直刀の誓い――戦国唐人軍記(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)

牛馬走

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 ――そうしているうちに、龍造寺の士卒が敵勢の背後を突く。三蔵たちとの戦闘に気を取られていた軍兵は不意打ちを受ける形になった。
 いくつもの悲鳴がもれる。それを生み出しているのは、龍造寺の士卒の先頭で大薙刀(おおなぎなた)をふるう具足姿の武者だ。その配下の者たちも槍薙刀(やりなぎなた)を勇猛果敢に繰り出す。彼らの数は、三蔵たちと交戦していた軍兵の半分ほどだが、完全に圧倒していた。
 またたく間に勝敗はついた――濃い血臭があたりにただよい、頸(くび)や手足を裂かれた兵たちが地面に骸となって転がる。
 と、例の大薙刀の武者が間道脇の木立の陰に隠れる三蔵たちに視線を向けた。
「おぬしたちは何者だ? 蒲地(かまち)の者共と刃を交えていたようだが――」
 ……その声は、三蔵たちが予想しなかったものだ。なんと、女のものだった。
「……」と彼らは驚きで返辞(へんじ)の言葉を失う。
 それに苛立ったのか、女武弁(おんなぶべん)は大薙刀を卒に預け手荒な手つきで兜(かぶと)を脱いで面貌をはずした――結果、凛と美しい素顔があきらかになった。やや太めの眉に、意志の強そうな瞳、すっと通った鼻筋に朱をさしたような唇と男性的でありながら調和のとれた美しさがそこにある。
 ――仲間は戸惑いを眼にあらわし、視線を交わした。
 こうなればしかたがない。流れるに任せるしかないだろう――と眼顔で三蔵は告げる。
 それに他の者がうなずき、対手を刺激しないようゆっくりと木蔭から表へ姿を現した……
 こちらに攻撃の意志がないことを認め、女武弁は武器を向けようとする士卒たちに「待て」と下知する。
「おぬしたちは何者だ?」
 あらためて同じ質問をくり返した。
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