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1章 この世界を生き抜くためには

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「さて、まずはみんなの服買いに行こうか!今は安いのしか買えないけど稼げるようになるまで我慢してね」


そういって歩き出そうとしたら獣人族のギルバートが遠慮がちに話しかけてきた。


「あの主様、衣服はこれで充分かと…これ以上は贅沢です。私達は奴隷ですから」


他のふたりも頷いてギルバートに同意を示している。


「んー私と一緒に行動してもらうし、私はあなた達を奴隷として扱えないと思うから普通の冒険者くらいの格好はしてほしいんだけど……」


「しかし……」


「いいから!ね?お願い!私が恥ずかしくないくらいの格好になってきて!着替えもね!」


まだ食い下がろうとするギルバートを遮り店の中に入れようとグイグイ押す。

……1ミリも動かなかったけどね……。


なんとか全員で店に入ったところで店員が訝しげにこちらを見ていることに気づいた。


「あ、もしかして奴隷はダメでしたか?」


今更だが確認してみる。


「いえ、ダメではありませんがとても珍しいことですので思わず凝視してしまいました。申し訳ございません。ごゆっくりお選びください」


「ほら、お店の人もいいって。早く選ぼう。とりあえず普段着と下着が1人3組ね、後寝る時用を1組選んできてね」


そういってグイグイと背中を押す。
…まぁ、私の力じゃびくともしなかったけどね。



おずおずと戸惑いながらも選び始めた3人を見ながら私は3人用のカバンを見ていく。


…数が少ないし、マジックバッグは無さそう…。


「すみません。ここにマジックバッグは置いてないんですか?」


店員さんに聞いた方が早そうだ。


「当店にはマジックバッグは置いておりません。お探しでしたら魔道具屋で取り扱っておりますよ」


「そうなんですね。ありがとうございます。この後行ってみます」



「それでしたら当店の三軒隣にある魔道具屋がおすすめですよ」


「ありがとうございます!」


そんな話をしているとそれぞれ決まったのか3人が集まってきた。


「決まった??ちょっと見せて」


3人が選んだものを確認していく。



3人ともシンプルなシャツと丈夫そうなズボンを選んだようだ。


部屋着も下着もしっかり選んでいた。


「よし、じゃあこれください」


「ありがとうございます。こちら全部で金貨6枚になります」


金貨6枚を支払い商品をそれぞれに持たせて店を出る。


「疲れたから今日は宿に帰ろうか。他のものは明日でも大丈夫かな?」


「「はい」」

「あぁ」


帰りに魔道具のお店と靴屋を見つけたので覚えておく。




明日はそこに行ってみよう。













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