70 / 80
60話 伯爵令嬢の悩み相談に集まる方々がどう考えてもおかしいんだけどなぁ
しおりを挟む
あれからしばらくは平穏が続きました。フリン侯爵家や他の家から報復がくるのではと恐れていましたが、今のところそのようなことはなく、ごく普通に生活しています。
「それで貴女、今朝から何を悩んでいるのよ」
学校の昼休み、私はミシェーラ様と二人で食事をしています。どうやら私は考えていることがすぐに顔に出てしまうそうです。
「もうすぐ、ギルの誕生日なんです」
最近はミシェーラ様や親しい人の前では愛称で呼べるくらいには慣れてきましたが、やはり口にするのは恥ずかしいです。
「そんなこと? 貴女、プレゼント選びで困っているのね?」
「恥ずかしながら」
以前、ルアさん捜しのついでにギルとデートした時も、結局何も買えずに、そのまあプレゼントはできましたが、ちゃんと形に残る者をあげたいと思い、今朝というよりは昨晩からずっと悩んでいました。
「せっかく人脈も広がったのですし、いろんな人に聞いてみましょう? 今週末、時間空けときなさい」
「は、はい」
ギルもミシェーラ様も随分強引な方ですよね。公爵家ってそういう教育なんでしょうか。あ、いえその悪く言うつもりではなくて…………なんでもありません。
そして週末。我が家にはミシェーラ様にルアさん。エミリア様とベッケンシュタイン公爵夫人が訪れました。
なんですかこの面々。公妃様に公爵夫人が二名。公爵令嬢が一名。伯爵令嬢のお悩み相談に集まる方々ではありませんよ。
幼い頃からギルを知っている人たちを集めて貰ったところ、集まったのがこの方々でした。
ちなみに候補にはギルの男友達も数名上がりましたが、私が全く知らない人はダメと言いましたので、女性しかいません。
今思えば、私ってギル以外の男性とほとんどしゃべらない。我が家の執事やお父様は別。
そして皆様自由に発言しているため、完全にカオスです。
「ギルベルト様は無駄なものは貰わない主義ですので、日常的に使えるものにすべきです」
「ミシェーラ、言いにくいのだけど、それは貴女だから受け取ってもらえなかったのよ」
「僕が思うにミシェーラからでも受け取ったものなら、マリーちゃんからなら大喜びして貰ってくれるんじゃないかな?」
「お義姉様!?」
「私は好きな人から頂いたものなら何でも嬉しいですよ公妃様」
「エミリア? なんで私を見て言うのよ」
ぽかーんと口を開けている間にも、議論はポンポン進みますが、具体的に何が良いかとかそういう話にはなりませんでした。
私がついて行けていないことに、ルアさんだけが気付いてくれていますが、ルアさんもルアさんでどうしてこうなったのみたいな雰囲気で頭を抱えています。
「あの? 皆さんその落ち着いてください」
私もなんとか声を出しましたが、ルアさん以外誰も気付いてくれません。仕方なくルアさんが手を二回ほど叩くと、全員が黙り、ルアさんを注目しました。
「貴女たち、マリーちゃんがついて行けなくて困っているじゃない。暇つぶしに来たんじゃないのよ」
その後もみんなが思いつくギルの好きなものがどんどん上がりました。議論の最中に上がる幼い頃のギルのエピソードの方が気になって仕方なかったですが、今は我慢です。
「結局あいつはまじめだしマリーちゃん大好きだから何をあげても喜ぶと思うけど…………せっかくだからそんな妥協じゃ許さないわ」
最終的にルアさんが一番暴走しました。何がせっかくなのか分かりませんが、少しでも妥協案と判断された案はすべて却下されました。
この議論、いつまで続くのですか。凄い方々ばかりで何一つ口出しできません。
「それで貴女、今朝から何を悩んでいるのよ」
学校の昼休み、私はミシェーラ様と二人で食事をしています。どうやら私は考えていることがすぐに顔に出てしまうそうです。
「もうすぐ、ギルの誕生日なんです」
最近はミシェーラ様や親しい人の前では愛称で呼べるくらいには慣れてきましたが、やはり口にするのは恥ずかしいです。
「そんなこと? 貴女、プレゼント選びで困っているのね?」
「恥ずかしながら」
