31 / 228
31話 両親とおでかけしたいので魔法の特訓をやり込みました
しおりを挟む
あの日を境に、レイモン先生の魔法教室にはリビオも加わるようになりました。
リビオを連れてきた際、レイモン先生は魔法を人と一緒に学ぶことを嫌っていたはずだがとリビオに聞いていたが、リビオ自身もなぜ私達と学びたくなったかよくわかっていなかったみたいです。
みんなで魔法を習う中、私は最低限の護身用の魔法の習得に勤しみました。幸いなことに波動魔法は攻撃に流用しやすく、時空魔法も補助として優れていた。
「姫様、こちらに波動魔法をお願いします」
「いいわよミゲル」
防御に特化した守護魔法にのみ適性のあるミゲルは、私に向けて三重結界を展開する。ついこないだまではふにゃふにゃの結界が一枚だけ出せる程度だったことから考えればかなり成長したものだ。
「それじゃ行くわよ。波動魔法、波動」
波動魔法がミゲルの結界目掛けて放たれる。一枚目は一瞬で破壊することに成功したが、二枚目三枚目はそうはいかない。
五歳のミゲルが作った結界すら壊せない。それが私の波動魔法のレベルだ。時空魔法も遅れて学び始めたアレクシスほど効果を持続できない。ビルジニは他のみんなと違って錬金術に長けており、リビオも得意の状態魔法のバリエーションを増やしていった。
もしかして私って全種類の魔法が使える以外は大して優秀じゃないのかしら。私が悩んでいると、レイモン先生が私の隣まできてしゃがみ込んだ。
「いい加減波動以外を使ってみたらどうだ?」
「でも私これしか知らないわ」
私がそう答えると、レイモン先生は顎に手をあてる。そして何か思いついたのかミゲルに結界を張らせ、念のためミゲルには結界から離れて貰った。
「波動魔法というのは、何も手から単純に波動を出すだけじゃない。波動魔法、隆起」
レイモン先生が手のひらを大地につけると、結界の向こう側の大地が無数の槍のように伸びて、先ほどまでミゲルが立っていた場所に向かって突き刺さろうとした。
「こういうものもある。三重結界では、地中までカバーできないからな。見ての通り練習での対人では使用禁止だ」
「はっ……はい」
「イメージは相手の足元に向け、上方に向かう様に波動を飛ばすことだ」
この世界の魔法はイメージを大事にしているたみたい。私が初見で魔法を扱えたのはゲームで何度も見てきたおかげ。
それもゲームではあくまで魔法よりも恋愛が主体だったせいでジェラールは無言で波動を飛ばしまくるだけだし、エリザベートも時間を遅くする魔法ばかりでちょっと脳死プレイを見ている気分だったんですよね。
だけどこれは現実、状況に応じて適切な魔法を選ぶ必要がある。
私は直線に飛ばすだけの波動魔法だけでしたが、先ほどの隆起のように足元から攻撃する魔法も存在するのね。レイモン先生は、なるべく多くの魔法を私達に見せてくれたり、魔力そのものを高める集中方法なども教えてくれました。
そして――
「五歳の子供たちにしては上出来だ。魔法が使えるだけの教養のない野盗であればひとたまりもないだろう」
レイモン先生がそう呟くと周囲にいた魔法省の人間が次々と呟き始めた。
「なんてことだ」「これほどとは」「才能ですな」「さすが我が娘だ」「あり得ん」「素晴らしすぎるっ!」
私達は、王宮内にある修行場を借り、全力を出して魔法の成果を魔法省の方々に披露していたのでした。
私達が魔法を披露したあとの修行場は壊滅状態、壁や地面はひび割れたり、崩れ落ちたりしている。
「レイモン先生、私の魔法は護身用として十分かしら?」
私がそう尋ねると、レイモン先生は視線を逸らしながら答えます。
「過剰防衛だ」
リビオを連れてきた際、レイモン先生は魔法を人と一緒に学ぶことを嫌っていたはずだがとリビオに聞いていたが、リビオ自身もなぜ私達と学びたくなったかよくわかっていなかったみたいです。
みんなで魔法を習う中、私は最低限の護身用の魔法の習得に勤しみました。幸いなことに波動魔法は攻撃に流用しやすく、時空魔法も補助として優れていた。
「姫様、こちらに波動魔法をお願いします」
「いいわよミゲル」
防御に特化した守護魔法にのみ適性のあるミゲルは、私に向けて三重結界を展開する。ついこないだまではふにゃふにゃの結界が一枚だけ出せる程度だったことから考えればかなり成長したものだ。
「それじゃ行くわよ。波動魔法、波動」
波動魔法がミゲルの結界目掛けて放たれる。一枚目は一瞬で破壊することに成功したが、二枚目三枚目はそうはいかない。
五歳のミゲルが作った結界すら壊せない。それが私の波動魔法のレベルだ。時空魔法も遅れて学び始めたアレクシスほど効果を持続できない。ビルジニは他のみんなと違って錬金術に長けており、リビオも得意の状態魔法のバリエーションを増やしていった。
もしかして私って全種類の魔法が使える以外は大して優秀じゃないのかしら。私が悩んでいると、レイモン先生が私の隣まできてしゃがみ込んだ。
「いい加減波動以外を使ってみたらどうだ?」
「でも私これしか知らないわ」
私がそう答えると、レイモン先生は顎に手をあてる。そして何か思いついたのかミゲルに結界を張らせ、念のためミゲルには結界から離れて貰った。
「波動魔法というのは、何も手から単純に波動を出すだけじゃない。波動魔法、隆起」
レイモン先生が手のひらを大地につけると、結界の向こう側の大地が無数の槍のように伸びて、先ほどまでミゲルが立っていた場所に向かって突き刺さろうとした。
「こういうものもある。三重結界では、地中までカバーできないからな。見ての通り練習での対人では使用禁止だ」
「はっ……はい」
「イメージは相手の足元に向け、上方に向かう様に波動を飛ばすことだ」
この世界の魔法はイメージを大事にしているたみたい。私が初見で魔法を扱えたのはゲームで何度も見てきたおかげ。
それもゲームではあくまで魔法よりも恋愛が主体だったせいでジェラールは無言で波動を飛ばしまくるだけだし、エリザベートも時間を遅くする魔法ばかりでちょっと脳死プレイを見ている気分だったんですよね。
だけどこれは現実、状況に応じて適切な魔法を選ぶ必要がある。
私は直線に飛ばすだけの波動魔法だけでしたが、先ほどの隆起のように足元から攻撃する魔法も存在するのね。レイモン先生は、なるべく多くの魔法を私達に見せてくれたり、魔力そのものを高める集中方法なども教えてくれました。
そして――
「五歳の子供たちにしては上出来だ。魔法が使えるだけの教養のない野盗であればひとたまりもないだろう」
レイモン先生がそう呟くと周囲にいた魔法省の人間が次々と呟き始めた。
「なんてことだ」「これほどとは」「才能ですな」「さすが我が娘だ」「あり得ん」「素晴らしすぎるっ!」
私達は、王宮内にある修行場を借り、全力を出して魔法の成果を魔法省の方々に披露していたのでした。
私達が魔法を披露したあとの修行場は壊滅状態、壁や地面はひび割れたり、崩れ落ちたりしている。
「レイモン先生、私の魔法は護身用として十分かしら?」
私がそう尋ねると、レイモン先生は視線を逸らしながら答えます。
「過剰防衛だ」
0
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!
ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。
婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。
「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」
「「「は?」」」
「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」
前代未聞の出来事。
王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。
これでハッピーエンド。
一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。
その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。
対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。
タイトル変更しました。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる