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52話 初登校
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朝、スザンヌが私を起こし始める。掛け布団の上からお尻をバシバシ叩かれます。どこで起こし方を習ったのでしょうか。
「おはようございますクリスティーン様」
メイド服に身を包んだスザンヌがまだ眠くて眠くて仕方ない私の上体を無理やり起こします。
うう、セシルだったらもっと優しく起こしてくださるのに、この子自分がメイドって自覚あるのかしら。
「スザンヌ? もっと優しく」
「…………? 善処します」
どうやら優しいつもりだったのでしょう。彼女は少しだけ抜けたメイドなんですよね。とにかく着替えを手伝ってもらいましょう。
ついでに一人でも着れるようにと、着方を教えて貰うことにしました。これで一人で着脱しても指摘されないよね。
…………一回で覚えたら変かな? ま、いいか。
すべての準備を整えて、城門前に停車している馬車に乗り込みます。
ちょうど同じタイミングで、黒髪黒目で背は私より少し高い男子の制服を着た男が城門前に現れました。リビオだ。
ぼさぼさ頭はくせ毛と言い訳できそうな位には整っている。リビオの後ろにはリビオの従者らしき男子がいた。くすんだ金髪に少しだけリビオより背が高い落ち着いた雰囲気の男性です。
それにしても従者を引き連れて学校に通うなんて乙女ゲーム時代にはなかったのよね。まあ、十数年前と今でルールが違うなんてありえるわよね。
「おはようございますクリスティーン姫」
「あらリビオ。普段はもっと砕けた喋り方だったでしょう? それでは臣下みたいだわ」
「いくら幼馴染でも君主の娘ですからね。公の場でしたらちゃんとした言葉を使うべきかと」
あら真面目ね。レイモン先生も見習ってほしいわ。レイモンは乙女ゲームの頃からいい加減なおとこでしてよ。
「リビオ、せっかくですし、一緒に向かいませんか?」
「…………失礼します」
馬車には私が最初に乗り込み、そのとなりにスザンヌ。反対側の私の正面にはリビオが座り、対角線上にリビオの従者が座りました。
基本的に従者である二人はだんまりで私が一方的にリビオに話しかけます。
最初こそリビオはちゃんと返事をして組ましたが、途中から適当に相槌を打っています。会話しているうちにいつものリビオに戻ってしまったみたいです。
学園前に到着し、王家のエンブレムのついた馬車が停まり、周囲の生徒たちがざわつきます。降りてくる生徒が姫だということは周知の事実でしょう。一部の方々にはまだ私の顔を知らない人もいます。私より先にスザンヌとリビオの従者がおります。
馬車の扉が開かれ私とリビオが降りてきたことで周囲のざわつきが更にうるさくなりました。
はて? そんなに私の顔って物珍しいのかしら。ジェラールとエリザベートのハイブリッドですから絶対に美少女に育っている自信がありましたのに。
私がそう考えていると、周囲のがやがやを押しのけて、緑色の髪に背の高い男子生徒が近づいてきました。
眼は鋭くなりながらも、私と視線を合わせると柔らかい優しそうな表情を浮かべます。
「おはようミゲル」
「おはようございますクリスティーン姫! …………ところで何故リビオと一緒に?」
懐いた犬のような雰囲気から、急に縄張りに入ってきた同種の生物を見るような眼でリビオに視線を向けます。
「私もリビオも王宮に住んでいるでしょ? 偶然、朝であったから一緒にどうって私から誘ったのよ」
「そーですか。へー。偶然。ふーん、本当に偶然なのかリビオ?」
「姫様が偶然って言っているだろ? 嘘つきにするのか?」
「俺はお前が騙したんじゃないかって言っているんだよ」
変な言い争いが始まりましたわね。待っていた方が良いのかしら。
私が二人の言い争いを遠巻きで見ていようとすると、不意に男子の制服の袖が私の体に伸びる。
急に私を抱き寄せたその生徒は、長い栗色の毛を風になびかせていた。
私の肩には男子の制服を着た人間にはあり得ない女性特有の柔らかさを感じます。
「御機嫌よう、私の天使。今日も小鳥のさえずりが霞むような綺麗な声を私の耳に届けてくれるかい?」
「ビルジニ! やっぱり男子の制服を着ちゃったのね!!」
「君に相応しい女になる為ね」
「そ、そう…………どっちでも貴女が輝けるなら素敵だと思うわ」
