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番外編・クリスティーン六歳 私、姉になる
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私が六歳の時の話。ついに母エリザベートのおなかが大きくなり、もうすぐ産まれそうというとこまで来ました。
「ねえスザンヌ。男の子だと思いますか? 女の子だと思いますか?」
私は、いつも傍らにいる乳姉妹のスザンヌに声をかけます。スザンヌは長い茶髪を左側にまとめサイドテールにしている私のメイドです。緑眼の瞳は、宝石のように綺麗で見つめると吸い込まれそうになります。
「えー…………では男の子で」
スザンヌは適当に男の子とお答えします。
「では私は女の子に賭けます」
「…………いいですけど、この賭けは何を賭けているものなのでしょうか?」
「え? …………負けた方が何か面白いこと言うってことで」
「何も考えていませんでしたね」
いやぁ、言うこと聞くとかですと、そもそもメイドであるスザンヌは普段から言うことを聞いてくれますし、彼女と賭けて私にメリットってないんですよね。
そんな風にスザンヌと二人で冗談を言い合っている時でした。急にノックをされたと思い、私がどうぞと声をかけると、そこには慌ただしくスザンヌと同じ茶髪の女性が入室してきました。
「姫様! エリザベート様が! もうすぐ赤ちゃんが産まれます!!!」
それを聞いた私は、セシルに抱きかかえて貰い、急いでエリザベートの寝室に連れていって貰いました。スザンヌは後から来てくれるそうです。私が寝室に入れて貰います。
部屋の中では、ベッドに横たわる我が母エリザベート。そのエリザベートの手を握る我が父ジェラール。それから侍女たちがたくさん。これが出産の瞬間なのね。
「お母様!」
私が呼びかけると、苦しそうな表情のエリザベートが私の方に顔を向けます。
「クリスティーン?」
「はい! クリスティーンです!」
「待っててね。貴女をお姉ちゃんにしてあげるから」
そう言ったエリザベートは、ジェラールを見つめ、ジェラールは何かを察したのかエリザベートの手を握るのをひとまずやめます。
そしてエリザベートの手は、私の頭に軽く乗せられました。その乗せられた手は弱々しく、震えるようにしています。それでも、エリザベートは強い意志を持って私を見つめます。
「お母様、今度は家族四人でたくさん遊びましょうね!」
私がそう微笑むと、エリザベートはやんわりとした表情になり、苦しそうな中でも、温かい表情をしていることが伝わりました。
ジェラールもいつの間にか私を抱きしめています。うう、ちょっと恥ずかしい。思春期まで育った私はこれを耐えられるのかしら。
どうも、年齢と精神状態がちゃんと比例しているのよね。記憶ではちゃんとアラサーまで生きていたはずなんですけど。赤子の頃は内心に反して泣き出してばかりで大変でした。
そしてその時は急にやってきました。エリザベートが突然苦しみだすのです。周囲の侍女たちは慌ただしく動き始め、私とジェラールはとにかくエリザベートの手を握ることしかできませんでした。
そして侍女たちが声を上げる前に元気な産声が部屋中に響きました。
「陛下、妃殿下、姫殿下元気な男の子です!」
そう言われ、私達は赤ちゃんの方に視線を向けます。そういえば産まれたばかりの子供って初めて見るわ。こんなにも小さいんだ。
私は小さな小さな弟を見て微笑みます。
「初めまして。貴女のお姉様です。どうか立派な王様になってくださいね」
男児。つまりこの子こそ、王位継承権第一位の人間である。
男の子にはジルベール・アルベルト・フォレスティエという名前が付けられました。
あ、男の子だ。…………男の子かぁ。スザンヌとの賭け負けてしまいましたね。
その夜、私の面白い話を聞いたスザンヌは、聞いた方が罰ゲームだったなどと供述しており…………。
「ねえスザンヌ。男の子だと思いますか? 女の子だと思いますか?」
私は、いつも傍らにいる乳姉妹のスザンヌに声をかけます。スザンヌは長い茶髪を左側にまとめサイドテールにしている私のメイドです。緑眼の瞳は、宝石のように綺麗で見つめると吸い込まれそうになります。
「えー…………では男の子で」
スザンヌは適当に男の子とお答えします。
「では私は女の子に賭けます」
「…………いいですけど、この賭けは何を賭けているものなのでしょうか?」
「え? …………負けた方が何か面白いこと言うってことで」
「何も考えていませんでしたね」
いやぁ、言うこと聞くとかですと、そもそもメイドであるスザンヌは普段から言うことを聞いてくれますし、彼女と賭けて私にメリットってないんですよね。
そんな風にスザンヌと二人で冗談を言い合っている時でした。急にノックをされたと思い、私がどうぞと声をかけると、そこには慌ただしくスザンヌと同じ茶髪の女性が入室してきました。
「姫様! エリザベート様が! もうすぐ赤ちゃんが産まれます!!!」
それを聞いた私は、セシルに抱きかかえて貰い、急いでエリザベートの寝室に連れていって貰いました。スザンヌは後から来てくれるそうです。私が寝室に入れて貰います。
部屋の中では、ベッドに横たわる我が母エリザベート。そのエリザベートの手を握る我が父ジェラール。それから侍女たちがたくさん。これが出産の瞬間なのね。
「お母様!」
私が呼びかけると、苦しそうな表情のエリザベートが私の方に顔を向けます。
「クリスティーン?」
「はい! クリスティーンです!」
「待っててね。貴女をお姉ちゃんにしてあげるから」
そう言ったエリザベートは、ジェラールを見つめ、ジェラールは何かを察したのかエリザベートの手を握るのをひとまずやめます。
そしてエリザベートの手は、私の頭に軽く乗せられました。その乗せられた手は弱々しく、震えるようにしています。それでも、エリザベートは強い意志を持って私を見つめます。
「お母様、今度は家族四人でたくさん遊びましょうね!」
私がそう微笑むと、エリザベートはやんわりとした表情になり、苦しそうな中でも、温かい表情をしていることが伝わりました。
ジェラールもいつの間にか私を抱きしめています。うう、ちょっと恥ずかしい。思春期まで育った私はこれを耐えられるのかしら。
どうも、年齢と精神状態がちゃんと比例しているのよね。記憶ではちゃんとアラサーまで生きていたはずなんですけど。赤子の頃は内心に反して泣き出してばかりで大変でした。
そしてその時は急にやってきました。エリザベートが突然苦しみだすのです。周囲の侍女たちは慌ただしく動き始め、私とジェラールはとにかくエリザベートの手を握ることしかできませんでした。
そして侍女たちが声を上げる前に元気な産声が部屋中に響きました。
「陛下、妃殿下、姫殿下元気な男の子です!」
そう言われ、私達は赤ちゃんの方に視線を向けます。そういえば産まれたばかりの子供って初めて見るわ。こんなにも小さいんだ。
私は小さな小さな弟を見て微笑みます。
「初めまして。貴女のお姉様です。どうか立派な王様になってくださいね」
男児。つまりこの子こそ、王位継承権第一位の人間である。
男の子にはジルベール・アルベルト・フォレスティエという名前が付けられました。
あ、男の子だ。…………男の子かぁ。スザンヌとの賭け負けてしまいましたね。
その夜、私の面白い話を聞いたスザンヌは、聞いた方が罰ゲームだったなどと供述しており…………。
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