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58話 平民の女子生徒ジャンヌ・ド・バヴィエール
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午後の授業は座学などを中心に行い、私は幼い頃から教育されていた内容であったため、特に難しいとは思いませんでした。また、波動魔法や守護魔法の基礎の概念から、生活の上でも使える魔法などが紹介されました。
授業が終わり、それぞれが知人のところに向かって話すか、自席で復習をするなどして休憩を過ごします。私の周囲にはあいかわらず生徒が集まりますが、ミゲルが率先して護衛側に回ってくれています。
初対面の頃は縮こまって泣き虫でボソボソ喋る自信なさげな男の子だったのに、いつの間にか大きな背中になったものです。
横目でカトリーヌさんの方を見ると、彼女は自席でしっかり復習をしていた。いえ、もしかしたらノートを開いているだけで、予習をしているのかもしれませんね。直感ですけど、彼女が今日の授業をわざわざ復習する必要なんてないと思いましたから。
「姫様! 姫様に想い人はいらっしゃるのですか?」
「へ?」
一人の生徒の質問を皮切りに、周囲の音がかき消される。誰よ幻惑魔法消音なんて使った人。…………いないわね。
「え? 想い人ですか?」
声の主の方に視線を向けると、卵色の髪をした平民の女子生徒ジャンヌ・ド・バヴィエールが、にこやかに聞いてきた。そういえば彼女、聖歌隊にもいらっしゃったわね。
周囲の貴族生徒が、平民生徒だと気付きざわつき始め、ジャンヌさんもその異様な雰囲気に気付き失言だったと思って不安そうな顔に切り替わる。
「汚らわしい」「平民生徒が姫様に声をかけるなんて」「低俗だ」「不敬だ」
よくない流れね。彼女は聖歌隊の中でも、ジョアサンが仲良くしているグループ側。ここで私まで悪印象になるのはごめんだわ。ジャンヌさんに友好的かつ周囲の貴族生徒からジャンヌさんに敵対しにくい対応。…………どうして選択肢が出てこないのよ。
そういえば彼女って同じ聖歌隊のメンバーってことはご実家は、王都なのかしら。
「ジャンヌさんでしたよね。ご実家は?」
「実家…………ですか? えっと、王都近郊で農家をしています」
「そうですか、では貴女も王領の民なのですね」
私はジャンヌさんの腕を引っ張り、彼女を抱き寄せた。彼女はひゃ!? と声をあげ、周囲もざわつく。
「皆様、あまり彼女をいじめないであげてくださいね。王家《うち》の可愛い領民なの」
周囲の生徒たちに視線を向けると、皆が黙ってうなずく。さてと実質、物扱いをしてしまいましたが、これはジャンヌさんにとって好印象なのでしょうか、悪印象なのでしょうか。
「それで質問の答えでしたね。今は特にいらっしゃいませんわ」
「す、すみません。私なんかの為に、制服は汚れていませんか?」
ジャンヌさんは質問の答えよりも、抱きしめられたせいで姫である私の制服を汚していないか気にしていた。さてと、なんて返せばいいのかしら。同年代の女の子との会話なんてビルジニとスザンヌ以外はほぼ社交辞令でしたし、友好的に、友好的に…………。
「何を気にする必要があるのかしら? 貴女、とっても綺麗よ」
うーん、ビルジニありがとう。ジャンヌさんも顔を真っ赤にして嫌悪感のある表情には見えませんし、周囲の生徒も彼女に対して手を出しにくくなったでしょう。彼女経由でジョアサンに私の良い話が伝わればよいのですが。
その後も周囲の生徒たちから質問攻めにあい、当たり障りもないことを答えていたら、休憩時間が終わってしまいました。
休憩時間の度にこのように囲まれてしまったら、授業中より疲れてしまいそうですわ。皆様には申し訳ありませんが、今後は定期的に抜け出しましょう。