「さあ行こうか」
そう言われ、私はビルジニにエスコートされながら、リビオとミゲルをおいて校舎に向かうのでした。
「おはようございますクリスティーン様」
メイド服に身を包んだスザンヌがまだ眠くて眠くて仕方ない私の上体を無理やり起こします。
うう、セシルだったらもっと優しく起こしてくださるのに、この子自分がメイドって自覚あるのかしら。
「スザンヌ? もっと優しく」
「…………? 善処します」
どうやら優しいつもりだったのでしょう。彼女は少しだけ抜けたメイドなんですよね。とにかく着替えを手伝ってもらいましょう。
ついでに一人でも着れるようにと、着方を教えて貰うことにしました。これで一人で着脱しても指摘されないよね。
…………一回で覚えたら変かな? ま、いいか。
すべての準備を整えて、城門前に停車している馬車に乗り込みます。
ちょうど同じタイミングで、黒髪黒目で背は私より少し高い男子の制服を着た男が城門前に現れました。リビオだ。
ぼさぼさ頭はくせ毛と言い訳できそうな位には整っている。リビオの後ろにはリビオの従者らしき男子がいた。くすんだ金髪に少しだけリビオより背が高い落ち着いた雰囲気の男性です。
それにしても従者を引き連れて学校に通うなんて乙女ゲーム時代にはなかったのよね。まあ、十数年前と今でルールが違うなんてありえるわよね。
「おはようございますクリスティーン姫」
「あらリビオ。普段はもっと砕けた喋り方だったでしょう? それでは臣下みたいだわ」
「いくら幼馴染でも君主の娘ですからね。公の場でしたらちゃんとした言葉を使うべきかと」
あら真面目ね。レイモン先生も見習ってほしいわ。レイモンは乙女ゲームの頃からいい加減なおとこでしてよ。
「リビオ、せっかくですし、一緒に向かいませんか?」
「…………失礼します」
馬車には私が最初に乗り込み、そのとなりにスザンヌ。反対側の私の正面にはリビオが座り、対角線上にリビオの従者が座りました。
基本的に従者である二人はだんまりで私が一方的にリビオに話しかけます。
最初こそリビオはちゃんと返事をして組ましたが、途中から適当に相槌を打っています。会話しているうちにいつものリビオに戻ってしまったみたいです。
学園前に到着し、王家のエンブレムのついた馬車が停まり、周囲の生徒たちがざわつきます。降りてくる生徒が姫だということは周知の事実でしょう。一部の方々にはまだ私の顔を知らない人もいます。私より先にスザンヌとリビオの従者がおります。
馬車の扉が開かれ私とリビオが降りてきたことで周囲のざわつきが更にうるさくなりました。
はて? そんなに私の顔って物珍しいのかしら。ジェラールとエリザベートのハイブリッドですから絶対に美少女に育っている自信がありましたのに。
私がそう考えていると、周囲のがやがやを押しのけて、緑色の髪に背の高い男子生徒が近づいてきました。
眼は鋭くなりながらも、私と視線を合わせると柔らかい優しそうな表情を浮かべます。
「おはようミゲル」
「おはようございますクリスティーン姫! …………ところで何故リビオと一緒に?」
懐いた犬のような雰囲気から、急に縄張りに入ってきた同種の生物を見るような眼でリビオに視線を向けます。
「私もリビオも王宮に住んでいるでしょ? 偶然、朝であったから一緒にどうって私から誘ったのよ」
「そーですか。へー。偶然。ふーん、本当に偶然なのかリビオ?」
「姫様が偶然って言っているだろ? 嘘つきにするのか?」
「俺はお前が騙したんじゃないかって言っているんだよ」
変な言い争いが始まりましたわね。待っていた方が良いのかしら。
私が二人の言い争いを遠巻きで見ていようとすると、不意に男子の制服の袖が私の体に伸びる。
急に私を抱き寄せたその生徒は、長い栗色の毛を風になびかせていた。
私の肩には男子の制服を着た人間にはあり得ない女性特有の柔らかさを感じます。
「御機嫌よう、私の天使。今日も小鳥のさえずりが霞むような綺麗な声を私の耳に届けてくれるかい?」
「ビルジニ! やっぱり男子の制服を着ちゃったのね!!」
「君に相応しい女になる為ね」
「そ、そう…………どっちでも貴女が輝けるなら素敵だと思うわ」
「さあ行こうか」
そう言われ、私はビルジニにエスコートされながら、リビオとミゲルをおいて校舎に向かうのでした。
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