怖がり伯爵令嬢は逃げも隠れもしますので構わないでください!

大鳳葵生

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59話 そういう恥ずかしいセリフは照れるから禁止なんだけどなぁ!!!!!

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 リンナンコスキ家の夜会から数日がたち、軟禁されていたルビー様方は、退学処分と平民落ちが決定しました。

 本日はその通告をしに、理事長であるエミリア様が王宮に向かわれるそうです。

 直接会いますかと、エミリア様に聞かれましたが、私は睨まれたり、怒鳴られたりするのが嫌でしたので遠慮しました

 ルビー様方はこの後、どのような扱いを受けるのかわかりませんし、もしかしたら城下町でばったり会うことになるかもしれません。

 フリン侯爵も爵位を剥奪され、国外追放まで話題に上がりましたが、人身売買組織との繋がりが浮上しなかったことと、目的が脅しであったことから、三年の禁固刑となりました。

 また、フリン侯爵とルビー様方は、故郷となる領地への帰省を一生禁止されることになりました。

 ちなみにフリン侯爵家は、フリン侯爵の妹夫婦が引き継ぐことになったそうです。

 ギルはそれでも軽すぎると怒っていましたが、私はそれで十分すぎるとなんとか言いなだめました。

 そして主犯であり、もっとも重罪になると想定されているボイド辺境伯は、現在フリーデリケさんとルシアさんの二人が中心となり、全力で捜索が行われているそうです。

 そして私たちは、ギルの家でダンスの練習をしています。

 それも教えてくださるのはギルのお母さん。バルツァー家に嫁げるほどに素晴らしい令嬢になりたいとお願いした途端、鬼のような特訓が始まりました。

 午前中は礼儀作法を、午後は社交界で必要なスキルを細かく教えてくださっています。ギルのお父さんに認めて貰えるように、夫を立てる良き妻になれそうと思わせるようにしろと細かく教え込まれています。

「はぁはぁ」

 私が肩で息をしているところで、小休憩に入ることになりました。ギルのお母さんは席を外し、室内には私とギルの二人きりになります。

「すまないな。少なくとも貴族社会で女性の立場は未だに低い。父もそう言った古い習わしを大事にする人でな。きっとそういうところで俺の婚約者を評価すると思う。だからしばらくは我慢してくれ」

「平気ですよ。だって私は、ギルからさえ卑下にされなければ世襲がどうであれ幸せですから」

 私がそういうと、ギルはぎゅっと私を抱きしめる。事あるごとに私を抱きしめるのは何故だろうか。

 抱きしめられた私は、思いっきり彼の胸板に顔を押し付ける。

 ギルに抱きしめられると、どんな嫌なことも忘れられる。今、疲れていたことでさえ、遠い記憶のようです。

「ギルは私のこと抱きしめてばかりですね」

「ああ、それはだな。おっ、お前が抱きしめられると嬉しそうにしてくれるから。手を繋ぐでも名前を呼ぶでも、嬉しそうだったが、抱きしめられた時のお前が一番幸せそうだ」

 へ? は? はい? はい?? この人は今何か恥ずかしいことを言いませんでしたか?

 なんでそういうことを言うんですかね。そんなこと言われたら、抱きしめられた時に甘えにくいじゃないですか。

 ですが、未だに彼の腕の中。赤く熱を帯びた顔を隠すことはできても、耳まで隠すことはできていません。

「あんまり変な事言うと、次から抱き着きませんよ!」

「心配するな。お前から来なくても大丈夫だ。俺が抱きしめる」

「あーもー! そういう恥ずかしいのはなしですよ。抱きしめるなら黙ってやりなさい!」

「難しいな。俺とお喋りするのが好きな甘えん坊が腕の中にいるんだ」

 私は言われたことが、何一つ間違っていなかったことにムッとしてじたばたと抜け出そうとしましたが、彼が離してくれません。

 仕方なく、小休憩の時間全てを、ギルに抱きしめられることに使い切りました。
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