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36話 笑った顔も照れた顔も隠す必要なんてないのに
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ミカエルが追い出され、お昼もすぎ早速二人が私の前に立ちはだかった。
東、私と釣りをしようと道具を持ってきたジェラール。西、私にヴァイオリンを教えようと道具を持ってきたエリザベート。
あなた方は初孫を可愛がる老夫婦ですか? でも、本当に初孫が産まれてきた時に一番に遊んであげるのは私ですからね?
「王宮内で釣りですか? え? できるのですか?」
「できる! それよりもクリスティーンにそのバイオリンは大きすぎないか? 子供用の作らせてからにしなさい」
「…………ですがやはりクリスティーンにはこちらの方がよく似合っていて!」
「そんなことはわかっているが、俺が教えられないだろう?」
なんてすごんだ顔で、バカみたいな夫婦喧嘩をしているのでしょうか。ジェラールもエリザベートもにらみ合っているようにしか見えません。
ですが会話内容が完全に馬鹿親になりつつある。しかし、これは長引きそうですね。
この二人が他でどれだけ優秀だとしても、子供の相手をするのは、家族と接するのはド素人なんですね。
しかたありません、ここは私が教えてあげましょうか。
「お父様、お母様。私はバイオリンもしたいですが、お父様の言う通りそれでは大きすぎます。ですので、次はお母様からバイオリンを習いたいです。その時はお父様もご一緒にどうですか?」
私がそういうと、エリザベートも仕方ないわねと言いながら、お父様に抱っこされながら、王宮の敷地に内にある池まで連れていかれました。
連れていかれたのは大きな池。水が透明で深さもわかりやすく、魚が泳いでいるのも確認できます。
「ここは?」
「俺が子供の頃に隠居した祖父が釣りをするために作った池だ」
「作ったのですか!?」
池の大きさは大きなグランドくらいあり、作らせたと聞いて、大変な重労働を想像してしまいました。まさか曾祖父の趣味の為にこんな池が作られていたなんて。
「作ったといっても、魔法を利用したのさ。くぼみは波動魔法で作れるし、水も様々な魔法を組み合わせればで何とかなる」
魔法が思ったより万能なことはおいておきましょう。レイモン先生のところで学んだことですし、ある程度は理解していますが、まさか綺麗な水を作ることができるなんて思いもしませんでした。
これまで様々な魔法を見てきましたが、火の魔法や水の魔法などよく目にする自然的な魔法を使っている人はいませんので、存在しないのかと思っていましたが、それらは魔力の塊をぶつけることの方がよっぽど効率的で不要な工程だそうです。
ですので、生活する上で火の魔法や水の魔法を扱う人が存在することも教わりました。それらが付与魔法で扱うことまでは知りませんでしたが。
それにはじめてレイモン先生の息子であるリビオにあった時に、リビオも不思議な魔法を扱っていましたよね。
ジェラールに抱きかかえられた私は、ひとまずエリザベートに預けられます。ジェラールがちょっとだけ嬉しそうに準備を初めて、きっと彼は誰かと釣りをするのが本当は好きだったのではないだろうか気付きました。
それはきっと今は亡き曾祖父のことでしょう。なんだ、ジェラールもちゃんと大人に甘えていた時期があったんじゃないですか。
「よし、クリスティーンはこれを持て。餌は俺がつけてやるから無理に触らなくていいぞ」
「ありがとうお父様!」
「エリザベートはどうする?」
「私はいいわ。クリスティーンが池に落ちない様に支えています」
「そうか、では勝負としよう。大きい魚を釣った方が勝ちだ。やるかクリスティーン!」
「勝負ですか? 負けませんからね!」
その後はエリザベートに抱っこされたまま何匹か小さな魚を釣り上げる私と、それを見て褒めるジェラールと、濡れた私の頬をハンカチで拭うエリザベート。
「いいクリスティーン。やんちゃしていいのは子供の頃までよ?」
「釣りは構わんだろ?」
「…………そうですね、クリスティーンも楽しそうですし野山に一人で出かけたり漁船に乗ろうとしなければ構いません」
あ、お母様それちょっと面白そうだと思いました。
釣り場を変えたりして、何度か移動しながら夕暮れまで池をぐるりと回りました。
久々に遊んだこともあり、ちょっとだけ疲れましたが、いまはこの疲れも心地よいです。その後も結局大物をつることができず、ジェラールに負けてしまいました。
「次は負けませんよお父様! お母様も二人で勝ちましょう!」
「え? ええ、そうね」
「いつでも相手になろう」
そういったジェラールに、いつでも遊んでやると言われたみたいで、私は嬉しくて飛びついてしまいました。
エリザベートのはしたない行為を嗜める声と、ジェラールの笑い声が聞こえます。
その笑い声が珍しく、ぐいっと顔をジェラールに向けたのですが、彼は私が注目したのに気付きすぐに笑うのをやめてしまい、笑った顔を見ることはできませんでした。
ああ、夕日でなければ彼の顔が紅くなっていたかどうかは判断できたのに。
東、私と釣りをしようと道具を持ってきたジェラール。西、私にヴァイオリンを教えようと道具を持ってきたエリザベート。
あなた方は初孫を可愛がる老夫婦ですか? でも、本当に初孫が産まれてきた時に一番に遊んであげるのは私ですからね?
