BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

文字の大きさ
52 / 228

52話 初登校

しおりを挟む
 朝、スザンヌが私を起こし始める。掛け布団の上からお尻をバシバシ叩かれます。どこで起こし方を習ったのでしょうか。

「おはようございますクリスティーン様」

 メイド服に身を包んだスザンヌがまだ眠くて眠くて仕方ない私の上体を無理やり起こします。

 うう、セシルだったらもっと優しく起こしてくださるのに、この子自分がメイドって自覚あるのかしら。

「スザンヌ? もっと優しく」

「…………? 善処します」

 どうやら優しいつもりだったのでしょう。彼女は少しだけ抜けたメイドなんですよね。とにかく着替えを手伝ってもらいましょう。

 ついでに一人でも着れるようにと、着方を教えて貰うことにしました。これで一人で着脱しても指摘されないよね。

 …………一回で覚えたら変かな? ま、いいか。

 すべての準備を整えて、城門前に停車している馬車に乗り込みます。

 ちょうど同じタイミングで、黒髪黒目で背は私より少し高い男子の制服を着た男が城門前に現れました。リビオだ。

 ぼさぼさ頭はくせ毛と言い訳できそうな位には整っている。リビオの後ろにはリビオの従者らしき男子がいた。くすんだ金髪に少しだけリビオより背が高い落ち着いた雰囲気の男性です。

 それにしても従者を引き連れて学校に通うなんて乙女ゲーム時代にはなかったのよね。まあ、十数年前と今でルールが違うなんてありえるわよね。

「おはようございますクリスティーン姫」

「あらリビオ。普段はもっと砕けた喋り方だったでしょう? それでは臣下みたいだわ」

「いくら幼馴染でも君主の娘ですからね。公の場でしたらちゃんとした言葉を使うべきかと」

 あら真面目ね。レイモン先生も見習ってほしいわ。レイモンは乙女ゲームの頃からいい加減なおとこでしてよ。

「リビオ、せっかくですし、一緒に向かいませんか?」

「…………失礼します」

 馬車には私が最初に乗り込み、そのとなりにスザンヌ。反対側の私の正面にはリビオが座り、対角線上にリビオの従者が座りました。

 基本的に従者である二人はだんまりで私が一方的にリビオに話しかけます。

 最初こそリビオはちゃんと返事をして組ましたが、途中から適当に相槌を打っています。会話しているうちにいつものリビオに戻ってしまったみたいです。

 学園前に到着し、王家のエンブレムのついた馬車が停まり、周囲の生徒たちがざわつきます。降りてくる生徒が姫だということは周知の事実でしょう。一部の方々にはまだ私の顔を知らない人もいます。私より先にスザンヌとリビオの従者がおります。

 馬車の扉が開かれ私とリビオが降りてきたことで周囲のざわつきが更にうるさくなりました。

 はて? そんなに私の顔って物珍しいのかしら。ジェラールとエリザベートのハイブリッドですから絶対に美少女に育っている自信がありましたのに。

 私がそう考えていると、周囲のがやがやを押しのけて、緑色の髪に背の高い男子生徒が近づいてきました。

 眼は鋭くなりながらも、私と視線を合わせると柔らかい優しそうな表情を浮かべます。

「おはようミゲル」

「おはようございますクリスティーン姫! …………ところで何故リビオと一緒に?」

 懐いた犬のような雰囲気から、急に縄張りに入ってきた同種の生物を見るような眼でリビオに視線を向けます。

「私もリビオも王宮に住んでいるでしょ? 偶然、朝であったから一緒にどうって私から誘ったのよ」

「そーですか。へー。偶然。ふーん、本当に偶然なのかリビオ?」

「姫様が偶然って言っているだろ? 嘘つきにするのか?」

「俺はお前が騙したんじゃないかって言っているんだよ」

 変な言い争いが始まりましたわね。待っていた方が良いのかしら。

 私が二人の言い争いを遠巻きで見ていようとすると、不意に男子の制服の袖が私の体に伸びる。

 急に私を抱き寄せたその生徒は、長い栗色の毛を風になびかせていた。

 私の肩には男子の制服を着た人間にはあり得ない女性特有の柔らかさを感じます。

「御機嫌よう、私の天使。今日も小鳥のさえずりが霞むような綺麗な声を私の耳に届けてくれるかい?」

「ビルジニ! やっぱり男子の制服を着ちゃったのね!!」

「君に相応しい女になる為ね」

「そ、そう…………どっちでも貴女が輝けるなら素敵だと思うわ」

「さあ行こうか」

 そう言われ、私はビルジニにエスコートされながら、リビオとミゲルをおいて校舎に向かうのでした。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処理中です...