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46話 視察に同行しちゃいます
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視察当日の朝。王家の馬車を初めて見る私は大興奮。
ジェラールもエリザベートもなんでこの子こんなにはしゃいでいるんだろう見たいな目で見てきている気がします。
いや、実際そうだろう。跳ねて飛び回って馬車の周りを興味津々に見て回ったせいでしょう。
あまりにもじろじろ見ることをやめなかったせいで、エリザベートに抱きかかえられて動き回れなくなりました。
これはこれで問題ないんですけど、今は初めて見る本物の馬車をもっと間近で見たかったです。
大人しくしない私を抱きかかえたまま馬車に乗り込みます。
私はエリザベートの膝の上に乗せなられたまま、しっかりと固定されています。これが、チャイルドシート。
広い馬車だというのに、ジェラールはエリザベートと肩が触れるくらいの距離に座ります。
そして馬車が走り始めました。他の馬車には身の回りの世話をしてくれる執事やメイドさん。どれから護衛として騎士様が数名同行しています。
「エリザベート、疲れたならいつでも、クリスティーンをこちらに渡してくれ」
「疲れませんので大丈夫です。貴方こそ、行く先々で仕事をするのですからゆっくりしてください」
「む? それでは肩を借りるぞエリザベート」
「へ? はぁ? いや、えと。そんな姿勢じゃ休まりませんよ?」
「十分だ」
「…………」
余裕そうなジェラールとは違い、エリザベートはどんどん赤面していくし、私の後頭部はドンドンと心拍音で叩かれます。
結婚六年目の乙女エリザベート。さすがにこの心拍音は心地よくないよお母様。
「お母様、さっきからここがうるさいです」
私はエリザベートの左胸のふくらみの少し上から鎖骨の間あたりをトントンと叩く。
エリザベートとジェラールが叩かれた場所を注目すると、エリザベートはさきほど以上に赤面してしまった。
ジェラールの表情は相変わらず乏しいままですが、エリザベートの表情は豊かになってきましたね。
もしかしたらこの人は、ただ我慢していただけなのかも。
「エリザベート、心臓が悪いのか? 聞かせてくれるか?」
「遅延。あーら? 心臓? いつも通りでしてよ???」
魔法で無理やり心臓の鼓動の高まりを抑えるなんてありですか? それ、高まりが戻ったら心臓大丈夫ですか?
「心配だな、やはり確かめよう」
ジェラールは一切不安そうな表情をしていません。どちらかと言えば、楽しそう。
そう、ジェラールはエリザベートの心臓がなんで高鳴っているかわかっていて、わざとやっているみたいです。
もう少し冗談っぽくやらないと母には伝わりませんよ。
「ああ、もう! 病気でもなんでもありません! クリスティーンの邪魔になりますからそこで大人しくしていなさい!!」
エリザベートがジェラールに対して強気に出る時は決まって私がらみの時ですが、今は絶対に恥ずかしいからでしょうね。
最終的に私は一度エリザベートの膝上からおりて広い馬車の椅子に一人で座らせて貰うことにしましたが、エリザベートがじーっと私を見つめてきます。
何でしょうか。戻った方が良いのでしょうか?
しかし、ジェラールと密着しているエリザベートを見て、今は邪魔しない様にしようと思った私の行動は英断のはず。
何を間違えたのだろうか。いっそ二人の間に挟まってみようか?
でも、こうして二人を見ていると、私も早く恋をしたいなと思えた。でもそれはできない。この二人を護りたい。
バッドエンドから救いたい。恋なんてしていたら、ワンダーオーブを集められない。
だから私はきっと恋愛をしないまま、大人になって適当な政略結婚を受け入れる。
大丈夫、もとはと言えばこの両親も政略結婚なんですし。きっと二人のように幸せになれる。
ジェラールもエリザベートもなんでこの子こんなにはしゃいでいるんだろう見たいな目で見てきている気がします。
いや、実際そうだろう。跳ねて飛び回って馬車の周りを興味津々に見て回ったせいでしょう。
あまりにもじろじろ見ることをやめなかったせいで、エリザベートに抱きかかえられて動き回れなくなりました。
これはこれで問題ないんですけど、今は初めて見る本物の馬車をもっと間近で見たかったです。
大人しくしない私を抱きかかえたまま馬車に乗り込みます。
私はエリザベートの膝の上に乗せなられたまま、しっかりと固定されています。これが、チャイルドシート。
広い馬車だというのに、ジェラールはエリザベートと肩が触れるくらいの距離に座ります。
そして馬車が走り始めました。他の馬車には身の回りの世話をしてくれる執事やメイドさん。どれから護衛として騎士様が数名同行しています。
「エリザベート、疲れたならいつでも、クリスティーンをこちらに渡してくれ」
「疲れませんので大丈夫です。貴方こそ、行く先々で仕事をするのですからゆっくりしてください」
「む? それでは肩を借りるぞエリザベート」
「へ? はぁ? いや、えと。そんな姿勢じゃ休まりませんよ?」
「十分だ」
「…………」
余裕そうなジェラールとは違い、エリザベートはどんどん赤面していくし、私の後頭部はドンドンと心拍音で叩かれます。
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「お母様、さっきからここがうるさいです」
私はエリザベートの左胸のふくらみの少し上から鎖骨の間あたりをトントンと叩く。
エリザベートとジェラールが叩かれた場所を注目すると、エリザベートはさきほど以上に赤面してしまった。
ジェラールの表情は相変わらず乏しいままですが、エリザベートの表情は豊かになってきましたね。
もしかしたらこの人は、ただ我慢していただけなのかも。
「エリザベート、心臓が悪いのか? 聞かせてくれるか?」
「遅延。あーら? 心臓? いつも通りでしてよ???」
魔法で無理やり心臓の鼓動の高まりを抑えるなんてありですか? それ、高まりが戻ったら心臓大丈夫ですか?
「心配だな、やはり確かめよう」
ジェラールは一切不安そうな表情をしていません。どちらかと言えば、楽しそう。
そう、ジェラールはエリザベートの心臓がなんで高鳴っているかわかっていて、わざとやっているみたいです。
もう少し冗談っぽくやらないと母には伝わりませんよ。
「ああ、もう! 病気でもなんでもありません! クリスティーンの邪魔になりますからそこで大人しくしていなさい!!」
エリザベートがジェラールに対して強気に出る時は決まって私がらみの時ですが、今は絶対に恥ずかしいからでしょうね。
最終的に私は一度エリザベートの膝上からおりて広い馬車の椅子に一人で座らせて貰うことにしましたが、エリザベートがじーっと私を見つめてきます。
何でしょうか。戻った方が良いのでしょうか?
しかし、ジェラールと密着しているエリザベートを見て、今は邪魔しない様にしようと思った私の行動は英断のはず。
何を間違えたのだろうか。いっそ二人の間に挟まってみようか?
でも、こうして二人を見ていると、私も早く恋をしたいなと思えた。でもそれはできない。この二人を護りたい。
バッドエンドから救いたい。恋なんてしていたら、ワンダーオーブを集められない。
だから私はきっと恋愛をしないまま、大人になって適当な政略結婚を受け入れる。
大丈夫、もとはと言えばこの両親も政略結婚なんですし。きっと二人のように幸せになれる。
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