43 / 228
43話 この夫婦の進展はまだまだ遠い
しおりを挟む
エリザベートとバラ園で遊んだ後、私達は夕暮れになったことに気付き、彼女に抱えられて食堂に向かいました。
移動する時はいつも私を抱えるエリザベート。よく考えたら五歳児ってそこそこ重いのではないでしょうか。
軽々持ち上げられているような気がします。
それとも私ってすごく軽いとか。いえ、この世界にいて碌な運動はしていません。
また食事も健康に気を使ったものとは考えにくいですし、これは多分ですがエリザベートは思ったより力持ち説が立証されてしまったような気がします。
「貴女、今変なことを考えていませんか?」
「いえ、何も考えていませんよ。青色が大好きなお母様」
「あまりしつこいと…………あまりしつこいと…………今度から食事は貴女の席だけ一つ遠くしますよ?」
「お父様に泣きつきます」
「くっ……もういいわ。好きになさい」
エリザベートは顔を紅くしながら、歩きます。私はそんな母に抱きしめながら大人しく運ばれることにしました。
何も喋らない私に対して、エリザベートが耳打ちをします。
「ジェラールって何をすれば喜ぶかしら?」
彼女の歩く速度は、心なしか遅くなったような気がします。
「え? 本人に聞けば宜しいのでは?」
「今まで聞けなかったから、貴女に聞いているのでしょう? ジェラールは貴女には心を開いているでしょう?」
嘘、私の母親ニブすぎ。ジェラールと同じベッドで眠っている時点で信用されていると考えるべきだと思うんですが、違のでしょうか。
この二人は夫婦生活五年以上ですよね。それとも信頼してもらえているかどうか不安とか。貴女ちょっと乙女すぎません元悪役令嬢でしょ?
ですが、もし夫婦仲が進展するのであれば何か協力したいところですね。
幸い、ジェラールは乙女ゲームの攻略キャラクター、ある程度のプロフィールも公表されています。
それにジェラールの攻略方法は王族として扱わずに、一人の人間として扱うという何とも使い古されたパターン。
「そのですね…………」
あれ? これってどう説明すればいいの? もしそのまま言ってしまえば、何故そんなことを知っているのかと言われます。
「お父様は、お母様と仲良くできれば幸せだと思います」
私がそういうと、エリザベートは私の顔をじーっと見つめる。何かを言いたそうにしていることはわかりますが、それが何かはわかりません。
「お母様?」
「何故そこに貴女がいないのですか?」
「へ?」
「ジェラールには貴女も必要でしょう。さあ、そのジェラールの待っている食堂に行きますよ。尤も、朝食や昼食同様、夕食もいらっしゃらないかもしれませんけど」
エリザベートの足取りは、先ほどと違い、やや速足になります。どうしました。ジェラールに早く会いたくなりました?
上機嫌な母を見ていると、私まで嬉しくなったような気がします。これでは、どちらが子供かわかりませんね。
食堂につくと、既にジェラールの姿がありました。私がエリザベートの耳元で「綺麗な青い色ですね」と呟くと、ほっぺたをつねられてしまいました。痛い。
「エリザベート、今何をしていた?」
「え?」
「いえ、そのクリスティーンがあまりにも恥ずかしいことをいうものですのでつい」
「恥ずかしいこと? なんだ? 俺に言えないことか?」
ジェラールがこちらに近づいて、つねられた私の頬を撫でながら、エリザベートを睨みます。エリザベートは私が言った言葉を、ジェラールに伝えるべきかどうか迷っていたところで、エリザベートが何かを言いそうになる前に私が割り込みました。
ここはエリザベートの為に、私が怒られることを聞いたと言うことにしましょう!
「お父様の〇〇〇〇(※自主規制)って大きいんですかって聞いたのです!!」
めちゃくちゃお説教されました。
だってとっさに思いついたのがこれしかなかったんですもの。
移動する時はいつも私を抱えるエリザベート。よく考えたら五歳児ってそこそこ重いのではないでしょうか。
軽々持ち上げられているような気がします。
それとも私ってすごく軽いとか。いえ、この世界にいて碌な運動はしていません。
また食事も健康に気を使ったものとは考えにくいですし、これは多分ですがエリザベートは思ったより力持ち説が立証されてしまったような気がします。
「貴女、今変なことを考えていませんか?」
「いえ、何も考えていませんよ。青色が大好きなお母様」
「あまりしつこいと…………あまりしつこいと…………今度から食事は貴女の席だけ一つ遠くしますよ?」
「お父様に泣きつきます」
「くっ……もういいわ。好きになさい」
エリザベートは顔を紅くしながら、歩きます。私はそんな母に抱きしめながら大人しく運ばれることにしました。
何も喋らない私に対して、エリザベートが耳打ちをします。
「ジェラールって何をすれば喜ぶかしら?」
彼女の歩く速度は、心なしか遅くなったような気がします。
「え? 本人に聞けば宜しいのでは?」
「今まで聞けなかったから、貴女に聞いているのでしょう? ジェラールは貴女には心を開いているでしょう?」
嘘、私の母親ニブすぎ。ジェラールと同じベッドで眠っている時点で信用されていると考えるべきだと思うんですが、違のでしょうか。
この二人は夫婦生活五年以上ですよね。それとも信頼してもらえているかどうか不安とか。貴女ちょっと乙女すぎません元悪役令嬢でしょ?
ですが、もし夫婦仲が進展するのであれば何か協力したいところですね。
幸い、ジェラールは乙女ゲームの攻略キャラクター、ある程度のプロフィールも公表されています。
それにジェラールの攻略方法は王族として扱わずに、一人の人間として扱うという何とも使い古されたパターン。
「そのですね…………」
あれ? これってどう説明すればいいの? もしそのまま言ってしまえば、何故そんなことを知っているのかと言われます。
「お父様は、お母様と仲良くできれば幸せだと思います」
私がそういうと、エリザベートは私の顔をじーっと見つめる。何かを言いたそうにしていることはわかりますが、それが何かはわかりません。
「お母様?」
「何故そこに貴女がいないのですか?」
「へ?」
「ジェラールには貴女も必要でしょう。さあ、そのジェラールの待っている食堂に行きますよ。尤も、朝食や昼食同様、夕食もいらっしゃらないかもしれませんけど」
エリザベートの足取りは、先ほどと違い、やや速足になります。どうしました。ジェラールに早く会いたくなりました?
上機嫌な母を見ていると、私まで嬉しくなったような気がします。これでは、どちらが子供かわかりませんね。
食堂につくと、既にジェラールの姿がありました。私がエリザベートの耳元で「綺麗な青い色ですね」と呟くと、ほっぺたをつねられてしまいました。痛い。
「エリザベート、今何をしていた?」
「え?」
「いえ、そのクリスティーンがあまりにも恥ずかしいことをいうものですのでつい」
「恥ずかしいこと? なんだ? 俺に言えないことか?」
ジェラールがこちらに近づいて、つねられた私の頬を撫でながら、エリザベートを睨みます。エリザベートは私が言った言葉を、ジェラールに伝えるべきかどうか迷っていたところで、エリザベートが何かを言いそうになる前に私が割り込みました。
ここはエリザベートの為に、私が怒られることを聞いたと言うことにしましょう!
「お父様の〇〇〇〇(※自主規制)って大きいんですかって聞いたのです!!」
めちゃくちゃお説教されました。
だってとっさに思いついたのがこれしかなかったんですもの。
0
あなたにおすすめの小説
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!
ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。
婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。
「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」
「「「は?」」」
「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」
前代未聞の出来事。
王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。
これでハッピーエンド。
一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。
その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。
対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。
タイトル変更しました。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる