直刀の誓い――戦国唐人軍記(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)

牛馬走

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「ならば、おおまかなところをお主たちに教えてやろう。まず、お主らがおるのは九州という地域の一国だ。壱岐、肥前、筑前、豊前、豊後、肥後、日向、大隅、薩摩の九つの国があり、このうちの肥前の龍造寺、豊後の大友、薩摩の島津が鎬を削っているのが現状といったところか」
(肥前の龍造寺、豊後の大友、薩摩の島津、か――)
 三蔵は頭領の口にした情報を頭の中に刻みつけていく。
「三強のうち、大友は『耳川の戦い』で島津に破れて弱ってる。逆に、島津はこれで勢いづいた。それに、龍造寺も耳川での大友の敗北の隙に筑前を攻めて手中に収めつつある――」
「では、島津か龍造寺につくのが得策というものでしょうか?」
 得々と話す頭領に三蔵は質問を投げかける。
「ああ、間違いねえ。俺のみたところ、大友はもう駄目だ。勢いを盛り返すことはねえだろう。『釣り野伏(のぶ)せ』で巧みに大友を破った島津義弘、一〇〇〇丁の鉄砲隊を編成した先見の明のある龍造寺隆信、どっちも甲乙つけがてぇ」
 まるで自分のことのように頭領は悩ましげな顔をする――実際、小勢力であっても、いや小勢力だからこそ、戦国大名の動向には注意深く気を配らなければならない、そういた苦悩が垣間見えたのだ。
「釣り野伏せというのは?」
「うむ、それはだな――」
 三蔵の疑問に、頭領がやや顔を厳めしくしてこたえる。

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