以前、ルアさん捜しのついでにギルとデートした時も、結局何も買えずに、そのまあプレゼントはできましたが、ちゃんと形に残る者をあげたいと思い、今朝というよりは昨晩からずっと悩んでいました。
「せっかく人脈も広がったのですし、いろんな人に聞いてみましょう? 今週末、時間空けときなさい」
「は、はい」
ギルもミシェーラ様も随分強引な方ですよね。公爵家ってそういう教育なんでしょうか。あ、いえその悪く言うつもりではなくて…………なんでもありません。
そして週末。我が家にはミシェーラ様にルアさん。エミリア様とベッケンシュタイン公爵夫人が訪れました。
なんですかこの面々。公妃様に公爵夫人が二名。公爵令嬢が一名。伯爵令嬢のお悩み相談に集まる方々ではありませんよ。
幼い頃からギルを知っている人たちを集めて貰ったところ、集まったのがこの方々でした。
ちなみに候補にはギルの男友達も数名上がりましたが、私が全く知らない人はダメと言いましたので、女性しかいません。
今思えば、私ってギル以外の男性とほとんどしゃべらない。我が家の執事やお父様は別。
そして皆様自由に発言しているため、完全にカオスです。
「ギルベルト様は無駄なものは貰わない主義ですので、日常的に使えるものにすべきです」
「ミシェーラ、言いにくいのだけど、それは貴女だから受け取ってもらえなかったのよ」
「僕が思うにミシェーラからでも受け取ったものなら、マリーちゃんからなら大喜びして貰ってくれるんじゃないかな?」
「お義姉様!?」
「私は好きな人から頂いたものなら何でも嬉しいですよ公妃様」
「エミリア? なんで私を見て言うのよ」
ぽかーんと口を開けている間にも、議論はポンポン進みますが、具体的に何が良いかとかそういう話にはなりませんでした。
私がついて行けていないことに、ルアさんだけが気付いてくれていますが、ルアさんもルアさんでどうしてこうなったのみたいな雰囲気で頭を抱えています。
「あの? 皆さんその落ち着いてください」
私もなんとか声を出しましたが、ルアさん以外誰も気付いてくれません。仕方なくルアさんが手を二回ほど叩くと、全員が黙り、ルアさんを注目しました。
「貴女たち、マリーちゃんがついて行けなくて困っているじゃない。暇つぶしに来たんじゃないのよ」
その後もみんなが思いつくギルの好きなものがどんどん上がりました。議論の最中に上がる幼い頃のギルのエピソードの方が気になって仕方なかったですが、今は我慢です。
「結局あいつはまじめだしマリーちゃん大好きだから何をあげても喜ぶと思うけど…………せっかくだからそんな妥協じゃ許さないわ」
最終的にルアさんが一番暴走しました。何がせっかくなのか分かりませんが、少しでも妥協案と判断された案はすべて却下されました。
この議論、いつまで続くのですか。凄い方々ばかりで何一つ口出しできません。
0
あなたにおすすめの小説
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のフランソアは、王太子殿下でもあるジェーンの為、お妃候補に名乗りを上げ、5年もの間、親元を離れ王宮で生活してきた。同じくお妃候補の令嬢からは嫌味を言われ、厳しい王妃教育にも耐えてきた。他のお妃候補と楽しく過ごすジェーンを見て、胸を痛める事も日常茶飯事だ。
それでもフランソアは
“僕が愛しているのはフランソアただ1人だ。だからどうか今は耐えてくれ”
というジェーンの言葉を糧に、必死に日々を過ごしていた。婚約者が正式に決まれば、ジェーン様は私だけを愛してくれる!そう信じて。
そんな中、急遽一夫多妻制にするとの発表があったのだ。
聞けばジェーンの強い希望で実現されたらしい。自分だけを愛してくれていると信じていたフランソアは、その言葉に絶望し、お妃候補を辞退する事を決意。
父親に連れられ、5年ぶりに戻った懐かしい我が家。そこで待っていたのは、初恋の相手でもある侯爵令息のデイズだった。
聞けば1年ほど前に、フランソアの家の養子になったとの事。戸惑うフランソアに対し、デイズは…
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる