神様の転生のお供に選ばれまして ~異世界転生したら溺愛されるなんて聞いてません~

ものぽりー

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閑話*オーディン視点

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 この世界にアイルを転生させたことで、アイルに『家族』という存在ができた。

 今のアイルを見ていればわかる。彼らは君を、とても愛しているんだね。
 アイルに『幸せ』という感情を、ずっと昔に失ってしまっただろう『笑顔』を、こんなにも早く取り戻させてくれた彼らには、僕もとても感謝しているんだよ。



 でも前世で『自分の望みは叶わないから諦める』という考えが染みついてしまっているアイルは、『家族と別れたくない』という当然で細やかな願いすら、自分の我儘だからと簡単に押し殺して諦めてしまう。
 こう言えばずっと一緒に居てくれるかなという僕の願望がこれでもかと詰まった『お供』という言葉を文字通りにそのまま受け取り、僕の希望を優先するのが当然のことだと思っている。


 きっとこの考え方を変えさせるのは簡単ではないだろう。
 前世で大小様々なことを諦め過ぎ、そうすることでしか自分の心を守れなかった代償なのだ。


 でも少しずつでいいから、自然と泣けるように、笑えるようになればいい。


 僕だけじゃない。
 君を大事な宝物として慈しむ存在が、この世界にはたくさん居るんだ。

 その愛情を受け、この魂が癒され、さらに輝きを増すことを願うばかりだ。



 その為に必要ならば、僕は何でもしよう。
 まずはアイルが家族と会える時間を作る。転移魔法を使えばウェヌス子爵家の領地と王都の行き来は問題ない。それはアイルにとっての癒しとなるし、絶対に必要なことだ。

 さらにいくつかの条件をつけ加えて、アイルとアイルの父親に交渉をする。
 これほど負けられない交渉は初めてだ。


 そしてアイルの大切な家族は、アイルを奪おうとする僕にまで、優しい気遣いをしてくれる。
 詰られても仕方ないというのに。まさか大人が子供を心配するのは当然とばかりに自然と僕の心配をしてくれるとは思わず、心底驚いた。



 天界で、僕は生まれた瞬間から天帝だった。子供として扱われたことなどなかった。

 転生して、竜の血を引く王族とはいえ、普通の子供とは到底言えない成長度合いと笑顔ひとつ見せない不気味な僕に対し、畏怖する者はいても、こんな風に純粋に気遣う者などいなかった。
 両親ですら、僕の異常な様子に未だ戸惑っているのはわかっている。


 だからウェヌス子爵の言葉は、少々気恥ずかしく感じる。
 どう返していいのかわからない。
 …何やら温かい目で戸惑う僕の様子を見守るアイルに気づいた時は、部屋を飛び出したくなった。

 アイルが離れたくないと、泣いて懇願した気持ちがわかったよ。
 家族というのは、こんなに温かいものなんだね。






 翌日、アイルと一緒に城門でウェヌス子爵を見送る。
 アイルは馬車が見えなくなってもしばらくじっと道の先を見つめたまま動かず、僕の我儘でアイルに寂しい思いをさせていることに、今更胸が痛んだ。

 自己満足でしかない罪悪感を感じている僕に、アイルはふわりと笑いかけてくれる。
 そしてこれからに対する不安など一切見せず、ただ楽しみな事だけを口に乗せて僕の手を引いてくれる。


 …そうだね。
 これからは、ずっと一番そばに居られるんだ。
 どんなことも、きっと楽しいよね。



 他の誰かには絶対に譲らない。必ず僕が守るよ。何度でも約束する。




 まずは昨日の朝からずっとアイルの部屋に閉じ込めたままになっているフェンリルに合わせよう。きっと喜んでくれるよね。

 そうしたら、また笑ってくれるかな……





*やっと終わった……
 
 
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