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91話 天使はお昼寝が好き
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その日。私はレポート勝負に勝利を譲って貰いました。多分カトリーヌさんとご友人になることができたのでしょう。
とにかく目的を達成できましたし、今日はゆっくり休もうと考えました。
放課後になるとすぐに馬車に乗り込み、ジャンヌさんと別れる。
「それでは姫様、明日もよろしくお願い致します」
「ええ、貴女も気を付けて帰りなさい」
私がそう声をかけると、卵色の柔らかそうな髪がふわりと揺れる。にっこりと笑うジャンヌさんを見ていると、馬車は停留所を出発しました。
私とスザンヌだけの馬車はいつも通り、特に会話がなく近づいてくる王宮を眺めるだけでした。まだ西日とは言い難い時間。こんなに早く帰るのは久しぶりかもしれませんね。
「そうだわ。ジルと遊びましょう」
「ジルベール様ですか?」
「ええ、そうよ。あの子の今日の予定ってわかるかしら?」
「ジルベール様でしたら今日は魔法の授業ですね」
魔法の授業ってことはレイモン先生のところね! 私は王宮に到着するとレイモン先生のいる離れまで向かいました。あの人はいつも魔法の研究をこっそりやっていますので、極力人通りの少ない場所にいらっしゃるんですよね。
「レイモン先生!!」
離れの扉を勢いよく開けると、そこではレイモン先生と頑張って魔力を練っているうちの天使がいました。
「ああ、姫様か。今日は王子でも構いに来ましたか?」
レイモン先生は昔と違い、少しだけ敬意をもって話しかけてくれるようになりましたが、やはりどこか煩わしそうにしています。
そして魔力を練っていたジルは私に気付くと、とてとてと小さな足で一歩ずつ私に向かって歩いてきました。私の手が届く距離まで来たところで、ジルを抱き寄せると、ジルは黙って私の背中に手を伸ばそうと必死に腕を伸ばします。
「ちょ!? そこ脇腹!? 待って! ジル! 貴方はいいの! やめて!!!!!!」
やめなさいジル。そこは弁慶でも笑うところよ。いや、弁慶笑うかな。
私が笑いそうになりながら顔を引きつらせている様子を見たスザンヌとレイモン先生は、顔を逸らしているが、あれは絶対に笑っている。だって肩が笑っているもの。この際、膝も笑わせるぞ。
「ジル、今日はどんなことをしたのかな?」
「お母様とお昼寝してその後はお父様とお昼寝して今は魔法で遊んでます!」
「よぉーし!! これからお姉ちゃんとお昼寝しよう!!!!」
「…………王子寝すぎじゃないか?」
「残念ですが、ベルニエ伯爵閣下。これが王家の日常の風景です」
「姫様が五歳のころには魔法に勉強にとで大忙し。やんちゃしていた姫だと思ったが、思い返せば真面目で優秀だったんだな」
「どちらかと言えば王族で王子を甘やかしすぎなだけです」
ジルも大きくなったわね。もう九歳だったかしら。可愛い盛りっていつ終わるのかわかりませんわ。
ジルは成長するたびにジェラールに似ていますが、顔のパーツはところどころエリザベート譲り。何よりも瞳は深紅でちょっとだけ羨ましいのよね。将来は美男子で間違いないわね。
まあ、私はジェラールと同じ紺碧の瞳を引き継いでいるから全然いいんですけど。
「ジルは良い子ねぇ。大丈夫よ。将来何もできなくても面倒ごとは全部お姉ちゃんが引き受けるからね」
「…………王権握ったぞあいつ」
「さすが姫様です」
しばらく私が撫でたり両手を引っ張って万歳させたり、はぐしたり膝にのせたりしてジルを構っていると、離れにはリビオがやってきました。
「ただいま。…………クリスティーン姫?」
「あらリビオ。おかえりなさい」
私がおかえりなさいと声をかけると、リビオは顔を紅くして固まってしまい、ジルはリビオを見て笑っている。スザンヌとレイモン先生は何かを察してまた顔を逸らし、肩が笑っていました。
