菫…BL小説の世界に転生した私。ゲスな攻めから主人公を守ろうと暗躍していたらハイスぺモブαに執着されました。

認認家族

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24箱アルの世界と私

シナリオ通りに進むとは限らない。
そんな不確実性に左右されて陸に不遇な時間を過ごさせたくない。
今回陸が骨折したのは私が中途半端だったからだ。師匠は反撃出来ないと言っていたじゃないか。攻撃は最大の防御だ、陸にその必要性を諭せなかった私の失態だ。
フラグを折ろうとした私が間違えだったんだ、フラグは叩き潰すべきもの、燃やし尽くして消滅させるべきものだったんだ。
流石に、京極を私の力で……は不可能だ。だからこそ、私が出来る事をする。
先ずは、防犯カメラだ。私と陸が一緒に映っているものを消していく。ダッドに頼れば自然な感じで消去できる。

京極は陸と出会ってから、その過去も追った。
『陸の過去現在未来、全て私だけが側にいればいい』そう言って陸が思い返さないよう深い傷にならないように、陸が不審がらないように消していったのだから。
まあ、陸から見たら自然消滅なだけで、陸を虐待した輩にはかなり酷い事を京極はしていた。さらりと記載されていたが、実際にはかなりエグい。
『生きている事を後悔させろ』
自殺すら叶わない拷問をうけ続け、叔父と実父は発狂する。最後には一年かけて意識があるままに臓器を取り出されていた。私は入院していたから、想像力がはたらき過ぎて恐怖の余りに本を投げ出したわ。これ、BL恋愛だよね?ホラー小説ですかって思わずツッコミいれたもん
んで、母と養父は軽い拷問(なんだ、軽い拷問って)の後に脳をいじられて柔らかい(覇気のないイエスマン)理想的な両親になる。ただ、自主性にかけるから表面的な付き合いで、陸を見ているようで全く見ていないから陸はますます満たされない想いを抱く(むしろ、京極はこれを狙ったんじゃ?)
兄だけが無事だった。ただ、それは兄の伴侶のαが京極レベルで(精神的に)ヤバい奴だったからだ。異常なまでの執着をみせる伴侶から逃れられない状況を続けさせる、ある意味これも京極による復讐とも言える。

そんな京極だ。
陸に私がいる、いた、と知れば、私の抹殺を試みる。過去の防犯カメラを追う。
だから、私は街中の防犯カメラの位置を把握し、顔認識を誤魔化せるだけの特殊メイクを会得しなければならない。
そんなに長く待たせない。
陸が、笑顔でいれる時間を増やしたいから。
陸は私の生きる理由なのだから。


ダッドに防犯カメラの相談をした。陸と私は結構な回数会っているから、専門家に依頼する事になるだろう。最大手とはいえ千葉警備保障だけはさけてもらわないと。
あのどうしょうもないαどもで構成された箱アル、その唯一の良心、本物のスパダリと称されていたのが千葉警備保障の息子、千葉彰だ。幼い頃に運命と出会い、ずっと番だけを見てきたα。
運命との出会いは己の軸(運命の番を守る)が確立し情緒も安定するから、早期であればあるほどそのαは大成すると言われている。実際、箱アルの彼は代々続く千葉家の中でも最も優秀とされていた。
……君子危うきに近寄らず。
スパダリは恋人には最高だろうけど、他の人にとっては最悪なケースもある。唯一のまともキャラと書かれていても、京極に命じられればどうなるか。
「野々村警備に依頼をしておく」
ダッドが言った
野々村警備は業界の三四番手だった気がする。私が千葉警備を避けてと言う前に、ダッドはトップの千葉警備ではなく野々村警備をチョイスした。
なんで…そう疑問に思った瞬間、ドクンと心臓が鳴った。
そうだ、千葉彰は『幼い頃に運命と出会った』のだ。年上の番を護れるようにとより成長を望んで、その健気さと一途さに読者は囚われたんだ。
年上の運命
千葉警備に頼めない事情。
「ぐ…」
酸っぱいものが込み上げてきて、慌ててトイレに駆け込んだ。
胃の中のものを吐き出しても吐き出しても嫌悪感が消えない。
私だ。箱アルの私が千葉彰の運命。
早熟だった千葉彰。
箱アルの私は、あの時あの幼い子供を襲ったのだ。
番うのは早いほどいい? 何を言ってるんだ? 恐ろしい。子供だ。まだ何も知らない子供その子供に対して私は…
「菫…」
ドアがノックされた。ダットだ
「千葉家は菫を探していない。αの息子に運命が現れたと認識していたなら、彼らは菫を既に拐かしているはずだ。千葉彰は運命に拒絶された事を受け入れられず、出会いを忘れる事にしたのだろう。」
……
安堵した。
そして、同時に……寂寥感に苛まれる。
何故!?私に、運命に出会っておきながらなかったことにできるの!?私を否定するの!
そう、魂が叫んでいる。
胸が痛い。
これがΩの本能か。
あの幼い子を守れたと思いながらもそれ以上に強く強くあの子を求めている。
『私のαなのに!』
『何故私を探してくれないの!?』
引き裂かれるような痛みを感じる一方で強い強い嫌悪感を抱く。
本当に、私は獣だ。
私はあの子の人となりを知らない。性格も何も知らないまま、フェロモンだけであの子を欲しているのだから。
………
「菫、運命というものは粘着質なんだ。菫が断ち切ったと思っていても細い細い糸をたぐり寄せてまた二人が出会うようになっている。だから、菫が意図して避け続けない限り、いつでも会える。今すぐでもいいし、彼が大人になってからでもいいんだ。忘却を選んだとはいえ、彼の魂の奥底には運命と出会いが刻まれている。勿論、他のαを選んだっていい。あんな子供なんかよりもっと菫に相応しいαと出会うかもしれない。アレより上位であれば運命も弾き飛ばせる。菫にはいくらでも選択肢があるんだ」


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