神様の転生のお供に選ばれまして ~異世界転生したら溺愛されるなんて聞いてません~

ものぽりー

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閑話*オーディン視点

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 アイルを1日でも早く迎えに行くため、部屋の準備を急がせた。

 アイルが使用するものに一切妥協をするつもりはないので、デザインや色、素材が気に入らない場合はオーダーメイドで注文をする。するとどうしても完成まで日数がかかってしまう。脅して急がせてもよかったが、僕ではなくアイルに良からぬ感情の矛先が向いたり、巻き込んでしまうような事態になるのは避けたいので、露骨には指示できない。精々少々の圧力を視線に込めることしかできなかったが、蒼白な顔で「か、可及的速やかに作らせていただきますっ!」と平伏すので、手抜きだけはしないよう釘を刺すと、かつて見たことのある赤い牛のおもちゃ…赤べこだっけ?の様に首を上下にカクカクと振り続けていた。彼らは何に怯えているんだろうね?


 商人たちとの打ち合わせと皇子として必要最低限こなすべき雑事を行う以外の時間に、もう一つ準備しなくてはいけないものがある。

 アイルと約束した、モフモフだ。


 一応転生前に目星はつけてあったし通達もしておいたが、まだ直接会ったことはない。
 ソレはここから少し離れた深い森の中にいるので、そろそろ捕獲しに行ってもいいだろう。アイルに絶対に危害を加えることがないように、必要なら調教しないとね。



 朝食の席で「今日はあの子のためのペットを捕獲しに行ってくるので、半日ほど不在にします」と両親に告げると、何時ぞやの様に呆然としていた。うるさく言われないために、昨日の内に勉学も数日分まとめて終わらせて机の上に置いてあるし、参加するような公務もない。許可は不要だ。
 報告も終わったので、声をかけられても気にせず、ソーセージ等の肉類がのった皿だけ持って転移魔法を使った。







 鬱蒼とした森の中。遠くで何かの遠吠えや、草木の押し倒されるような音がする。

 人が住む場所や道は国ごと結界で守られているため普段人々が目にすることはないが、この世界にも魔物はいる。この森は特に強い魔物が多く、入るものは相当腕に自信のある者か、身の程知らずのバカだけだ。

 そんな森の中でも特に強い魔物の気配がする方角へ進む。
 途中襲い掛かってくるものは全て風魔法で薙ぎ払い、草や木の根が邪魔で歩きにくいので、自分の歩く先だけを調整した火魔法で燃やし、道を作る。
 捕獲対象はこちらに気付き警戒しているようだが、逃げずに同じ場所で留まっているようなので、やはりある程度賢いのだろう。

「…ああ、居たね」

 この、フェンリルという魔物は。




 白銀の毛並み。うん、間違いなく合格モフモフだね。日向ぼっこの時にはちょうどいい枕になりそう。埋もれて眠るアイルは、きっと天使のように可愛いだろうな。
 あと強いから、もし万が一僕の居ないところでアイルが襲撃されるようなことがあっても、オートモードで剣にも盾にもなる。不審者は端から全て噛み殺……10分の9殺しにするよう躾ければ、いい護衛になるだろう。
 よし、いいんじゃないかな、フェンリルで。

『……そなたは、神か』

 値踏みしていると、目の前のフェンリルが話しかけてきた。
 ああ、人語を理解して念話で話せるのもいいよね。アイルは人見知りだから、獣相手なら緊張せずリラックスできるだろう。

「そうだよフェンリル。以前依頼した件で来たんだ」
『………早すぎでは?』

 呆れたようなフェンリル。僕としてはもう十分待ったんだけど。

「もうこの世界に来て1年以上経ったんだ。すぐに迎えに行くと約束したのに、なかなか現れない僕に不安になってるかもしれない」
『…人の子の1歳では、まだ乳飲み子だろう?家族もいるのなら、不安どころか、そなたを忘れている可能性も「アイルは僕を待っているに決まってるだろ」………そ、そうか』

 この獣め。アイルはそんなに薄情な子じゃないよ。



 ……まさか再会した時に全く気付いてもらえず、存在すら認知されていなかった上に、躊躇なくおうちにかえると言われるなど、この時の僕は知りもしなかった。



 
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