そうだ、今度リビオと二人で北西の森にある旧校舎に行く約束をしないといけないんだったわ。
とにかく目的を達成できましたし、今日はゆっくり休もうと考えました。
放課後になるとすぐに馬車に乗り込み、ジャンヌさんと別れる。
「それでは姫様、明日もよろしくお願い致します」
「ええ、貴女も気を付けて帰りなさい」
私がそう声をかけると、卵色の柔らかそうな髪がふわりと揺れる。にっこりと笑うジャンヌさんを見ていると、馬車は停留所を出発しました。
私とスザンヌだけの馬車はいつも通り、特に会話がなく近づいてくる王宮を眺めるだけでした。まだ西日とは言い難い時間。こんなに早く帰るのは久しぶりかもしれませんね。
「そうだわ。ジルと遊びましょう」
「ジルベール様ですか?」
「ええ、そうよ。あの子の今日の予定ってわかるかしら?」
「ジルベール様でしたら今日は魔法の授業ですね」
魔法の授業ってことはレイモン先生のところね! 私は王宮に到着するとレイモン先生のいる離れまで向かいました。あの人はいつも魔法の研究をこっそりやっていますので、極力人通りの少ない場所にいらっしゃるんですよね。
「レイモン先生!!」
離れの扉を勢いよく開けると、そこではレイモン先生と頑張って魔力を練っているうちの天使がいました。
「ああ、姫様か。今日は王子でも構いに来ましたか?」
レイモン先生は昔と違い、少しだけ敬意をもって話しかけてくれるようになりましたが、やはりどこか煩わしそうにしています。
そして魔力を練っていたジルは私に気付くと、とてとてと小さな足で一歩ずつ私に向かって歩いてきました。私の手が届く距離まで来たところで、ジルを抱き寄せると、ジルは黙って私の背中に手を伸ばそうと必死に腕を伸ばします。
「ちょ!? そこ脇腹!? 待って! ジル! 貴方はいいの! やめて!!!!!!」
やめなさいジル。そこは弁慶でも笑うところよ。いや、弁慶笑うかな。
私が笑いそうになりながら顔を引きつらせている様子を見たスザンヌとレイモン先生は、顔を逸らしているが、あれは絶対に笑っている。だって肩が笑っているもの。この際、膝も笑わせるぞ。
「ジル、今日はどんなことをしたのかな?」
「お母様とお昼寝してその後はお父様とお昼寝して今は魔法で遊んでます!」
「よぉーし!! これからお姉ちゃんとお昼寝しよう!!!!」
「…………王子寝すぎじゃないか?」
「残念ですが、ベルニエ伯爵閣下。これが王家の日常の風景です」
「姫様が五歳のころには魔法に勉強にとで大忙し。やんちゃしていた姫だと思ったが、思い返せば真面目で優秀だったんだな」
「どちらかと言えば王族で王子を甘やかしすぎなだけです」
ジルも大きくなったわね。もう九歳だったかしら。可愛い盛りっていつ終わるのかわかりませんわ。
ジルは成長するたびにジェラールに似ていますが、顔のパーツはところどころエリザベート譲り。何よりも瞳は深紅でちょっとだけ羨ましいのよね。将来は美男子で間違いないわね。
まあ、私はジェラールと同じ紺碧の瞳を引き継いでいるから全然いいんですけど。
「ジルは良い子ねぇ。大丈夫よ。将来何もできなくても面倒ごとは全部お姉ちゃんが引き受けるからね」
「…………王権握ったぞあいつ」
「さすが姫様です」
しばらく私が撫でたり両手を引っ張って万歳させたり、はぐしたり膝にのせたりしてジルを構っていると、離れにはリビオがやってきました。
「ただいま。…………クリスティーン姫?」
「あらリビオ。おかえりなさい」
私がおかえりなさいと声をかけると、リビオは顔を紅くして固まってしまい、ジルはリビオを見て笑っている。スザンヌとレイモン先生は何かを察してまた顔を逸らし、肩が笑っていました。
そうだ、今度リビオと二人で北西の森にある旧校舎に行く約束をしないといけないんだったわ。
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