「王宮内で釣りですか? え? できるのですか?」
「できる! それよりもクリスティーンにそのバイオリンは大きすぎないか? 子供用の作らせてからにしなさい」
「…………ですがやはりクリスティーンにはこちらの方がよく似合っていて!」
「そんなことはわかっているが、俺が教えられないだろう?」
なんてすごんだ顔で、バカみたいな夫婦喧嘩をしているのでしょうか。ジェラールもエリザベートもにらみ合っているようにしか見えません。
ですが会話内容が完全に馬鹿親になりつつある。しかし、これは長引きそうですね。
この二人が他でどれだけ優秀だとしても、子供の相手をするのは、家族と接するのはド素人なんですね。
しかたありません、ここは私が教えてあげましょうか。
「お父様、お母様。私はバイオリンもしたいですが、お父様の言う通りそれでは大きすぎます。ですので、次はお母様からバイオリンを習いたいです。その時はお父様もご一緒にどうですか?」
私がそういうと、エリザベートも仕方ないわねと言いながら、お父様に抱っこされながら、王宮の敷地に内にある池まで連れていかれました。
連れていかれたのは大きな池。水が透明で深さもわかりやすく、魚が泳いでいるのも確認できます。
「ここは?」
「俺が子供の頃に隠居した祖父が釣りをするために作った池だ」
「作ったのですか!?」
池の大きさは大きなグランドくらいあり、作らせたと聞いて、大変な重労働を想像してしまいました。まさか曾祖父の趣味の為にこんな池が作られていたなんて。
「作ったといっても、魔法を利用したのさ。くぼみは波動魔法で作れるし、水も様々な魔法を組み合わせればで何とかなる」
魔法が思ったより万能なことはおいておきましょう。レイモン先生のところで学んだことですし、ある程度は理解していますが、まさか綺麗な水を作ることができるなんて思いもしませんでした。
これまで様々な魔法を見てきましたが、火の魔法や水の魔法などよく目にする自然的な魔法を使っている人はいませんので、存在しないのかと思っていましたが、それらは魔力の塊をぶつけることの方がよっぽど効率的で不要な工程だそうです。
ですので、生活する上で火の魔法や水の魔法を扱う人が存在することも教わりました。それらが付与魔法で扱うことまでは知りませんでしたが。
それにはじめてレイモン先生の息子であるリビオにあった時に、リビオも不思議な魔法を扱っていましたよね。
ジェラールに抱きかかえられた私は、ひとまずエリザベートに預けられます。ジェラールがちょっとだけ嬉しそうに準備を初めて、きっと彼は誰かと釣りをするのが本当は好きだったのではないだろうか気付きました。
それはきっと今は亡き曾祖父のことでしょう。なんだ、ジェラールもちゃんと大人に甘えていた時期があったんじゃないですか。
「よし、クリスティーンはこれを持て。餌は俺がつけてやるから無理に触らなくていいぞ」
「ありがとうお父様!」
「エリザベートはどうする?」
「私はいいわ。クリスティーンが池に落ちない様に支えています」
「そうか、では勝負としよう。大きい魚を釣った方が勝ちだ。やるかクリスティーン!」
「勝負ですか? 負けませんからね!」
その後はエリザベートに抱っこされたまま何匹か小さな魚を釣り上げる私と、それを見て褒めるジェラールと、濡れた私の頬をハンカチで拭うエリザベート。
「いいクリスティーン。やんちゃしていいのは子供の頃までよ?」
「釣りは構わんだろ?」
「…………そうですね、クリスティーンも楽しそうですし野山に一人で出かけたり漁船に乗ろうとしなければ構いません」
あ、お母様それちょっと面白そうだと思いました。
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「いつでも相手になろう」
そういったジェラールに、いつでも遊んでやると言われたみたいで、私は嬉しくて飛びついてしまいました。
エリザベートのはしたない行為を嗜める声と、ジェラールの笑い声が聞こえます。
その笑い声が珍しく、ぐいっと顔をジェラールに向けたのですが、彼は私が注目したのに気付きすぐに笑うのをやめてしまい、笑った顔を見ることはできませんでした。
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