとからしいけど、だからなんだよ、って言う感じだ。黙っていると言われた

「一度事件のあらましを読んでおけ」


嫌な予感がした。わざわざ読んでおけということは俺に何がしかも関係はあるとふんでいるのだろう

ただ、直感は調べるなという。理性は海千山千を生き抜いた当主の忠告はきいておいたほうが良いといっている。

迷った末に調べる事にした。



けれどあの時、αならば己の直感こそ信じるべきだったのだ…………。
調べていなければ、知らなければ自分はもっと違う行動を取っていたかもしれないのに。
小さい頃の俺はなぜ、あんなにも愚かだったのだろう……。

華に中途半端なラットへ導かれ、Ωに腰をふる俺。嗤える。