神様の転生のお供に選ばれまして ~異世界転生したら溺愛されるなんて聞いてません~

ものぽりー

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閑話*オーディン視点

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「とにかく、約束通り、アイルのペットとして連れて行くよ」
『我らフェンリルをペット呼ばわりとは、神でなければ喰い殺しているところなのだが…』
「無理だよ。僕の方が強い」
『非常に不本意だが、わかっている』

 諦めたようなため息をつき、フェンリルは自らの腹の下から、まだ小さな物体を咥えて引っ張り出し、そっと地面に下ろす。


『くぅ?』
『この子が約束の、フェンリルの子どもだ』

 寝起きでよくわかっていないのか、子フェンリルは僕と母親の顔をきょろきょろと見比べている。うん、思った通り、子供の方がよりぬいぐるみ感があって、アイルのペットに相応しいね。母親はアフリカゾウくらいのサイズだが、子フェンリルはまだ狼サイズ。サイズもいい感じ。喜んでくれそうだ。
 

 子フェンリルの前に膝をつき、朝食の席から拝借したソーセージを与えてみる。
 ふんふんと匂いを嗅いだ後、伏せた状態からちらりとこちらを窺う。待てはできるようだ。「よし」と合図すると恐る恐る齧り付き、口に合ったのか、すごい勢いで食べだした。

「食べられるみたいだけど、普段は生肉とか与えた方がいい?アイルの前で生肉食べさせるのはちょっと抵抗あるから、火を通したもので大丈夫なら助かるんだけど」
『この子は離乳してからは生肉を食べていたが、口に合えば何でも構わず食べるだろう』


 食べ終えた子フェンリルは、上機嫌で立ち上がり、僕を見つめる。
 きっと、美味しいものをくれると理解したんだろう。尻尾が高速で振られている。…今後は餌をくれる人間相手なら誰にでも懐いたりしないように躾けなきゃね。


「あの子を迎えに行くまでは僕が世話をするけど、おまえの主になるのは僕じゃない。あの子が決めるまでは名前を呼べないけど、僕とあの子には絶対に逆らわないこと。いいね?」
『きゅぅ!』

 服従のつもりか、再び伏せをする。今のところ、ただの犬だね。



 その後、母親と鼻をくっつけ別れの挨拶を済ませた子フェンリルを連れ転移魔法で王宮の庭に戻ると、急に現れた僕と魔物…フェンリルに、王宮中が騒々しくなる。

 気にせず土魔法で大きめの犬小屋を作り、とりあえずここで待機を言いつけると、大人しくお座りをして暴れる様子はない。アイルが来るまでは、一先ず僕の部屋で飼おう。寝床などの準備をしないと。トイレは外でさせればいいか。


「オーディン!そ、それはまさか……」
「父上。あの子のペット兼護衛です」
「ペット⁉いやしかし、まだ小さいがフェンリルではないのか⁉」
「何か問題が?」
「問題しかないわ!」

 急いで駆けつけたらしい父上は、何やら喚いている。
 が、気にしない。父上の苦情より、アイルとの約束の方が当然優先されるのだ。この世界でこれ以上に条件の合うモフモフは居なかったのだから、何と言われようとペットはフェンリル一択だ。何の問題もない。

「オーディン、拾った場所に戻してきなさい!」
「母親と話をつけて譲渡してもらったので気にしなくていいですよ」
「話がつくのか⁉」


 今にも倒れそうな父を放置して部屋に戻る。すれ違う兵や侍女たちがこちらを顔を引きつらせて見ているが、別に彼らに世話をさせる気はないので関係ないだろう。
 気にせず自室に入り部屋の一角にフェンリル用のベッドを用意し、エサ皿と水入れを用意する。水の交換は面倒なので、常に水が一定量湧き、時間経過で蒸発するシステムを魔法で作った。

 準備ができたので窓を開け、バルコニーに出る。少し離れた庭に、フェンリルとそれを取囲む衛兵の輪が見える。
 短く口笛を吹くと、気付いたフェンリルが勢いよく立ち上がり、尻尾を振りながらこちらを見た。そして囲む衛兵たちの頭上を軽く飛び越え、そのまま走って勢いをつけバルコニーまで跳躍し、僕の目の前でまたお座りをする。なかなかの忠犬っぷりだ。これなら大丈夫だろう。
 兵たちの阿鼻叫喚と失神したらしい父上はそのままで、部屋に戻る。
 
 また一つ、アイルを迎えに行く準備が整った。 


 
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