2 / 131
2
しおりを挟む
「相変わらずの耳をしていますね、あなたは」
それに、司祭(パードレ)アルメイダは快活な声で応じた。もとは商人というだけあって妙に人なつっこさを感じさせる声音だ。
「それほどでも。それはそうと、小さな同行者のお名前をお聞かせください」
「本当に耳ざとい」
アルメイダが小さい笑う。そして、かたわらの手をやるのがなんとかくわかった。
「自己紹介なさい」
「次郎丸ともうします」
目の前を見ているようでどこか遠い目をした不思議なまなざしの少年が名を名乗った。
ふふふ、とそんな彼を可愛らしく思いロレンソは笑った。
だが、突如としてそれは途切れることになる。原因は体に生じた異変にあった。
その正体は、
股間を――。
つかまれたのだ。あきらかに成人よりも小さな手がこちらの股間の一物を手でとらえていた。
「な、なにをするのです、次郎丸」
アルメイダが驚愕の声をあげる。
「この人が司祭様のことを簡単に言い当てたから実は目が見えてるんじゃないかと思って」
と彼に応じながら次郎丸が手をはなした。
「でも、股間をつかまれたってことは本当に見えないんだね」
「『本当に見えないんだね』ではありません、次郎丸」
拍子抜けしたような声を出す少年をアルメイダが叱りつける。
「ま、まあまあ」
ロレンソはおどろきから立ち直り、反射的にアルメイダをなだめにかかった。彼もそこまで本気で怒っているふうではないが、子どもが好奇心でしたことだから叱るまでもないと彼は思ったのだ。
それに、司祭(パードレ)アルメイダは快活な声で応じた。もとは商人というだけあって妙に人なつっこさを感じさせる声音だ。
「それほどでも。それはそうと、小さな同行者のお名前をお聞かせください」
「本当に耳ざとい」
アルメイダが小さい笑う。そして、かたわらの手をやるのがなんとかくわかった。
「自己紹介なさい」
「次郎丸ともうします」
目の前を見ているようでどこか遠い目をした不思議なまなざしの少年が名を名乗った。
ふふふ、とそんな彼を可愛らしく思いロレンソは笑った。
だが、突如としてそれは途切れることになる。原因は体に生じた異変にあった。
その正体は、
股間を――。
つかまれたのだ。あきらかに成人よりも小さな手がこちらの股間の一物を手でとらえていた。
「な、なにをするのです、次郎丸」
アルメイダが驚愕の声をあげる。
「この人が司祭様のことを簡単に言い当てたから実は目が見えてるんじゃないかと思って」
と彼に応じながら次郎丸が手をはなした。
「でも、股間をつかまれたってことは本当に見えないんだね」
「『本当に見えないんだね』ではありません、次郎丸」
拍子抜けしたような声を出す少年をアルメイダが叱りつける。
「ま、まあまあ」
ロレンソはおどろきから立ち直り、反射的にアルメイダをなだめにかかった。彼もそこまで本気で怒っているふうではないが、子どもが好奇心でしたことだから叱るまでもないと彼は思ったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる