30 / 228
30話 大賢者の息子リビオ・エル・ベルニエ
しおりを挟む
小屋の中はいくつもの液体が入った器に、散乱している資料。ヒカリゴケや食虫植物。
どういう組み合わせで揃えたかわからないものが床、壁、テーブルの上に棚の中、いたるところに散乱していた。
かろうじて人が通れる道ができているところをみては、まるで雪を踏み固めて通り道にしたかのような本来歩けた幅より狭い道を歩くと、そこには黒髪の少年が両手から不思議なオーラを放出しながら、宙に舞う緑色の塊をいじくっていた。
「何をしているのかしら?」
「え!? 誰ですか?」
私の気配に気付いた少年は、手からオーラを出すのをやめてしまい、彼の目の前で宙に浮いていた塊は霧散してしまった。
彼はそれを見ながら寂しそうな表情をする。
「ごめんなさい。私はクリスティーン。貴方は?」
「リビオ」
「そうリビオ。さっきのものは?」
私がそう尋ねると、リビオはまた手から緑色のオーラを出す。しかし、さきほどのものはそこにはなかった。
「わからない。あれは空気中に溢れる魔力に対して状態魔法をかけ続けたもの」
状態魔法。レイモンの得意とする魔法ね。息子であるリビオも、状態魔法を扱えるみたいね。
「貴方はどんな魔法が使えるの?」
そう尋ねると、リビオは周囲をきょろきょろ見渡して白い円盤を見つけると、それを手に取った。一瞬で円盤は染まり、そこには緑色と藍色と紫色に変色した円盤があった。
三色。確か三色に変色するだけでもかなりの魔法の才能が認められるのよね。レイモンのように五色とまではいかないものの、やはり親子なのでしょう。魔法の才能は遺伝されていたようです。
「時間がいるのよね? もう一度やって頂戴」
そう言われ、リビオはまた緑色のオーラを宙に向けて放つ。私は目を閉じて念じる。彼が魔法を行使している空間だけに意識を向ける。
「時空魔法、加速」
すると彼の手元にはどんどん緑色の塊が集まり一瞬で先ほどの状態に近いモノが完成してしまいました。私は魔法を解除して時の流れを現実世界と同じ速さに戻します。
「これでいいかしら?」
「時空魔法?」
「そうよ、貴方のお父様から魔法を習っているの」
私がそういうと、リビオは数秒考えこむ。そしてぽつりとつぶやいた。
「じゃあ、貴女が姫様ですね。こんなところにいて平気なんですか?」
彼は私が姫と気付いたが、それに対して驚く様子もない。ただ一応なんでここにいるのだろうかくらいの疑問は持たれた。
「ちょっと抜け出してきたわ。この小屋前から気になっていたのだけど、普段レイモンとは外で会いますからね。今日は貴方が入っていくところが見えましたのでせっかくなので来ちゃいました」
「ふぅん。真面目に魔法の勉強をした方が良いのに」
真顔で痛いところを突いてくる少年ですね。でも顔を見て会話をして、彼がブランクではないことは間違いなさそうだ。ではあの不可思議な魔法を操る謎の少年は一体何者なんでしょうか。
「それでその緑色の物体は何に使われるのですか?」
「? いや、見てて落ち着くなって」
水槽にいるクラゲを眺める感覚かしら。確かにその緑色の塊は、空中をフヨフヨ浮いているだけだった。落ち着くかと言われれば、人間の頭部くらいの球体が、ぐねぐねと少しずつ形を変えたり戻したりしながら浮遊している。見慣れるまで不気味と言っても過言ではない。
「意味はないのね」
「あるよ…………僕はこれが好きだから」
…………変わった子供。でも、レイモンの息子が真っ当な子だったら、それこそ笑ってしまいそうだわ。私がクスリ笑うと、リビオは私の顔をじーっと見つめていました。
「何よ? あまりレディの顔をジロジロ見るものではないわ」
「ごめん。でも、見ていたいなって」
「…………」
彼がレイモンの息子だというなら仲良くなって損はないわよね。だったら、好意的に捉えられているうちにもっと接近しましょうか。
「今、友達と数人で貴方のお父様から魔法を習っているの。リビオもどうかしら?」
「…………お父様に相談するよ」
「待っているわよ」
私がそういうと、リビオはなぜか小さくうずくまってしまいました。照れ屋さんなのね。可愛いところあるじゃない。
どういう組み合わせで揃えたかわからないものが床、壁、テーブルの上に棚の中、いたるところに散乱していた。
かろうじて人が通れる道ができているところをみては、まるで雪を踏み固めて通り道にしたかのような本来歩けた幅より狭い道を歩くと、そこには黒髪の少年が両手から不思議なオーラを放出しながら、宙に舞う緑色の塊をいじくっていた。
「何をしているのかしら?」
「え!? 誰ですか?」
私の気配に気付いた少年は、手からオーラを出すのをやめてしまい、彼の目の前で宙に浮いていた塊は霧散してしまった。
彼はそれを見ながら寂しそうな表情をする。
「ごめんなさい。私はクリスティーン。貴方は?」
「リビオ」
「そうリビオ。さっきのものは?」
私がそう尋ねると、リビオはまた手から緑色のオーラを出す。しかし、さきほどのものはそこにはなかった。
「わからない。あれは空気中に溢れる魔力に対して状態魔法をかけ続けたもの」
状態魔法。レイモンの得意とする魔法ね。息子であるリビオも、状態魔法を扱えるみたいね。
「貴方はどんな魔法が使えるの?」
そう尋ねると、リビオは周囲をきょろきょろ見渡して白い円盤を見つけると、それを手に取った。一瞬で円盤は染まり、そこには緑色と藍色と紫色に変色した円盤があった。
三色。確か三色に変色するだけでもかなりの魔法の才能が認められるのよね。レイモンのように五色とまではいかないものの、やはり親子なのでしょう。魔法の才能は遺伝されていたようです。
「時間がいるのよね? もう一度やって頂戴」
そう言われ、リビオはまた緑色のオーラを宙に向けて放つ。私は目を閉じて念じる。彼が魔法を行使している空間だけに意識を向ける。
「時空魔法、加速」
すると彼の手元にはどんどん緑色の塊が集まり一瞬で先ほどの状態に近いモノが完成してしまいました。私は魔法を解除して時の流れを現実世界と同じ速さに戻します。
「これでいいかしら?」
「時空魔法?」
「そうよ、貴方のお父様から魔法を習っているの」
私がそういうと、リビオは数秒考えこむ。そしてぽつりとつぶやいた。
「じゃあ、貴女が姫様ですね。こんなところにいて平気なんですか?」
彼は私が姫と気付いたが、それに対して驚く様子もない。ただ一応なんでここにいるのだろうかくらいの疑問は持たれた。
「ちょっと抜け出してきたわ。この小屋前から気になっていたのだけど、普段レイモンとは外で会いますからね。今日は貴方が入っていくところが見えましたのでせっかくなので来ちゃいました」
「ふぅん。真面目に魔法の勉強をした方が良いのに」
真顔で痛いところを突いてくる少年ですね。でも顔を見て会話をして、彼がブランクではないことは間違いなさそうだ。ではあの不可思議な魔法を操る謎の少年は一体何者なんでしょうか。
「それでその緑色の物体は何に使われるのですか?」
「? いや、見てて落ち着くなって」
水槽にいるクラゲを眺める感覚かしら。確かにその緑色の塊は、空中をフヨフヨ浮いているだけだった。落ち着くかと言われれば、人間の頭部くらいの球体が、ぐねぐねと少しずつ形を変えたり戻したりしながら浮遊している。見慣れるまで不気味と言っても過言ではない。
「意味はないのね」
「あるよ…………僕はこれが好きだから」
…………変わった子供。でも、レイモンの息子が真っ当な子だったら、それこそ笑ってしまいそうだわ。私がクスリ笑うと、リビオは私の顔をじーっと見つめていました。
「何よ? あまりレディの顔をジロジロ見るものではないわ」
「ごめん。でも、見ていたいなって」
「…………」
彼がレイモンの息子だというなら仲良くなって損はないわよね。だったら、好意的に捉えられているうちにもっと接近しましょうか。
「今、友達と数人で貴方のお父様から魔法を習っているの。リビオもどうかしら?」
「…………お父様に相談するよ」
「待っているわよ」
私がそういうと、リビオはなぜか小さくうずくまってしまいました。照れ屋さんなのね。可愛いところあるじゃない。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる