BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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81話 嫌な出来事は重なる

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 カトリーヌさんから言われたことを考えながら、私はジャンヌさんが待っている図書館に向かいます。廊下で待機していたスザンヌとウィルフリードは、私の一歩ほど後ろを、いつものようについて歩きます。

 廊下を歩くと周囲の生徒が左右に避けて足を止め、こちらに向かって頭を下げます。海が割れた気分ね。

「来たぞ」「魔狼の姫だ」「狼姫ろうき様だ」「狼姫ろうき様!?」「狼姫ろうき様が来る!!」「道を開けろ!! 狼姫ろうき様が通られるぞ!!」「素晴らしすぎるっ!」

 労働基準法を恐れている現場かな?

 下手に絡まれるよりは全然かまいませんが、どうしてこんなことになったのか全然わかりません。もしかして常にウィルフリードを連れ歩いているせいなのかしら。姫様とちやほやされたり、怖がられたり意見が対立したりここ数日周囲の反応がころころ変わっていますが、私は堂々としていればいいだけですし、さして気にしることでもありませんよね。

 そして図書館に入る前。そこには白髪に糸目の男子生徒。ジョアサンが誰かを待っていたようで壁にもたれるように立っていました。

「制服が汚れますよ? 背筋くらい伸ばしたらどうですか?」

「別にこれくらい大した汚れになりませんよ。クリスティーン姫、今時間はありますか?」

 ないわ。これっぽっちもない。でも、【藍】のワンダーオーブを行使することになるならば、ジョアサンの力も借りたいし、ジャンヌさんにはスザンヌを向かわせてもう少し遅れることを伝えましょうか。

「スザンヌ、先に行ってて」

「畏まりました」

 スザンヌは図書館に入り、私はジョアサンについて行きます。ウィルフリードは私とスザンヌをきょろきょろみて困っていましたので、私が手を差し伸べると私の胸に飛びついてきましたので抱きかかえてあげることにしました。可愛い。

「ここでも良いかしら?」

「僕は構いませんよ?」

 あえて長い廊下の真ん中。落ち着いて話すにはジャンヌさんに申し訳ありませんし、立ったままの話し合いで済ませたい。ここでしたら近くに教室の出入り口もありませんし、遠くから誰かが来れば気付きやすい。

「話は何かしら?」

「平民生徒の暴動の件です」

「……………………?」

「姫様?」

 暴動? ああああああ!? 思い出しましたわ。確か【藍】のワンダーオーブを手に入れる直前位に計画がどうのって話があがっていた件よね。片時も忘れていないわ!

「覚えているわ。進展があったのね?」

「本当に覚えていたんですよね? …………まあ、いいです。おそらく本格的に動き出すのは一週間後だと思われます」

 …………一週間後ってカトリーヌさんと勝負しているレポートの期限…………え? 嘘でしょ? その暴動を止めるために動くことを考えると、レポートは六日後には完成していないといけないし、リビオと離れ離れになったら、【緑】のワンダーオーブを手に入れる算段も考え直さないとじゃない。

 それに暴動が起きてから対処するのでは遅すぎる。先回りして色々潰すべきと考えるとレポート作成と調査が平行作業になるのではなくて?

 待って待ってこういう時こそ上に立つものの采配よ。平民生徒たちの暴動の件はジョアサンとあと誰か一人にお任せして、レポートの件は課題である以上私とジャンヌさんで完成させる。その上で、私が必要な情報を適宜連絡してくれる近しい存在。これはクラスメイトのミゲルが一番動きやすいのかしら?

 じゃあ、ジョアサンと一緒に行動する人は? 貴族だと隠密に向いていないし、誰か貴族じゃなくて、できれば従者でもない人っていないのかしら?

「ジョアサン、明日もこの時間に例の噴水にきて頂戴」

「あそこは君のクラスメイト達がたくさん来ているぞ」

 そうでした。魔力スポットのレポートなんですから完成させるために聖水の噴水に人が集まるなんて当然ですよね。

「ここでいいわ」

「わかった」

 なりふり構っていられないわ。この一週間で欲しいものはすべて手に入れてあげる。
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