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1章 この世界を生き抜くためには

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「おや、おかえり。無事に買えたみたいだね」


「おかげさまで良い出会いがありました。ただ、2人の予定が3人になっちゃって…ベッドどうにかならないですか??」


「あー今4人部屋が空いてないんだよ…ベッドを今の部屋に1つ足すかい?ちょっと狭くなっちまうけど」


「足せるならそれでお願いします」


「はいよ。ちょっと待ってな」


そう言って女将さんが厨房の方に入っていく。


「ご主人様…我々は床で充分です。ベッドなんて勿体なさすぎます。むしろ宿の馬小屋でも良いのです」


ヴィルフレッドがおずおずと話しかけてくる。


「それは私が嫌。疲れも取れないしすぐ病気になっちゃうよ」


「しかし…「主人が良いと言ってるんだ。その分しっかり働こうぜ」」


スイレンがヴィルフレッドを遮り良いことを言ってくれる。


「そうそう。その分しっかり稼いでね」


「お待たせしたね。ベッドは入れといたよ。それで奴隷達もお嬢ちゃんと同じ日数で良いのかい?残り4日だけど」


「はい、それでお願いします。あと今日のお湯と夕飯も全員分」

「はいよ。ちょいと待っておくれ、計算するから…
金貨3枚と銀貨8枚に銅貨80枚だね」


「これでお願いします」

金貨3枚と銀貨9枚を女将さんに渡す。


「はいよ、銅貨20枚のお釣りだね」


「ありがとうございます。じゃ、部屋に行こっか」






ドアを開けて部屋に入るとベッド4台がなんとか並べて入れてあった。


「ちょっと狭いけど我慢してね。私は1番奥のベッド使ってるから他の好きなとこ使って。」


ベッドに座ってステータスの時計を見るとすでに17時だ。
想像以上に時間を使っていたようだ。


「あの、ご主人様と同じ部屋なのですか??」


ヴィルフレッドが入口に突っ立ったまま驚きの表情で聞いてくる。
というかみんなまだ入口のとこに立ってるけど…


「え、うん。お金勿体ないし、一緒じゃダメだった??」


「いや、普通は奴隷と一緒には寝れないだろ」

ギルバートが呆然と呟く。


「んー?私は奴隷とか買うの初めてだから普通がよく分からないから私のやり方に慣れてくれると嬉しいな」


「普通に合わせようとは思わないのか?」


スイレンが聞いてくる。


「普通が分からないから合わせられないでしょ。あなた達のことは家族として扱うつもり。これからお互いにいろいろ知って良い関係を築くことができたら良いなって思ってる」


「そうか」


「…夕飯の前に少し話をしようか。こっち座って」


3人を空いてるベッドに座らせ、私は備え付けのテーブルセットの椅子を持って来て座る。



「私がなんであなた達を買ったのかというとね、一緒に旅をしてくれる人が欲しかったからなの。ちょっと特殊な事情があってまだ自分では何もできないから頼れる人が欲しくて…」


3人の反応を見ながら話をしていく。


「だから3人には旅の護衛と私に魔法と戦い方を教えてほしいの」


「主人が戦うのか?」


「うん、戦いたい」


「我々に任せても良いと思うが…」


「んー…私は3人と一緒に冒険したいんだよ。駄目かな??」


「教えるのは構わないが、我々の仕事はとらないでくれよ」


「わかった。あと呼び方はユズキでお願いね」


「それは出来ません!」


ヴィルフレッドが反応する。


「理由は??」

ギルバートは疑問に思ったようだ。


「嫌だからよ。家族として扱うって言ったでしょ」


「「「……わかった(わかりました)」」」



「よし、じゃあ夕飯食べに行こう!」























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