BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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99話 国教とかみ合わない神話

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 放課後、リビオと待ち合わせの約束をして旧校舎の入り口で待機していると、そこにはリビオが一人でやってきました。

「あら? いつも連れている付き人の方は?」

「今日はみんな都合がつかなくてね。まあ、伯爵家の生徒は常に誰かしら連れているわけでもないし、いいかなって」

 リビオが連れている付き人は大体三人。中年くらいの男性と老紳士。それから三十前後のメイドだ。私みたいに一人の人間を年中無休で連れまわすなんてことはしていない。

 …………違うのよ。スザンヌの代わりができるのが姉のセシルくらいしかいないのよ。セシルは母とジルの相手をしながらウィルフリードのお世話もしているのだから頼れないわ。

 とりあえず私とリビオは一昨日同様、スザンヌに付与魔法をかけてもらい、暗闇の中を真っすぐ歩いていきます。

 前回とは違い、真っすぐ地下の禁書だらけの図書館に向かいます。乙女ゲームでは図書館と呼んでいましたが、あれはどちらかと言えば書庫ですね。まず来た人間に本を読ませるスペースもなく、私達は本棚の間で本を開いたりしていました。

 廃校になった時にこれだけの数の本を放置した理由は一体何だったのでしょうか。本の山の中に埋もれながら、リビオが私に一枚のレポート用紙を渡してきました。

「これを見て欲しい」

「へ? ちょっと待ってね今から読むから」

 そう言われてびっしり書き込まれた文字を少しずつ読み進める。内容は一昨日私達が頑張って割り出した単語から頑張って文章に成り立つようにしたものだった。

 七人の人間が英雄となり、天使から力を授かった物語。こんなおとぎ話を禁書指定するだろうか。間違いなくこれはこの世界の本当の神話…………いや、歴史だ。登場人物の英雄の一人の名前が【藍】のワンダーオーブの女神ヨランドと一致する。更に彼女は杖の英雄と呼ばれていた。

 確か浄化魔法の詠唱にも杖の英雄って言葉が入っていたわ。ここまで来たら偶然と考えるのは難しい。この神話の知識は、きっと私が知りたい答えにたどり着く。

 そもそもワンダーオーブは七個。七人の英雄一人一人が神格化し、それぞれが対応するワンダーオーブを人々に授けているんだわ。

 読み進めていると、七人の英雄を導いたもう一人の純粋なる神の存在まで書き記されていた。邪悪な心を浄化して世界を救った七人は、最後の最後で真の魔王と戦い、導きの神は…………恒星になった。そして恒星の名前は…………読めない。

「?????」

「どうした?」

「これは何かしら?」

「何って知らない文字だよ。どうもそこだけ特別な文字を使われているみたいでね」

「そう…………」

 読み進めて理解したことは、最後の決戦で世界が一度リセットされたこと。導きの神『■■■■■』が恒星になり、七人は私達の世界の神話でいうノアのような存在になった。

 救える限りの生命を空飛ぶ箱舟に乗せて、生命が住める星になるまで乗り切ったそうだ。その中でも指導者となったのは砲の英雄である銀髪に深紅の瞳の女性。マルグリートという女性だ。

 七人は天使から授かった異能を宝珠に変え、■■魔法を使い、星のルールを書き換え、七種類の魔法が副産物として産まれた。おそらくそれは私達が今使っている魔法のことね。そして七つの宝珠。これは間違いなくワンダーオーブのことでしょう。

 そして世界を作り変え、ルールを書き換えた七人は、天界から導かれその命尽きる時、それぞれ七人の神となり、世界を邪悪な心から護る役割を与えられた。

「ねえ、リビオ」

「なんだ?」

「この話どう思った?」

 私が率直な意見を知りたくて、彼に質問をする。リビオは考えるそぶりも見せずにこう呟いた。

「正直、こんな国教とは違いすぎる夢物語。つまりこの本は邪教の教えととらえていい」

 邪教。私にはむしろ今の国教の方が邪教に感じるわ。

 国教では私たちの命は恒星の女神から授かったことになっています。そして魔法は衛星の女神から授かっている。

 ですがこれを読む限り、惑星が作り変えられる前には、恒星の神と人間は既に共存している。さらに言えば魔法は英雄が神格化する際の副産物だ。

「…………」

 私が知る限りここはゲームの世界だ。例え今の私の現実だとしてもゲームの世界であったことに変わりはない。建国時代より前の歴史なんて作り込む必要があるのだろうか。

 ワンダーオーブの裏設定と考えるなら、製作者様作り込みすぎだよ。頭パンクしそう。

「ごめんちょっと疲れたわ」

 私はぐったりしながら、隣に座るリビオの肩に私の頭を乗せた。リビオはうあわぁ! とひどい叫び声を上げましたが、すぐに私の身体を支えてくださりました。

 ごめんね、リビオ。叫び声をあげるほど嫌だったのね。でも、私もその叫び声に傷ついたからおあいこってことで許して。
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