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「なんだお前、市井におったといのに業前を錆びつかせておらぬな」
小平次の腕を庄右衛門は称賛した。
城下の香取神道流の道場において拮抗する業前を持つとされるのが両者だったのだ。年齢が違い、また庄右衛門が欠け落ちしたこともあって腕前を実際に競い合うことはなかったが、道場始まって以来の秀才が庄右衛門と小平次、さらには既に鬼籍に入っているが小平次の兄というのがもっぱらの評判だった。
後ろにさがる小平次に対しは庄右衛門は紫電の突き、体を開きながら首へ斬りつける小平次。
が、庄右衛門は屈み込んで紙一重で剣を避けた。
「手の内を知り合った斬り合いというのも楽しいものだな、おい」
だが、やはり小平次は答えない。
「ふん、つまらん奴だ」
やや不満げな目をしながらも、庄右衛門は笑っていた。
七
「おい、ひとり逃げたぞ、追え」
馬二がその場からはなれたのを見て、“勘違い”した浪人のうちふたりが背中を追いかけた。
が、すぐに思い違いを訂正されることとなる。闇から飛来した矢が片方の腹に突き立ったのだ。
追跡に当たったもう片方が立ちすくむ。
小平次の腕を庄右衛門は称賛した。
城下の香取神道流の道場において拮抗する業前を持つとされるのが両者だったのだ。年齢が違い、また庄右衛門が欠け落ちしたこともあって腕前を実際に競い合うことはなかったが、道場始まって以来の秀才が庄右衛門と小平次、さらには既に鬼籍に入っているが小平次の兄というのがもっぱらの評判だった。
後ろにさがる小平次に対しは庄右衛門は紫電の突き、体を開きながら首へ斬りつける小平次。
が、庄右衛門は屈み込んで紙一重で剣を避けた。
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