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――釣り野伏せは島津家が得意とした戦法だ。戦術そのものは単純で、まず軍勢を三手から四手に分け、先手が進出して敵勢と合戦を行う一方、ふた組は地勢を利用して伏兵となり、四手に分けた場合は、残る一手は後方に布陣し、浮き備え(予備兵力)となる一方、敵勢を呼び込む餌となる。
先手は事実上の主力と呼べるだけの兵力を持ち、前進して敵勢と熾烈に戦う。しばらくは互角に戦うが、やがて押されたように後退し、間もなく敗走に移っていく。
それまで必死に戦っていた島津勢が、力尽きて崩れたと見た敵勢は、当然ながら追撃に移る。
敵の戦列が伸び切ったころ、両側に配置されていた伏せ備え、伏兵が群がり立って側背を衝き、同時に逃げていた先手も逆転して、混乱する敵勢を包囲殲滅する。
「というものだ」と頭領は最後を結んだ。
「なるほど、友崩(ともくずれ)とみせかけて敵を罠にはめるとは、島津某とはよほどの器にございますな」
三蔵は思案げな顔をする。
単純に“勢い”というものを重視するなら、島津に軍配があがる気がした。
だが、三蔵たちという特殊な立場の者が割り込む余地があるかというと疑問を感じる。
日本人のというところの唐人――正確には明人である三蔵たちは異物だ。
釣り野伏せという強固な結束を必要とする戦術を駆使する島津の軍勢には、彼らが入り込むのは難しいだろう。
それより――と三蔵は思考を進めた。
先手は事実上の主力と呼べるだけの兵力を持ち、前進して敵勢と熾烈に戦う。しばらくは互角に戦うが、やがて押されたように後退し、間もなく敗走に移っていく。
それまで必死に戦っていた島津勢が、力尽きて崩れたと見た敵勢は、当然ながら追撃に移る。
敵の戦列が伸び切ったころ、両側に配置されていた伏せ備え、伏兵が群がり立って側背を衝き、同時に逃げていた先手も逆転して、混乱する敵勢を包囲殲滅する。
「というものだ」と頭領は最後を結んだ。
「なるほど、友崩(ともくずれ)とみせかけて敵を罠にはめるとは、島津某とはよほどの器にございますな」
三蔵は思案げな顔をする。
単純に“勢い”というものを重視するなら、島津に軍配があがる気がした。
だが、三蔵たちという特殊な立場の者が割り込む余地があるかというと疑問を感じる。
日本人のというところの唐人――正確には明人である三蔵たちは異物だ。
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それより――と三蔵は思考を進めた。
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