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24話 こんなにわがままに育ちました
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私はジェラールに抱きかかえられたまま、エリザベートのいる宮殿に向かいました。宮殿の入り口の前には、既に綺麗な黒いドレスを着た女性が私達を待っていたかのように立っていた。
エリザベートだ。エリザベートが私達の前にいる。おそらく長い廊下を歩いている際に、私を抱きかかえたジェラールが宮殿に向かってきていることが見えて、自ら来たのだろう。
「ちょうどいい。話がある」
ジェラールがエリザベートにそう声をかけると、エリザベートは踵を返して宮殿に戻り、ジェラールはその後ろについていった。これが夫婦の会話。寂しいと捉えるべきか、つうかあの仲だと思うべきか。圧倒的に前者であろう。
しばらくして一つの部屋の前にたどり着くと、二人はその部屋に入っていく。内装は豪華な誰かの私室。知識もない私からすれば華やかさしか伝わらない。多分、エリザベートの部屋なのだろう。
以前訪れた部屋は、何の部屋だったのかわからないけど、ここは間違いなく彼女の生活空間だ。
「好きにするといいわ」
そういったエリザベートはベッドに腰を掛ける。彼女は好きにすると良いと言いながら、その視線は近くのテーブルとイスに向かっていた。それを察したジェラールが私を抱きかかえたまま、イスに座ると、私はジェラールから降りて床に足をつけた。
「クリスティーン?」
ジェラールが私に声をかけてきたが、私はそれを無視してベッドに座っているエリザベートの方に向かって歩いていく。エリザベートも自分に近づいてくる私の様子を見ていたが、次の瞬間、彼女は私の行動に言葉を出すこともできなかった。
私はエリザベートのドレスのスカートを掴み、彼女の膝の上によじ登ったのだ。
「クリスティーン、何をしている」
さすがにジェラールが私を止めようと、立ち上がったが、エリザベートがそれを止めた。
「構いません。あとで私が躾けておきます」
「そうか。あまり厳しくしないでやってくれ。クリスティーンは聡い子だ。公の場ではこのようなことをしない」
ジェラールがそういい、エリザベートも分かりましたと返事をする。そして私は彼女の膝の上に乗ることが成功してそのまますり寄る。前世では中学を超えたあたりから親に甘えるなんて恥ずかしくてできなくなっていた。けど本当はたまにこういう風にしたかった。それは現世でも一緒だ。だって打算でやろうと思った訳ではなく、エリザベートの膝の上に乗った瞬間に、これをやろうと思ったのだから。
「それで話とは?」
エリザベートが私を無視してジェラールに話しかける。無視なのかそれとも好きなようにさせてくれているのかはわかりません。多分、無視です。
「どうやら俺たちの娘は甘えん坊に育ったみたいだ」
「見ればわかります。まさかそれだけじゃないでしょうね?」
「クリスティーンがなるべく家族で食事を取りたい。そうわがままを言ってね。俺に異論はなかった。君は?」
ジェラールがいきなり本題を言い、エリザベートは私を見つめる。私もエリザベートを見つめ返して、小さく頷いた。
「そんなこと? 貴女も随分とわがままに育ったものね。ちゃんと可愛がった記憶もないのに、私のどこが良いのかしら?」
さすがにエリザベートにも、私と接する時間がなかったことを自覚しているのだろう。ゆっくりと頭を撫でる手は、細く滑らかな肌をした指だった。
「だってお母様。私のこと大好きですよね?」
賭けである。本当にそう思われているかわからない。でも、彼女が私を大好きだと素直にならない理由ならいくらでも想像できる。彼女は王妃である立場に重きを置き、立派な王妃。理想の王妃を体現しようとしすぎているのだ。
学生時代、理想の公爵令嬢として、体現しすぎてから回って悪役令嬢になってしまった時のように、今もそれをしている。だから彼女は。理想の母親になれなかった。
私は知っています。貴女が誰よりも、頑張り屋で、理想を追い求めているのは、本当は誰かに褒めて貰いたいからなんですよね?
