35 / 228
35話 大司教ミカエル・ド・セイリグ
しおりを挟む
昼食前になるくらい。ジェラールの側近の男性が私達のもとにやってきて、ジェラールに軽く耳打ちをし始めた。
するとジェラールは良い表情を作り、側近の男性にすぐにここにつれてこいと言った。
しばらくして背の高い灰色の髪の男性が訪れた。二次元かよと叫びたくなりそうな糸目の男性。
祭服を着ているあたり、教会の人間で間違いないでしょう。そしてあのビジュアルに教会関係者。
おそらく彼こそ次期大司教筆頭候補ミカエル・ド・セイリグの数年後の姿。当然、彼は大司教に就任している。
それにしてもこの世界、お偉いさんになる年齢低いわね。ちょうど前の世代が老いたタイミングで最も優秀な人が成り上がっていると考えても、若すぎる。
ゲームの攻略キャラをハイスペックにしすぎる乙女ゲーム的な要素が、歪に作用した結果ね。制作もスタッフも五年、十年後なんて考えませんよね。
「いやぁ、ジェラール。呼ぶならもっと事前に言っておくれよ」
うわ、このすぐに裏切りそうなCVは、間違いなくミカエルのものじゃない。
めちゃくちゃイケボなのに一瞬背筋が凍ったわ。
「久しいなセイリグ。今日はお前に相談があってだな」
「おや? 君がかい? それは珍しい。今夜は宴にしよう。それで、一体どういう悩み事なのかな?」
ミカエルは【藍】のワンダーオーブが手に入るルートだったわよね。彼にも同じくらいの子供がいることは噂話で聞いているわ。
「お前も忙しいだろうし、早速本題に入ろう。子供と遊ぶって何をすればいいんだ?」
「…………え? ちょっと最初から説明して貰ってもいいかな?」
ジェラールはこれまでの経緯を話すと、ミカエルはおなかを抱えながら床を転がり回り大笑いし始めた。
「ギャハハハハハハ。嘘でしょう? ほんと? 本気? あのジェラールがかい? 今夜の宴は中止だ! なにせ今夜が最後の晩餐なのだからね! 銀貨は誰に握らせればいい?」
「宴が中止にできていないぞ。それとみっともない笑い方をするのはやめろ。最後の晩餐が昨夜の食事になるぞ?」
ジェラールにそう言われ、まだ笑うことを抑えられていないミカエルがやっとの力で立ち上がり、そして視線をこちらに向ける。しばらく私を見つめた後に彼は提案した。
「彼女には今まで何もしてあげていなかったということだよね? 本を読み聞かせたことは? 庭園内で駆け回ったことは? 小動物と遊ばせたことは? お人形などを買い与えてあげたことは? 他にもまだあるだろう? ただ遊ぶだけじゃない。彼女にとって本当に大事なのは君たち二人との時間だと僕は思うな」
ミカエルが笑いながらそういうと、ジェラールもエリザベートもそれで何で遊んであげればいいのというリアクションだった。
その反応にミカエルはやれやれと言いながらも、私の頭を撫でながら語りかける。
「君は大好きな両親から楽器を教えてもらったり、魔法を教えて貰ったり。危なくない範囲で両親から直接何かを教えて貰えるのであれば、どんな遊びよりも楽しいし、嬉しいんじゃないかな?」
ミカエルの言葉は、すとんと頭に入った。何の抵抗もなく、その言葉がどんな言葉よりも正解だと思えた。彼は教会で多くの子供を見てきているのでしょう。
「はい」
私がそう答えると、早速ジェラールとエリザベートが何を教えるか言い合いになる。そんな様子を見たミカエルは、反笑いで私に耳打ちをした。
「あの二人、学生時代は必要最低限しか会話しなかったほど険悪だったんだよ? 子を持つだけであそこまで変わったのは二人だけかもしれないな。それはもしかして君おかげなのかな?」
私のおかげなのだろうか。ジェラールはまだよくわかりませんが、エリザベートはジェラールのことが好きですよね。
学生の頃からそういう気持ちを押し殺して、今も本人は表に出していないつもりで、今でもたまにジェラールを見ては、少し幸せそうにしていることを、私は知っている。
「それとどうだろう? できれば姫を聖歌隊に」
「やらん」
「それは残念だ」
ミカエルが思いついたかのように私を聖歌隊に入れようと提案しましたが、ジェラールが即否定。しかし、エリザベートは何か思いついたらしくジェラールに耳打ちをする。
するとジェラールが何か考えこんだ後に、顔を少し赤らめさせながら、ミカエルに伝える。
「クリスティーンの練習はあくまで王宮内だ。本番だけは公に出ることを許可しよう」
「おや? 聖歌を歌う娘が見たくなったんだね?」
数分もしないうちに、ミカエルは王宮から追い出されてしまいました。聖歌隊になればミカエルの子供に逢えるのではないかしら?
するとジェラールは良い表情を作り、側近の男性にすぐにここにつれてこいと言った。
しばらくして背の高い灰色の髪の男性が訪れた。二次元かよと叫びたくなりそうな糸目の男性。
祭服を着ているあたり、教会の人間で間違いないでしょう。そしてあのビジュアルに教会関係者。
おそらく彼こそ次期大司教筆頭候補ミカエル・ド・セイリグの数年後の姿。当然、彼は大司教に就任している。
それにしてもこの世界、お偉いさんになる年齢低いわね。ちょうど前の世代が老いたタイミングで最も優秀な人が成り上がっていると考えても、若すぎる。
ゲームの攻略キャラをハイスペックにしすぎる乙女ゲーム的な要素が、歪に作用した結果ね。制作もスタッフも五年、十年後なんて考えませんよね。
「いやぁ、ジェラール。呼ぶならもっと事前に言っておくれよ」
うわ、このすぐに裏切りそうなCVは、間違いなくミカエルのものじゃない。
めちゃくちゃイケボなのに一瞬背筋が凍ったわ。
「久しいなセイリグ。今日はお前に相談があってだな」
「おや? 君がかい? それは珍しい。今夜は宴にしよう。それで、一体どういう悩み事なのかな?」
ミカエルは【藍】のワンダーオーブが手に入るルートだったわよね。彼にも同じくらいの子供がいることは噂話で聞いているわ。
「お前も忙しいだろうし、早速本題に入ろう。子供と遊ぶって何をすればいいんだ?」
「…………え? ちょっと最初から説明して貰ってもいいかな?」
ジェラールはこれまでの経緯を話すと、ミカエルはおなかを抱えながら床を転がり回り大笑いし始めた。
「ギャハハハハハハ。嘘でしょう? ほんと? 本気? あのジェラールがかい? 今夜の宴は中止だ! なにせ今夜が最後の晩餐なのだからね! 銀貨は誰に握らせればいい?」
「宴が中止にできていないぞ。それとみっともない笑い方をするのはやめろ。最後の晩餐が昨夜の食事になるぞ?」
ジェラールにそう言われ、まだ笑うことを抑えられていないミカエルがやっとの力で立ち上がり、そして視線をこちらに向ける。しばらく私を見つめた後に彼は提案した。
「彼女には今まで何もしてあげていなかったということだよね? 本を読み聞かせたことは? 庭園内で駆け回ったことは? 小動物と遊ばせたことは? お人形などを買い与えてあげたことは? 他にもまだあるだろう? ただ遊ぶだけじゃない。彼女にとって本当に大事なのは君たち二人との時間だと僕は思うな」
ミカエルが笑いながらそういうと、ジェラールもエリザベートもそれで何で遊んであげればいいのというリアクションだった。
その反応にミカエルはやれやれと言いながらも、私の頭を撫でながら語りかける。
「君は大好きな両親から楽器を教えてもらったり、魔法を教えて貰ったり。危なくない範囲で両親から直接何かを教えて貰えるのであれば、どんな遊びよりも楽しいし、嬉しいんじゃないかな?」
ミカエルの言葉は、すとんと頭に入った。何の抵抗もなく、その言葉がどんな言葉よりも正解だと思えた。彼は教会で多くの子供を見てきているのでしょう。
「はい」
私がそう答えると、早速ジェラールとエリザベートが何を教えるか言い合いになる。そんな様子を見たミカエルは、反笑いで私に耳打ちをした。
「あの二人、学生時代は必要最低限しか会話しなかったほど険悪だったんだよ? 子を持つだけであそこまで変わったのは二人だけかもしれないな。それはもしかして君おかげなのかな?」
私のおかげなのだろうか。ジェラールはまだよくわかりませんが、エリザベートはジェラールのことが好きですよね。
学生の頃からそういう気持ちを押し殺して、今も本人は表に出していないつもりで、今でもたまにジェラールを見ては、少し幸せそうにしていることを、私は知っている。
「それとどうだろう? できれば姫を聖歌隊に」
「やらん」
「それは残念だ」
ミカエルが思いついたかのように私を聖歌隊に入れようと提案しましたが、ジェラールが即否定。しかし、エリザベートは何か思いついたらしくジェラールに耳打ちをする。
するとジェラールが何か考えこんだ後に、顔を少し赤らめさせながら、ミカエルに伝える。
「クリスティーンの練習はあくまで王宮内だ。本番だけは公に出ることを許可しよう」
「おや? 聖歌を歌う娘が見たくなったんだね?」
数分もしないうちに、ミカエルは王宮から追い出されてしまいました。聖歌隊になればミカエルの子供に逢えるのではないかしら?
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる