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閑話*レオン視点
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王宮で開かれた、皇子殿下主催のお茶会。
殿下と同年代の子供たちとの交流を謳い、2歳から15歳までの貴族の子供を集めたその会は、実際には、殿下の側近や婚約者候補を見つける目的の会だろうと暗黙の了解で認識されていた。
5歳だった俺も招待されており、3歳年上の兄はあいにく体調を崩し療養のため領地にいたため、一人での参加だ。
父にはあまり気負わなくていいと言われていたものの、まず一人で社交の場に参加した経験がなく、さらに殿下とお会いするのは初めてで、非常に緊張していたことを覚えている。
天気に恵まれ、王宮の庭師により様々な花が見事に咲き誇る王宮の庭園の一角。
殿下に取り入るよう言われてきたのだろう、前哨戦とばかりに延々と自慢話を披露する少年たちもいれば、殿下の婚約者の座を目当てに夜会か?というほど飾り立て強い香水の香りを振りまくご令嬢たちが集まった光景は、目にも耳にも鼻にも痛い。
大人しい子供たちは開始前からすでに気圧され、隅の方で身を小さくしている様子。
俺もその子たちも、とにかく早く終わってくれることだけを願っていた。
そして開始時間となり。
会場に姿を見せた殿下は、まさに天使のようだった。
神聖な空気、非常に整った容姿。全てを見透かされそうな深い碧の瞳、日に溶けるような金糸の髪。
とにかく存在感が圧倒的で、会場は茫然と殿下に見惚れる者ばかりで静まり返っていた。
殿下はそんな参加者の顔をぐるっと見回し、首を傾げられた。
その瞬間、音なく黄色い悲鳴が上がったのは気のせいではないだろう。
そして殿下は、一言も発することなく、今入ってきたばかりの会場を後にした。
取り残された参加者は、白昼夢でも見たような心境で呆気にとられていた。
殿下が退席され、1時間ほど経っただろうか。
戻ってくる様子のない殿下に、令嬢たちのざわつきがどんどん大きくなってきている。
おそらく実際に殿下を目にして、殿下の婚約者になりたいという願望がより強くなったのだろう。
殿下はいつお戻りになるのかと、狂気すら感じる勢いで、少し離れて控える侍女たちに声を上げていた。
その時、
「アイル、こっちだよ」
「あい」
小さな少女の手を引いた殿下が、再度会場に戻られた。
まだ足元が覚束ないのか、転ばぬよう下を見たまま必死に歩く少女を見守る殿下は、とてもお優しい表情をしている。
ああ、この少女が大事なんだなと思った。
そんな微笑ましい様子を、黙って見ていられなかったのが会場で殿下のお戻りを待っていた令嬢たちだ。
殿下の姿を見た途端、鬼気迫る勢いで殿下に群がっていく。
…偶然にも程近くにいた俺は、その殺気立った様子に驚き怯え、恥ずかしながら泣いてしまった。
「だいじょーぶ?」
可愛らしい声が聞こえ、目の前に自分よりもずいぶんと小さな手が差し出されたのはその時。
見上げると、殿下が手を引いていた、あの少女がいた。
少女の名前は『アイル』。
泣いていたことを指摘するでもなく、自然と楽しい方へ気を逸らしてくれた優しい子。
いくらこの国の貴族が竜の血を引き普通の人間よりも特に精神面での成長が早いとはいえ、あまり表情が変わらなく妙に悟ったような、まるで大人を相手にしているような印象を受けるかと思えば、人付き合いに慣れていないのか、少し首をかしげながら上目遣いで反応をそっと窺がってくる様子は歳のまま幼く、まるでリスのような、子猫か子犬のような、そんな女の子。
目立つ美少女というわけじゃないけど、笑うとふわりと優しくなる表情がとても可愛い。
そっと見守りたくなるような子だった。
口元を少し嬉しそうに笑ませながら、残さずきれいに、とても美味しそうにお菓子を食べていく様子は、あまり令嬢っぽくない。が、とても微笑ましい。
料理人や農民に感謝し、誰かと、…俺と食べるお菓子が、とてもおいしいと笑う。
この子がずっとそばにいてくれたら、きっととても幸せだろうな。
が、そう思った俺に気づいたのか。
俺を威嚇するように冷たい空気を纏わせた殿下が、突然彼女の後ろに現れた。
殿下は先程アイルに向けていた慈愛の表情が嘘のような……闇を背負い心から凍え砕けそうなほど冷たい笑顔でこちらを見る。
しかしアイルに対しては優しく笑いかける。
『僕のアイル』、と独占欲を隠すことなく。
アイルと、アイルに『はじめての友達』と言われた俺以外の周囲など全く意に介さない。
アイルを抱きしめながらこちらに向けられた視線に込められた殺気を感じ取ってしまった俺は……冗談抜きに、本当に殺されると思った……。
*レオン視点はまだ上げる予定ではなかった話なのですが、体調が戻らず新しく書く元気がない為、泣く泣く唯一のストックを出す羽目になりました…泣
後日、順番を入れ替えたりするかもしれません。
殿下と同年代の子供たちとの交流を謳い、2歳から15歳までの貴族の子供を集めたその会は、実際には、殿下の側近や婚約者候補を見つける目的の会だろうと暗黙の了解で認識されていた。
5歳だった俺も招待されており、3歳年上の兄はあいにく体調を崩し療養のため領地にいたため、一人での参加だ。
父にはあまり気負わなくていいと言われていたものの、まず一人で社交の場に参加した経験がなく、さらに殿下とお会いするのは初めてで、非常に緊張していたことを覚えている。
天気に恵まれ、王宮の庭師により様々な花が見事に咲き誇る王宮の庭園の一角。
殿下に取り入るよう言われてきたのだろう、前哨戦とばかりに延々と自慢話を披露する少年たちもいれば、殿下の婚約者の座を目当てに夜会か?というほど飾り立て強い香水の香りを振りまくご令嬢たちが集まった光景は、目にも耳にも鼻にも痛い。
大人しい子供たちは開始前からすでに気圧され、隅の方で身を小さくしている様子。
俺もその子たちも、とにかく早く終わってくれることだけを願っていた。
そして開始時間となり。
会場に姿を見せた殿下は、まさに天使のようだった。
神聖な空気、非常に整った容姿。全てを見透かされそうな深い碧の瞳、日に溶けるような金糸の髪。
とにかく存在感が圧倒的で、会場は茫然と殿下に見惚れる者ばかりで静まり返っていた。
殿下はそんな参加者の顔をぐるっと見回し、首を傾げられた。
その瞬間、音なく黄色い悲鳴が上がったのは気のせいではないだろう。
そして殿下は、一言も発することなく、今入ってきたばかりの会場を後にした。
取り残された参加者は、白昼夢でも見たような心境で呆気にとられていた。
殿下が退席され、1時間ほど経っただろうか。
戻ってくる様子のない殿下に、令嬢たちのざわつきがどんどん大きくなってきている。
おそらく実際に殿下を目にして、殿下の婚約者になりたいという願望がより強くなったのだろう。
殿下はいつお戻りになるのかと、狂気すら感じる勢いで、少し離れて控える侍女たちに声を上げていた。
その時、
「アイル、こっちだよ」
「あい」
小さな少女の手を引いた殿下が、再度会場に戻られた。
まだ足元が覚束ないのか、転ばぬよう下を見たまま必死に歩く少女を見守る殿下は、とてもお優しい表情をしている。
ああ、この少女が大事なんだなと思った。
そんな微笑ましい様子を、黙って見ていられなかったのが会場で殿下のお戻りを待っていた令嬢たちだ。
殿下の姿を見た途端、鬼気迫る勢いで殿下に群がっていく。
…偶然にも程近くにいた俺は、その殺気立った様子に驚き怯え、恥ずかしながら泣いてしまった。
「だいじょーぶ?」
可愛らしい声が聞こえ、目の前に自分よりもずいぶんと小さな手が差し出されたのはその時。
見上げると、殿下が手を引いていた、あの少女がいた。
少女の名前は『アイル』。
泣いていたことを指摘するでもなく、自然と楽しい方へ気を逸らしてくれた優しい子。
いくらこの国の貴族が竜の血を引き普通の人間よりも特に精神面での成長が早いとはいえ、あまり表情が変わらなく妙に悟ったような、まるで大人を相手にしているような印象を受けるかと思えば、人付き合いに慣れていないのか、少し首をかしげながら上目遣いで反応をそっと窺がってくる様子は歳のまま幼く、まるでリスのような、子猫か子犬のような、そんな女の子。
目立つ美少女というわけじゃないけど、笑うとふわりと優しくなる表情がとても可愛い。
そっと見守りたくなるような子だった。
口元を少し嬉しそうに笑ませながら、残さずきれいに、とても美味しそうにお菓子を食べていく様子は、あまり令嬢っぽくない。が、とても微笑ましい。
料理人や農民に感謝し、誰かと、…俺と食べるお菓子が、とてもおいしいと笑う。
この子がずっとそばにいてくれたら、きっととても幸せだろうな。
が、そう思った俺に気づいたのか。
俺を威嚇するように冷たい空気を纏わせた殿下が、突然彼女の後ろに現れた。
殿下は先程アイルに向けていた慈愛の表情が嘘のような……闇を背負い心から凍え砕けそうなほど冷たい笑顔でこちらを見る。
しかしアイルに対しては優しく笑いかける。
『僕のアイル』、と独占欲を隠すことなく。
アイルと、アイルに『はじめての友達』と言われた俺以外の周囲など全く意に介さない。
アイルを抱きしめながらこちらに向けられた視線に込められた殺気を感じ取ってしまった俺は……冗談抜きに、本当に殺されると思った……。
*レオン視点はまだ上げる予定ではなかった話なのですが、体調が戻らず新しく書く元気がない為、泣く泣く唯一のストックを出す羽目になりました…泣
後日、順番を入れ替えたりするかもしれません。
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