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ある日の、のどかな昼下がりのことだった。
伺見の里に預けられた史郎は、
「ちょっと、来い」
と気軽な言葉を告げられ、無数の天幕の中央のちょっと開けた場所に連れていかれた。移動集落の周囲にはアカガシの木々が広がっている。
そこにはおだやかなまなざしの翁がたたずんでいた。
ただし、手には鞘に収まった太刀をさげていた。
なにか尋常ではないことが起こる、と察して史郎は顔を強張らせる。
あまり他人と話すが好きな性分ではないため老爺と言葉を交わしたことはなかったがそれでも顔見知りではあった。
「今日の鍛錬は、この翁を斬ることだ」
四千の父が淡々と告げた。
史郎は目を見開いて彼お見やる。
「なんだ。お前の父はお前を刺客として飼うつもりだ。なれば、いずれは人を斬ることになるのだ、そのための修練を行うだけのことだ」
「されど」
史郎は言い淀む。
老爺を斬るなどの、“斬る”という言葉が喉に強く引っかかった。
「斬らねば、おまえが斬られるぞ」
師は、物を投げれば下に落ちる、といった当然の理を解くように告げる。
「童や。わしは病を得た。もはや、助からぬ身だ。ために、後塵に斬られることでその糧となるのだ、それが里の掟なのだ」
翁はおだやかに孫に語りかけるように言った。そのまなざしは、とても自分を斬る者を見る者のそれではなく、ただひたすらに優しい。
慮外な、と思ったがやはり史郎の声は詰まった。
「わしを斬った分だけ、斬った者が修羅場で生きる見込みが増える、それはすばらしいことではないか。ん?」
斬られる身で、翁は笑顔で理を解いた。
「言い換えれば、わしはお前さんのために死ぬのだ。ただ、死ぬのではない。人のために死ねるのだ。これをよろこばずして何をよろこぶのだ?」
「嫌だ」
やっと、この段になって史郎は声を発することができる。
が、最初から史郎の意思の介在する余地はない。
「されば、死ぬことだ」
師が脇にさがった。
同時に、翁が太刀を抜く。
「抜け、童」
彼はやさしくうながした。
その声に引っ張られるように、史郎は知らず抜刀している。
翁がゆるりと天を見上げた。
「死ぬにはいい日和だわい」
目を細めてよろこぶ彼を、史郎は凍える境地で見つめた。
さて、と翁がこちらに視線をもどし正眼に剣を構える。のちの世の流派にいう、“刀中蔵”が見事になされた構えだ、真剣にはばまれて史郎の剣は届きそうにないように感じられた。
なら、取るべきば捨て身の太刀か。戦術は浮かぶものの、それを実行する気力がわかない。剣尖のさがった太刀を構えるのだ。
そんな彼に翁が徐々に近づいてくる。
剣光一閃、刃圏内にはいったとたん、翁が正面から斬りつけてきた。
とっさに、それを支え落とせたのはふだんの鍛錬の賜物だろう、相手の剣尖は素通りするように動き地面に垂れた。
刹那、翁が斬り上げる。
史郎も気づけば動いている。鎬で攻め合い、相手の剣を封じた。
「まっこと、恐ろしき童よ」
翁が歯を見せて笑う。笑いながら、こちらに距離を詰め、鍔ぜり合いに持っていった。
そして、手元を捻り下げてこちらの顔を裂きにくる。
転瞬、史郎の鍔が相手の顔面へと打ち込まれていた。ほんとうに“込まれていた”という心境だ。
が、相手はひるまない。こちらの首を掻き切りにくる。
瞬間、裏鎬で応じた。その動きで剣尖が翁のみぞおちのあたりに落ちた。
だが、史郎は突けない。次の瞬間、信じられないことが起こった。
翁がみずから史郎の太刀の剣尖を体に埋めたのだ。
目を見開く史郎に、
「まあ、最初はこんなものだろうて」
と優しく笑って告げた。
「介錯つかまつる」
師が気づけば側にいる。迷いなく太刀を抜くや、翁の首を切断した。
首、になっても彼は優しく笑っていた。
「半端をすれば、余計に相手を苦しめるぞ」
師は咎めるふうではなく、理を解く口調で告げる。
考えてみれば、翁を斬るのはあのとき以来か、と史郎は思った。
ひとっ走りで海辺へとつく。着物と得物をまとめて頭にのせて布で結んで海に入って行った。四千も同じ装(なり)になって入水する。
腕を前に伸ばした平泳ぎ、そんな姿勢で史郎は海を進んだ。