この日を境に、何故かジャンヌさんにものすごく懐かれました。まあ、ジャンヌさんと仲良くすることは最終的にジョアサンと交友を深めるカギになりそうですし、悪いことではないわよね。
授業が終わり、それぞれが知人のところに向かって話すか、自席で復習をするなどして休憩を過ごします。私の周囲にはあいかわらず生徒が集まりますが、ミゲルが率先して護衛側に回ってくれています。
初対面の頃は縮こまって泣き虫でボソボソ喋る自信なさげな男の子だったのに、いつの間にか大きな背中になったものです。
横目でカトリーヌさんの方を見ると、彼女は自席でしっかり復習をしていた。いえ、もしかしたらノートを開いているだけで、予習をしているのかもしれませんね。直感ですけど、彼女が今日の授業をわざわざ復習する必要なんてないと思いましたから。
「姫様! 姫様に想い人はいらっしゃるのですか?」
「へ?」
一人の生徒の質問を皮切りに、周囲の音がかき消される。誰よ幻惑魔法消音なんて使った人。…………いないわね。
「え? 想い人ですか?」
声の主の方に視線を向けると、卵色の髪をした平民の女子生徒ジャンヌ・ド・バヴィエールが、にこやかに聞いてきた。そういえば彼女、聖歌隊にもいらっしゃったわね。
周囲の貴族生徒が、平民生徒だと気付きざわつき始め、ジャンヌさんもその異様な雰囲気に気付き失言だったと思って不安そうな顔に切り替わる。
「汚らわしい」「平民生徒が姫様に声をかけるなんて」「低俗だ」「不敬だ」
よくない流れね。彼女は聖歌隊の中でも、ジョアサンが仲良くしているグループ側。ここで私まで悪印象になるのはごめんだわ。ジャンヌさんに友好的かつ周囲の貴族生徒からジャンヌさんに敵対しにくい対応。…………どうして選択肢が出てこないのよ。
そういえば彼女って同じ聖歌隊のメンバーってことはご実家は、王都なのかしら。
「ジャンヌさんでしたよね。ご実家は?」
「実家…………ですか? えっと、王都近郊で農家をしています」
「そうですか、では貴女も王領の民なのですね」
私はジャンヌさんの腕を引っ張り、彼女を抱き寄せた。彼女はひゃ!? と声をあげ、周囲もざわつく。
「皆様、あまり彼女をいじめないであげてくださいね。王家《うち》の可愛い領民なの」
周囲の生徒たちに視線を向けると、皆が黙ってうなずく。さてと実質、物扱いをしてしまいましたが、これはジャンヌさんにとって好印象なのでしょうか、悪印象なのでしょうか。
「それで質問の答えでしたね。今は特にいらっしゃいませんわ」
「す、すみません。私なんかの為に、制服は汚れていませんか?」
ジャンヌさんは質問の答えよりも、抱きしめられたせいで姫である私の制服を汚していないか気にしていた。さてと、なんて返せばいいのかしら。同年代の女の子との会話なんてビルジニとスザンヌ以外はほぼ社交辞令でしたし、友好的に、友好的に…………。
「何を気にする必要があるのかしら? 貴女、とっても綺麗よ」
うーん、ビルジニありがとう。ジャンヌさんも顔を真っ赤にして嫌悪感のある表情には見えませんし、周囲の生徒も彼女に対して手を出しにくくなったでしょう。彼女経由でジョアサンに私の良い話が伝わればよいのですが。
その後も周囲の生徒たちから質問攻めにあい、当たり障りもないことを答えていたら、休憩時間が終わってしまいました。
休憩時間の度にこのように囲まれてしまったら、授業中より疲れてしまいそうですわ。皆様には申し訳ありませんが、今後は定期的に抜け出しましょう。
この日を境に、何故かジャンヌさんにものすごく懐かれました。まあ、ジャンヌさんと仲良くすることは最終的にジョアサンと交友を深めるカギになりそうですし、悪いことではないわよね。
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