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その光景を目の当たりにしながら、吟は正面から襲いくる浪人の一閃に対応した。小太刀でもって下段から斬りあげる。手もとにのしかかるような重さが加わった。転瞬、それを受け流しながら小手を裂く。
力の向きを狂わされ無防備となった相手は顔を歪め顔を歪めた。
「この女子(おなご)、莫迦力だぞ」「嬉しいことをいってくれるじゃないか」
独語しながら、次に斬りかかってきた浪人の一撃を受ける。
先の流れを警戒してすぐさま八相へと持って行こうとする動きにつけ込み喉をつらぬいた。
他方、太蔵の毒焙烙火が炸裂する。
剣士の本能か、敵がとっさに飛来した物体を剣尖出払ったのが災いした。中身がこぼれて、浪人の顔にかかったのだ。面が燃え上がる感覚に、凄絶な悲鳴がほとばしる。
それを見て呆然となる仲間たちに、太蔵は立てつづけに毒焙烙火を投げた。
あわてた様子で、それでもさすがに腕に覚えはあり鮮やかに炎を浪人たちは避ける。が、いざ反撃だと剣を構えた彼らが突如として苦しみ始めた。無防備に毒焙烙火の煙を吸った結果だ。
これで三人の敵がもがき苦しむことになった。
一方、定二も錫杖でもって浪人ふたりを相手に対等に渡り合っている。が、劣性は否めない。
小平次は脇差も抜いて両刀遣いでの戦いに切り替えていた。しかし、庄右衛門も同じく二刀でもって応戦している。
力の向きを狂わされ無防備となった相手は顔を歪め顔を歪めた。
「この女子(おなご)、莫迦力だぞ」「嬉しいことをいってくれるじゃないか」
独語しながら、次に斬りかかってきた浪人の一撃を受ける。
先の流れを警戒してすぐさま八相へと持って行こうとする動きにつけ込み喉をつらぬいた。
他方、太蔵の毒焙烙火が炸裂する。
剣士の本能か、敵がとっさに飛来した物体を剣尖出払ったのが災いした。中身がこぼれて、浪人の顔にかかったのだ。面が燃え上がる感覚に、凄絶な悲鳴がほとばしる。
それを見て呆然となる仲間たちに、太蔵は立てつづけに毒焙烙火を投げた。
あわてた様子で、それでもさすがに腕に覚えはあり鮮やかに炎を浪人たちは避ける。が、いざ反撃だと剣を構えた彼らが突如として苦しみ始めた。無防備に毒焙烙火の煙を吸った結果だ。
これで三人の敵がもがき苦しむことになった。
一方、定二も錫杖でもって浪人ふたりを相手に対等に渡り合っている。が、劣性は否めない。
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