目的の島まで遮るものはない。だが、まず波が邪魔をする。煽り、沈ませ、と泳ぐ者の体力を削る。比較的穏やかな日和でよかった。
それと、潮流が障害となる。一度引きずりこまれたら、思わぬ場所に運ばれることになる、悪くすれば死ぬ。ただ、例の漁師から潮流の仔細は聞いていたから、巻き込まれずにまっすぐに進めている。
時間が経った。四里の距離を泳ぐことになっているが、そろそろ六分、七分ほどは進んだはずだ。陽が沈んでいく。出発した浜より、目当ての島の影のほうが今は近い。
やがて、影が見えた。
波間に人の頭が突き出ていた。
六間ほどの距離に近づいたところで相手が泳ぐのを止めて振り返る。
相手、翁は呵々大笑する。
「またあったな、お若いの」
「翁こそ、ようもここまで」
余裕の態で立ち泳ぎをする翁に、史郎は呆れ返った。
「どうだ、生い先短い身のわしに先を譲らんか?」
米と野菜を交換しよう、と交渉するような気軽な口調で翁はたずねる。
「命が短いかもしれないのは、こちらも変わりのない身だ」
それは残念、と翁はちっとも気落ちしていないようすで笑った。
「四千、これを頼む」
顎に結んでいた布を解き、荷物を四千のほうに投げる。
四千は突き出した両手で難なく受け取った。
「わしのも頼むぞ」
翁が突然に自分の頭の荷を四千に放る。
「んな」
四千が目を白黒させながらそれを片手で受け取った。
「翁」図々しい翁に史郎は大きく口を開ける。
まあ、いいか、と史郎は思い直した。
そして、改めて翁を観察する。一見すると無手に見えた。
が、水面に片手が沈んでいるのが気になる。先ほど、荷を投げるときもそういえば水中に沈めたままだった。
短刀、と見た。史郎もあらかじめ荷から取り出しておいた短刀を鞘から抜く。体をかしがせて泳ぐ。短刀は錆びても仕方なしと水面に沈めた。
距離が、つかみ合いの間(ま)まで縮んだ。
閃、翁の短刀が水面を割って袈裟斬りに迫る。
半ば、姿の消えていた得物のせいで間合いの読みが狂った。
なんとか、腕を間に合わせた。相手の肘関節の手前あたりを打った。
もう一方の腕が斬り上げられ、ふりおろされる。
短刀で受ける。
寸前で攻撃が止まった。いや、そこから肘がこちらの手首に伸びる。短刀を取り落としそうになった。
瞬間、史郎の足が相手の足を絡めている。力を入れて極めた。
その前に、空いた足で翁がこちらの股間を蹴り上げる。水中のことで威力はない、が思わず力をゆるめる程度の隙は作られた。
拘束を逃れた翁が側面にまわる。喉首を掻きにくる。
旋回、史郎は足を動かし水をかいた。
今度はこちらが相手の喉を裂ける場所に陣取った。
が、それが目的ではない。
史郎は短刀を掲げた。とたん、むう、と翁が唸り声をもらす。
陽光の反射で目で目を射たのだ。手首を取り、腕を極めて相手の短刀を取り落とさせた。そして、短刀を首に当てた。
「まだやるか、翁」「甘いな、若いの」
史郎の問いかけに、翁が真剣になっていた顔つきを崩して笑顔を見せた。
「悲壮、憤怒、諦念、そんな顔ばかりをわしの相手は見せてきた」
翁は忍び笑いのようなものを漏らす。
なれど、と彼は言葉をかさねた。
「そんな静謐な顔でわしを見た者はそなたさんが初めてだ」
翁はうれしそうだ。
「冥途の土産にちょうどいい」
「俺は殺さない」
翁の言葉に、即座に史郎は断りを入れる。
「されど、天がわしを殺す」
翁はゆっくりとかぶりをふった。
天、と史郎が眉をひそめる。
「病だ、若いの。ある日、血を吐いてな。爾来、具合がよくない。こんな歳になれば病で死ぬことなど珍しいことではないだろう?」
死に向き合って翁はほほ笑む。
「最後にかような達者と立ちあえて冥利に尽きる」
されば、気張れるがよい、と彼は拘束された腕が解かれるとこちらの肩を叩き、四千に泳ぎ寄って着物その他を受け取り、史郎たちが来た方が方角へと去って行った。
それを見送る史郎に、四千が距離を詰めてきて荷物を差し出す。史郎は荷を受け取り、布で顎に結んだ。
「あと、ひとりだな」
「そのひとりが最大の敵、だがな」
感慨を抱く四千に、史郎は苦笑を返す。
「されば、参るか」「行(ゆ)こう」
史郎と四千は声を交わし、ふたたび水をかいた。
伺見の里に預けられた史郎は、
「ちょっと、来い」
と気軽な言葉を告げられ、無数の天幕の中央のちょっと開けた場所に連れていかれた。移動集落の周囲にはアカガシの木々が広がっている。
そこにはおだやかなまなざしの翁がたたずんでいた。
ただし、手には鞘に収まった太刀をさげていた。
なにか尋常ではないことが起こる、と察して史郎は顔を強張らせる。
あまり他人と話すが好きな性分ではないため老爺と言葉を交わしたことはなかったがそれでも顔見知りではあった。
「今日の鍛錬は、この翁を斬ることだ」
四千の父が淡々と告げた。
史郎は目を見開いて彼お見やる。
「なんだ。お前の父はお前を刺客として飼うつもりだ。なれば、いずれは人を斬ることになるのだ、そのための修練を行うだけのことだ」
「されど」
史郎は言い淀む。
老爺を斬るなどの、“斬る”という言葉が喉に強く引っかかった。
「斬らねば、おまえが斬られるぞ」
師は、物を投げれば下に落ちる、といった当然の理を解くように告げる。
「童や。わしは病を得た。もはや、助からぬ身だ。ために、後塵に斬られることでその糧となるのだ、それが里の掟なのだ」
翁はおだやかに孫に語りかけるように言った。そのまなざしは、とても自分を斬る者を見る者のそれではなく、ただひたすらに優しい。
慮外な、と思ったがやはり史郎の声は詰まった。
「わしを斬った分だけ、斬った者が修羅場で生きる見込みが増える、それはすばらしいことではないか。ん?」
斬られる身で、翁は笑顔で理を解いた。
「言い換えれば、わしはお前さんのために死ぬのだ。ただ、死ぬのではない。人のために死ねるのだ。これをよろこばずして何をよろこぶのだ?」
「嫌だ」
やっと、この段になって史郎は声を発することができる。
が、最初から史郎の意思の介在する余地はない。
「されば、死ぬことだ」
師が脇にさがった。
同時に、翁が太刀を抜く。
「抜け、童」
彼はやさしくうながした。
その声に引っ張られるように、史郎は知らず抜刀している。
翁がゆるりと天を見上げた。
「死ぬにはいい日和だわい」
目を細めてよろこぶ彼を、史郎は凍える境地で見つめた。
さて、と翁がこちらに視線をもどし正眼に剣を構える。のちの世の流派にいう、“刀中蔵”が見事になされた構えだ、真剣にはばまれて史郎の剣は届きそうにないように感じられた。
なら、取るべきば捨て身の太刀か。戦術は浮かぶものの、それを実行する気力がわかない。剣尖のさがった太刀を構えるのだ。
そんな彼に翁が徐々に近づいてくる。
剣光一閃、刃圏内にはいったとたん、翁が正面から斬りつけてきた。
とっさに、それを支え落とせたのはふだんの鍛錬の賜物だろう、相手の剣尖は素通りするように動き地面に垂れた。
刹那、翁が斬り上げる。
史郎も気づけば動いている。鎬で攻め合い、相手の剣を封じた。
「まっこと、恐ろしき童よ」
翁が歯を見せて笑う。笑いながら、こちらに距離を詰め、鍔ぜり合いに持っていった。
そして、手元を捻り下げてこちらの顔を裂きにくる。
転瞬、史郎の鍔が相手の顔面へと打ち込まれていた。ほんとうに“込まれていた”という心境だ。
が、相手はひるまない。こちらの首を掻き切りにくる。
瞬間、裏鎬で応じた。その動きで剣尖が翁のみぞおちのあたりに落ちた。
だが、史郎は突けない。次の瞬間、信じられないことが起こった。
翁がみずから史郎の太刀の剣尖を体に埋めたのだ。
目を見開く史郎に、
「まあ、最初はこんなものだろうて」
と優しく笑って告げた。
「介錯つかまつる」
師が気づけば側にいる。迷いなく太刀を抜くや、翁の首を切断した。
首、になっても彼は優しく笑っていた。
「半端をすれば、余計に相手を苦しめるぞ」
師は咎めるふうではなく、理を解く口調で告げる。
考えてみれば、翁を斬るのはあのとき以来か、と史郎は思った。
ひとっ走りで海辺へとつく。着物と得物をまとめて頭にのせて布で結んで海に入って行った。四千も同じ装(なり)になって入水する。
腕を前に伸ばした平泳ぎ、そんな姿勢で史郎は海を進んだ。
目的の島まで遮るものはない。だが、まず波が邪魔をする。煽り、沈ませ、と泳ぐ者の体力を削る。比較的穏やかな日和でよかった。
それと、潮流が障害となる。一度引きずりこまれたら、思わぬ場所に運ばれることになる、悪くすれば死ぬ。ただ、例の漁師から潮流の仔細は聞いていたから、巻き込まれずにまっすぐに進めている。
時間が経った。四里の距離を泳ぐことになっているが、そろそろ六分、七分ほどは進んだはずだ。陽が沈んでいく。出発した浜より、目当ての島の影のほうが今は近い。
やがて、影が見えた。
波間に人の頭が突き出ていた。
六間ほどの距離に近づいたところで相手が泳ぐのを止めて振り返る。
相手、翁は呵々大笑する。
「またあったな、お若いの」
「翁こそ、ようもここまで」
余裕の態で立ち泳ぎをする翁に、史郎は呆れ返った。
「どうだ、生い先短い身のわしに先を譲らんか?」
米と野菜を交換しよう、と交渉するような気軽な口調で翁はたずねる。
「命が短いかもしれないのは、こちらも変わりのない身だ」
それは残念、と翁はちっとも気落ちしていないようすで笑った。
「四千、これを頼む」
顎に結んでいた布を解き、荷物を四千のほうに投げる。
四千は突き出した両手で難なく受け取った。
「わしのも頼むぞ」
翁が突然に自分の頭の荷を四千に放る。
「んな」
四千が目を白黒させながらそれを片手で受け取った。
「翁」図々しい翁に史郎は大きく口を開ける。
まあ、いいか、と史郎は思い直した。
そして、改めて翁を観察する。一見すると無手に見えた。
が、水面に片手が沈んでいるのが気になる。先ほど、荷を投げるときもそういえば水中に沈めたままだった。
短刀、と見た。史郎もあらかじめ荷から取り出しておいた短刀を鞘から抜く。体をかしがせて泳ぐ。短刀は錆びても仕方なしと水面に沈めた。
距離が、つかみ合いの間(ま)まで縮んだ。
閃、翁の短刀が水面を割って袈裟斬りに迫る。
半ば、姿の消えていた得物のせいで間合いの読みが狂った。
なんとか、腕を間に合わせた。相手の肘関節の手前あたりを打った。
もう一方の腕が斬り上げられ、ふりおろされる。
短刀で受ける。
寸前で攻撃が止まった。いや、そこから肘がこちらの手首に伸びる。短刀を取り落としそうになった。
瞬間、史郎の足が相手の足を絡めている。力を入れて極めた。
その前に、空いた足で翁がこちらの股間を蹴り上げる。水中のことで威力はない、が思わず力をゆるめる程度の隙は作られた。
拘束を逃れた翁が側面にまわる。喉首を掻きにくる。
旋回、史郎は足を動かし水をかいた。
今度はこちらが相手の喉を裂ける場所に陣取った。
が、それが目的ではない。
史郎は短刀を掲げた。とたん、むう、と翁が唸り声をもらす。
陽光の反射で目で目を射たのだ。手首を取り、腕を極めて相手の短刀を取り落とさせた。そして、短刀を首に当てた。
「まだやるか、翁」「甘いな、若いの」
史郎の問いかけに、翁が真剣になっていた顔つきを崩して笑顔を見せた。
「悲壮、憤怒、諦念、そんな顔ばかりをわしの相手は見せてきた」
翁は忍び笑いのようなものを漏らす。
なれど、と彼は言葉をかさねた。
「そんな静謐な顔でわしを見た者はそなたさんが初めてだ」
翁はうれしそうだ。
「冥途の土産にちょうどいい」
「俺は殺さない」
翁の言葉に、即座に史郎は断りを入れる。
「されど、天がわしを殺す」
翁はゆっくりとかぶりをふった。
天、と史郎が眉をひそめる。
「病だ、若いの。ある日、血を吐いてな。爾来、具合がよくない。こんな歳になれば病で死ぬことなど珍しいことではないだろう?」
死に向き合って翁はほほ笑む。
「最後にかような達者と立ちあえて冥利に尽きる」
されば、気張れるがよい、と彼は拘束された腕が解かれるとこちらの肩を叩き、四千に泳ぎ寄って着物その他を受け取り、史郎たちが来た方が方角へと去って行った。
それを見送る史郎に、四千が距離を詰めてきて荷物を差し出す。史郎は荷を受け取り、布で顎に結んだ。
「あと、ひとりだな」
「そのひとりが最大の敵、だがな」
感慨を抱く四千に、史郎は苦笑を返す。
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城闕崇華研究所所長
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