「少なくとも嫌っていたら、膝に乗せません。食事の件はわかりました。私も異論はありません」
そういってエリザベートが私の抱えて膝からおろし隣に座らせました。くっつきすぎたのでしょうか。でも、上手くいって良かった。
エリザベートだ。エリザベートが私達の前にいる。おそらく長い廊下を歩いている際に、私を抱きかかえたジェラールが宮殿に向かってきていることが見えて、自ら来たのだろう。
「ちょうどいい。話がある」
ジェラールがエリザベートにそう声をかけると、エリザベートは踵を返して宮殿に戻り、ジェラールはその後ろについていった。これが夫婦の会話。寂しいと捉えるべきか、つうかあの仲だと思うべきか。圧倒的に前者であろう。
しばらくして一つの部屋の前にたどり着くと、二人はその部屋に入っていく。内装は豪華な誰かの私室。知識もない私からすれば華やかさしか伝わらない。多分、エリザベートの部屋なのだろう。
以前訪れた部屋は、何の部屋だったのかわからないけど、ここは間違いなく彼女の生活空間だ。
「好きにするといいわ」
そういったエリザベートはベッドに腰を掛ける。彼女は好きにすると良いと言いながら、その視線は近くのテーブルとイスに向かっていた。それを察したジェラールが私を抱きかかえたまま、イスに座ると、私はジェラールから降りて床に足をつけた。
「クリスティーン?」
ジェラールが私に声をかけてきたが、私はそれを無視してベッドに座っているエリザベートの方に向かって歩いていく。エリザベートも自分に近づいてくる私の様子を見ていたが、次の瞬間、彼女は私の行動に言葉を出すこともできなかった。
私はエリザベートのドレスのスカートを掴み、彼女の膝の上によじ登ったのだ。
「クリスティーン、何をしている」
さすがにジェラールが私を止めようと、立ち上がったが、エリザベートがそれを止めた。
「構いません。あとで私が躾けておきます」
「そうか。あまり厳しくしないでやってくれ。クリスティーンは聡い子だ。公の場ではこのようなことをしない」
ジェラールがそういい、エリザベートも分かりましたと返事をする。そして私は彼女の膝の上に乗ることが成功してそのまますり寄る。前世では中学を超えたあたりから親に甘えるなんて恥ずかしくてできなくなっていた。けど本当はたまにこういう風にしたかった。それは現世でも一緒だ。だって打算でやろうと思った訳ではなく、エリザベートの膝の上に乗った瞬間に、これをやろうと思ったのだから。
「それで話とは?」
エリザベートが私を無視してジェラールに話しかける。無視なのかそれとも好きなようにさせてくれているのかはわかりません。多分、無視です。
「どうやら俺たちの娘は甘えん坊に育ったみたいだ」
「見ればわかります。まさかそれだけじゃないでしょうね?」
「クリスティーンがなるべく家族で食事を取りたい。そうわがままを言ってね。俺に異論はなかった。君は?」
ジェラールがいきなり本題を言い、エリザベートは私を見つめる。私もエリザベートを見つめ返して、小さく頷いた。
「そんなこと? 貴女も随分とわがままに育ったものね。ちゃんと可愛がった記憶もないのに、私のどこが良いのかしら?」
さすがにエリザベートにも、私と接する時間がなかったことを自覚しているのだろう。ゆっくりと頭を撫でる手は、細く滑らかな肌をした指だった。
「だってお母様。私のこと大好きですよね?」
賭けである。本当にそう思われているかわからない。でも、彼女が私を大好きだと素直にならない理由ならいくらでも想像できる。彼女は王妃である立場に重きを置き、立派な王妃。理想の王妃を体現しようとしすぎているのだ。
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私は知っています。貴女が誰よりも、頑張り屋で、理想を追い求めているのは、本当は誰かに褒めて貰いたいからなんですよね?
「少なくとも嫌っていたら、膝に乗せません。食事の件はわかりました。私も異論はありません」
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