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42話 綺麗な髪と綺麗な瞳
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エリザベートの持ったバラの色が赤から青に変わった。
乙女ゲーム内でエリザベートが使用する魔法は時空魔法の遅延ばかりだったから、それしか使えないのに優秀で違和感はあった。でも違う。
多分作品の設定上はもっと色々できたのに、ゲーム中に遅延しか使う場面がなかったんだ。
「これは幻惑魔法ですか?」
私はエリザベートの適正魔法に時空魔法があることしか知らない。ですがこれは五感に影響を与える幻惑魔法の方だと思う。
「知識だけはちゃんとあるみたいね。これは幻惑魔法で間違いないわ」
幻惑魔法。私が知らないだけで、エリザベートは幻惑魔法の適正も持っていたようだ。
使う場面が多そうな魔法なのに、エリザベートは使わなかった。適正はあっても、扱いにくいとかなのでしょうか。
思えば私も波動魔法と時空魔法しか練習していません。
それはレイモンから二種類適性があるだけでも優秀だし、わざわざ練習することでもないと言われた為。
「クリスティーン、これをやってみて頂戴」
「え? でも私…………」
私が七種の魔法適正があることを知っているのは、レイモンだけのはず。
つまり、幻惑魔法が使えることを知っているのは、レイモンだけだ。
「貴女がすべての魔法に適性があることは、ベルニエ伯爵から聞いているわ。私とジェラールと、貴女の世話係しか知らない情報よ」
「あ、そうなんですね。レイモン先生も言ってくださればいいのに」
レイモンさん? せめて両親に教えているなら、私にもそのことを教えてくださいませんか? まあ、いいか。
せっかく使えるのであれば、付与魔法や幻惑魔法は使ってみたかったですし、家族の前での使用が可能なら、回復魔法も使える。
「それで、時空魔法と幻惑魔法をどのようにすれば?」
「幻惑魔法には五感に影響を与えることができるの。これは視覚ね。色彩・赤」
青かったバラはまた赤に戻ります。
「よーし、私もやってみます! 色彩・黄」
私はバラを黄色くしようとしましたが、徐々に赤から黄色に近づくも、オレンジ色止まりで色の変化は止まってしまいました。
「使えてはいるわね。クリスティーンは黄色い薔薇が見たいの?」
「いえ、なんとなくお母様の綺麗な髪が目に入りましたので」
「…………綺麗なのは貴女の瞳でしょ」
「え?」
「何も言っていないわ」
「いえ、今瞳と」
「何も言っていないと言っているでしょ」
「はぁ」
思いっきり瞳を褒められたような気がします。私の髪はエリザベート譲りで私の瞳はジェラール譲り。
もしかして、間接的にジェラールの瞳を綺麗だと言っているのでしょうか。
エリザベート、それはジェラールに直接言ってあげてください。できれば私の前で言ってください。
「もしかして、最初に青くしたのは、お父様の瞳の色が青いからですか」
私がそういってから、エリザベートは青に関する話題をすべて無視してきました。
更に何色かバラの色を変えても一切青くしませんでした。なので私が色を変えるバラをすべて青くしてあげました。
それに気付いたエリザベートが真っ赤な顔で別の色に変えていきます。
私も負けじとバラを青く変色させ続けましたが、さすがにエリザベートにはかないませんでした。
「貴女、ちょっと意地悪に育ったわね」
「照れているお母様が素敵でしたので」
「ジェラールに話したらお仕置きですよ?」
このことはすぐにジェラールに報告しようと胸に誓った。そして確かにちょっと意地悪に育ったかもしれませんね。
乙女ゲーム内でエリザベートが使用する魔法は時空魔法の遅延ばかりだったから、それしか使えないのに優秀で違和感はあった。でも違う。
多分作品の設定上はもっと色々できたのに、ゲーム中に遅延しか使う場面がなかったんだ。
「これは幻惑魔法ですか?」
私はエリザベートの適正魔法に時空魔法があることしか知らない。ですがこれは五感に影響を与える幻惑魔法の方だと思う。
「知識だけはちゃんとあるみたいね。これは幻惑魔法で間違いないわ」
幻惑魔法。私が知らないだけで、エリザベートは幻惑魔法の適正も持っていたようだ。
使う場面が多そうな魔法なのに、エリザベートは使わなかった。適正はあっても、扱いにくいとかなのでしょうか。
思えば私も波動魔法と時空魔法しか練習していません。
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「クリスティーン、これをやってみて頂戴」
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つまり、幻惑魔法が使えることを知っているのは、レイモンだけだ。
「貴女がすべての魔法に適性があることは、ベルニエ伯爵から聞いているわ。私とジェラールと、貴女の世話係しか知らない情報よ」
「あ、そうなんですね。レイモン先生も言ってくださればいいのに」
レイモンさん? せめて両親に教えているなら、私にもそのことを教えてくださいませんか? まあ、いいか。
せっかく使えるのであれば、付与魔法や幻惑魔法は使ってみたかったですし、家族の前での使用が可能なら、回復魔法も使える。
「それで、時空魔法と幻惑魔法をどのようにすれば?」
「幻惑魔法には五感に影響を与えることができるの。これは視覚ね。色彩・赤」
青かったバラはまた赤に戻ります。
「よーし、私もやってみます! 色彩・黄」
私はバラを黄色くしようとしましたが、徐々に赤から黄色に近づくも、オレンジ色止まりで色の変化は止まってしまいました。
「使えてはいるわね。クリスティーンは黄色い薔薇が見たいの?」
「いえ、なんとなくお母様の綺麗な髪が目に入りましたので」
「…………綺麗なのは貴女の瞳でしょ」
「え?」
「何も言っていないわ」
「いえ、今瞳と」
「何も言っていないと言っているでしょ」
「はぁ」
思いっきり瞳を褒められたような気がします。私の髪はエリザベート譲りで私の瞳はジェラール譲り。
もしかして、間接的にジェラールの瞳を綺麗だと言っているのでしょうか。
エリザベート、それはジェラールに直接言ってあげてください。できれば私の前で言ってください。
「もしかして、最初に青くしたのは、お父様の瞳の色が青いからですか」
私がそういってから、エリザベートは青に関する話題をすべて無視してきました。
更に何色かバラの色を変えても一切青くしませんでした。なので私が色を変えるバラをすべて青くしてあげました。
それに気付いたエリザベートが真っ赤な顔で別の色に変えていきます。
私も負けじとバラを青く変色させ続けましたが、さすがにエリザベートにはかないませんでした。
「貴女、ちょっと意地悪に育ったわね」
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「ジェラールに話したらお仕置きですよ?」
このことはすぐにジェラールに報告しようと胸に誓った。そして確かにちょっと意地悪に育ったかもしれませんね。
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